グリフィンドールの真紅のソファに沈み込むと、

双子のウィーズリーのどちらかが隣りに座った。

「やぁ、[#dc=1#]、話があるんだけど…」

「なに？えーと、ジョージ？」

この世でもっとも愛しい人、ジョージ・ウィーズリー。

片思いの初恋はいつ成就するのやら、見当もつかない。

「俺らって、ほら、色恋沙汰には疎いだろ？
でも、俺は自分の気持ちに気づいたのさ。」

「へぇ？」

[#dc=1#]は嫌な予感がした。そしてその予感は見事的中した。

「俺、アンジェリーナが…好きなんだ。ほら、君たち親友だろ？
今夜、フクロウ小屋に呼んでくれないかい？」

囁きの小さなナイフは、[#dc=1#]の心を切り裂き、砕いた。

泣いてはいけない。

[#dc=1#]は無理に笑ってみせた。きっと…

「きっと、上手くいくよ！私から言っておくね。じゃあ…」

涙をこれ以上抑えていられなくなって[#dc=1#]は部屋に向かおうとした。

でも、誰かが、[#dc=1#]の腕を捕らえた。

「放して、フレッド！」

フレッドはまるで妹にするように軽く[#dc=1#]にハグして、

「泣くなよ、[#dc=1#]。泣くぐらいなら俺にしてよ。」
と小さく囁いた。

でも…[#dc=1#]は、ありがとう、と呟いて女子寮に駆け上がった。






付き合い始めたジョージとアンジェリーナを[#dc=1#]はぼぅっと

眺めていた。

「[#dc=1#]？」

「んー？」

「[#dc=1#]〜！！」

「うーん？」

「そんなに彼奴等のこと見るなよ。自分が傷つくだけさ。」

「あなたに私の気持ちなんかわかんないわ。」

「そうかもね。でも、好きな奴がどっかのいけ好かない男を見つめてる気持ちはよーく分かるぜ」

「好きな奴、なんていたんだ」

「…はぁ。君ってたまに鈍いよな」

「え？」

「俺はいま、君のことを言ったんだ。つまり…
ずっと君が好きだった、って言ったのさ。」

「ねぇ、フレッド」

「なんだい？」

「どうして、あたし、ジョージに恋しちゃったんだろうね」

「ほんとだよな。俺だったら[#dc=1#]にこんな思いさせないのに。」

「ほんと、あたしってバカだわ。」

「ねぇ、[#dc=1#]、俺にしてよ。この前も言ったけどさ…」

「…フレッドのこと、嫌いじゃないよ。むしろ好き。でも」

「じゃあ、なんでっ…！」

「あんまり、似てるから。あの人に…」

「俺、ジョージじゃないよ。」

「わかってるよ。でもね、…」

「ジョージだと思っててもいいから！ほら、似てるだろ？」

「…そんなんで、いいの？わたし、まだ引きずってるのに…」

「いいさ。[#dc=1#]、君はすぐに俺が好きになる！」

「…ふふっ、そうかも。」

フレッドの切ない瞳に[#dc=1#]はついに、うなずいた。






フレッド・ウィーズリー夫人、即ち[#dc=1#]・ウィーズリーが
誕生するのは、もう少し、先のお話。