～東都タワー第1展望台～


私は降谷さんを見つけ声を掛ける。
『降谷さん、お疲れ様です。』

｢あぁ、来たか。頭の怪我は大丈夫か？すまないな。怪我してるのに来てもらって。｣
降谷さんは頬を指で掻きながら言った。

『いいえ。治療してもらって痛み止め飲んだので大丈夫です！そんなことより、降谷さんここにいて大丈夫なんですか？組織にもしバレたら…。』

｢組織もさっきあんな目にあったから、今日は行動はしないだろう。｣

『それならよかったです。あのー、ここって貸切なんですか？下の係の方に名前聞かれましたし、表にも本日貸切って書いてあったのですが…。』
私は恐る恐る聞いた。
｢あぁ、園子さんに頼んで貸し切りにしてもらったんだ。｣

『そうなんですね…。(園子ちゃん流石だな。)でも、なぜ私をここに呼んだんですか？』

｢2人きりでお前に話したいことがあったからだよ。｣
降谷さんは少し照れくさそうに視線を逸らす。

『話したいことですか？』

｢あぁ、本当は組織を壊滅させてから話そうと思っていたんだが…。｣

降谷さんは言葉に詰まる。
私は降谷さんの顔を下から覗き込み
『少しづつでいいですよ。』
ニッコリ笑う。

降谷さんはゆっくりと
｢俺は…世界で1番名前のことが好きだ。｣

『…っえ！』

｢今回の事件で俺の命が危険に晒されて、改めて組織に潜入する怖さを思い知った…。いつ命が奪われてもおかしくないと思った時、自分の気持ちを伝えておかないと後悔すると思ったんだ…。｣

私は目に涙を溜める。

｢今日、俺が組織に拉致された時、助けてくれたのはお前らしいな。赤井から聞いたよ。赤井と協力してってところは気に入らないが、お前がドアを開け、逃げたように偽装しなければ、俺はあの場で死んでいた。本当にありがとう。お前に助けてもらって、これからは俺がお前を助けて、守っていきたいと思ったんだ。まぁ、今回の件よりずっと前からお前のことが好きだったんだがな。｣
降谷さんは顔を真っ赤にして言った。

『降谷さん…。私も…降谷さんのことが好きです。』
私の目から涙が溢れた。