その頃赤井さんはライフル銃を準備し、マスタングの上に構えていた。

奴の車が現れた。
奴は赤井さんの姿を見つけると
｢っライ！ふっ面白い。轢き殺してやるよ！｣
車はスピードを上げた。

赤井さんは奴の頭を狙っていたが、奴が伏せたため、止む無く車のタイヤを狙い、狙撃した。

タイヤはパンクし、コントロールを失うと車は横滑りし、先程のガソリン輸送車にぶつかり、奴の車、軽自動車、ガソリン輸送車の3台は橋の下に落下し、大爆発してしまった。


そこへ、私達も到着し、私は車を降り、橋の下を確認しに行く。

｢っ！赤井！貴様…!!｣
降谷さんは赤井さんを睨みつけた。

しばらくすると、救急車や消防車の音が聞こえてきた。

｢苗字！車に戻れ！｣
そう言われ、私は降谷さんの車に戻り、この場を離れた。


～警視庁に戻る途中の車内～

私はパソコンで首都高の監視カメラにアクセスし、降谷さんや奴の車、赤井さんの車の映像を消し、降谷さんに目をやる。

『降谷さん…。』

降谷さんは無言で前だけを見ていた…。


～警視庁公安部内～

降谷さんは上司に呼び出され、公安部は全員、始末書に追われ、パソコンに向かっていた。

私は悔しさと不安で今にも泣きそうな顔をしていると絢さんが
｢名前ちゃん…。｣と言いながら、頭を優しく撫でてくれた。

『絢さーん…。』
私は泣き出してしまった。
絢さんは私を抱きしめて子供をあやすように背中を撫でてくれた。

少し落ち着き、零れだしそうな涙を我慢し、始末書に取り掛かった。

しばらくすると降谷さんがかなり疲れた様子で戻ってきた。
自然と降谷さんのところにみんな集まった。
｢今日はすまなかった。ノックリストを奪われたのは俺の責任だ。それで、どこまでの情報が漏洩したかわからないが、念の為、しばらくここには来れないし、連絡も頻繁にはできなくなるだろう。その間、風見にここを仕切ってもらう。｣

｢はい。｣と風見さんが返事をする。
すると、私が目を真っ赤にしているのに気がついた降谷さんが
｢苗字…ちょっといいか？｣

私は降谷さんについて行き、会議室に入った。

私はずっと俯いていた。
｢苗字…。大丈夫か…？｣
降谷さんは私の顔を覗き込む。

私は泣きながら
『降谷さん…すみません…ぐすっ…ノックリスト守れませんでした…降谷さんにもしものことがあったら…私…。』

すると、降谷さんがそっと私を抱きしめてくれた。

｢苗字…ノックリストがどこまで組織に渡ったかわからない。だが、奪われたのはお前だけのせいではない…。だから謝らないでくれ。今回は俺の責任だ。｣

『だって、組織のジンっていう人は、疑わしきは罰するんですよね…。もし…もし、降谷さんがノックだと組織に渡ってたら…降谷さんが…。私は降谷さんを失いたくはありません！それに、降谷さんだけの責任ではないですよ…。』

降谷さんは私を力強く抱きしめた。