翌日、透さんが退院手続きをしてくれ、透さんの車で自宅に帰った。

この日は朝から雨だったため、駐車場に到着しエントランスのところまで少し傘をささないと濡れてしまうと、透さんが傘を広げると、私は急に恐怖心にかられて、動けなくなり、その場にしゃがみこんでしまった。

｢名前！大丈夫か？もしかして、傘が怖いのか？｣
私は小さく頷く。
透さんは傘をたたみ、車にしまうと、着ていた上着を脱ぎ、私が濡れないように頭にかけてくれ、私の肩を抱き、マンションのエントランスに向かった。

私はセキュリティ万全で何個も鍵を解除しているのを見て驚いた。
『セキュリティ万全ですね…。』

｢職業柄このくらいないと危険でね。｣

『透さんの職業って何なんですか？』
｢僕は探偵です。病院でも話したように、名前は警察官だから、名前のことも考えて、セキュリティ万全のこのマンションにしたんだ。｣
『そうなんですね。』
そう話しながら、部屋に入り、少しゆっくりしてから、透さんがご飯を作ってくれ、2人で食べ始めた。

『透さん、料理上手ですね！』
｢名前には負けるよ。名前の作る料理はどれも美味しいから。｣

『そんなことないですよ。』
｢っあ！そうだ。明日一緒に買い物に行かないかい？｣

『はい。行きましょう♪』
｢じゃぁ、今日は早めに寝ようか。｣
『はい。そうですね。』

私達は、早めに眠りについた。

その夜、私はある夢を見た。
私は男の人と2人で遊園地に来ていて、その人のことを零さんと呼んでいた。
『(零さんって誰だろう…？私の彼氏は安室透さんのはずなのに…。)』

～翌日～

高木刑事が少し離れたところから警護してくれるとのことで、車ではなく電車で買い物に行くことになった。

｢名前、体調は大丈夫かい？｣
『はい。大丈夫ですよ。』

しばらく待って、電車がやってきた。

｢電車来ましたね。｣
そう言って、私達は1歩前に出た。
すると、誰かから背中を強く押され、私は線路に落ちてしまった。私は恐怖のあまり動けなかった。

｢名前！｣
安室さんが飛び降りて来てくれ、私をホーム下の待避所に引っ張ってくれたおかげで、電車とぶつからずに済んだ。

｢っはぁっはぁ…名前、大丈夫か？｣
『大丈夫です…。』
そう言うと私は意識を手放してしまった。

～米花薬師野病院～

風戸先生に診察してもらい、脳には異常は見られなかったがや念の為、1日入院することになった。

｢風戸先生、ありがとうございました。｣

風戸先生の診察が終わり、病室を出ていくと、入れ替わりで目暮警部達が入ってきた。

｢安室くん、苗字くんの容態は？｣
｢脳には異常はなく、怪我もかすり傷程度で、さっき鎮静剤を打ってもらいました。｣

｢そうか。安室くん本当に申し訳ない。高木くんを警護に付けときながらこんなことになってしまって。｣

｢本当に申し訳ありません。｣
高木刑事が頭を下げる。
｢高木刑事頭を上げてください。僕も油断してしまっていたので。｣


｢しかし、これで苗字くんが犯人の顔を見ているのは間違えないようだ。何としても苗字くんを守り抜くんだ！｣
高木刑事は気を引き締め
｢はい！｣
と返事をして、他の刑事達に伝えに行った。