常夜の心
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沈む意識の中、私はぼんやりと考えていた。
一体何が起きたのか全く分からない。一人暮らしの部屋に、聞いた事のない少年の声。
冷徹な声が耳に
きっとこれは悪い夢なんだ。
きっと目が覚めたらきっと…きっと…
いつもの日常に違いない。
―――――――――――――
「…ぅう…ん」
意識が浮上し、目の前が明るくなったがすぐにフッと薄暗くなった。ぼゃぁっとした視界に映ったのは…狐のお面…?
「お気付きですか?」
ズイッと狐面が近付き視界いっぱいに広がった。それと同時に意識を無くす前の記憶を思い出し、ガバッと起き上がった。
すぐにサァッと血の気は引き恐怖の色が広がった。
「…っや、やだっ…殺さないでっ!…ァ、!こ、怖いぃ…っ!」
「…っ…勝手ながら首の傷、俺の手持ちの医療パックで治療させてもらいました。」
ガタガタと震え大きな瞳がボロボロと涙が溢れるナマエを見て、カカシは胸に大きく空いた穴を抉られたような痛みが走った。
『…カカシ』
彼女の瞳は、あの時のリンと同じ目をしていた。
右手が微かに震えるほどの自分に対する畏怖の視線だった。
「…任務中とはいえ、不用意に無抵抗の一般人の女性を拘束し行き過ぎた尋問をしたこと、お詫び致します。…本当に申し訳ありませんでした。」
ナマエから少し離れ、顔を覆った狐面を外し深く頭を下げたあとスッと顔を上げた。
こんな謝罪では許されるなんて思っていないが、今のカカシに出来る精一杯の謝罪の気持ちだった。
「え…っ!」
恐る恐る鋭利な何かを突き付けられた首に手を伸ばすと、丁寧に包帯が巻いてあった。
「女性を傷付けて許してくれなんて言わない。本当にすまな…
「あ、あの…!ち、治療…っぁ、ありがと、う」
……は?」
俺の謝罪を遮り、言った言葉に俺は耳を疑った。
目の前の彼女はまだ怯えてるにも関わらず、俺が傷を治療したことに礼を述べたのだ。
怒号や悲鳴を向けられると思っていたのに。
むしろ非難をしてほしかったくらいだった、この女性とリンに…
こんな仕打ちにあったのはお前のせいだと。
「…なんで…ッ」
思わず出た言葉に、彼女は恐る恐る俺の元へと歩み寄り俺の穢れた右手を包むように握ってこう言った。
「ぁ、あなたのほうが…悲しくて、辛くて…っ苦しくて堪らないって顔をしてた…から…」