常夜の心
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夜がまた訪れる
あの日から何度目かの夜が。
『…カカシ…』
リンを手にかけたあの日。
俺に大切なことを教えてくれたオビトから託された大切な仲間だったのに。
『…カカシ…!』
リンを貫いたあの生々しい感触が、あの瞳が、鮮明に甦る。
生暖かいあの温度と共に。
『カカシ!!!』
「うわぁぁぁ!!!」
ハァハァと呼吸が乱れ、嫌な汗が吹き出した。
バクバクと脈打つ心臓が破裂しそうになる。
「ハァ…ハァ…朝…か。」
ジリリリリリと鳴り響く目覚まし時計が無理矢理カカシをあの場面から引きずり戻した。
右手の手汗がやけに生暖かく、あの日の鮮血に濡れたた感触に似ていて、気持ちが悪い。
手を洗いたい衝動に駆られ台所で手を洗う。
「ハァ…ハァ……ッ落ちない…ッ!」
ゴシゴシと手を擦り合わせ流水に流すが洗い流すどころか、感触が落ちた気がしない。
それどころか増していくばかりであった。
――――――――――――――満月の夜
今宵は満月。月の光が満ち、闇を照らす。
四代目火影に就任したミナト先生の打診により火影直属の暗部に入属した。
そもそも仲間であったオビトが俺を庇って死に、リンを手にかけた。事実上ミナト班は解体になった。
アカデミー時代の仲間や同期達が気にかけてくれてくれていたが、今はとにかく1人になりたかった。
だから暗部入りの話を貰った時、丁度いいと思った。
『忍如何に死すべきか』…考えたかった。
「緊急招集ご苦労様。早速だが任務だ。…何者かによって書庫の結界が破られ"満月の書"が盗まれた。時空間忍術の禁書で他里に渡ってしまえば大きな木ノ葉の損失になる。」
火影の執務室に集まった直属の暗部にミナト先生は緊迫した面持ちで続けた。
「それにもし満月の書の封印が解かれ、発動してしまったらどうなるか分からない。至急火の国外への持ち出し・封印を解かれる前に取り戻して欲しい。よろしく頼む…では、散!」
«はっ»
返事をすると暗部たちは班ごとに散っていった。
執務室に1人残ったミナトは満月を見て思いにふけった。
「(満月の夜…こんな明るい闇夜に、いったい誰が…。何事もなく済めばいいんだけど…)」
あの日以来、心の闇が深まってしまったまだ幼い部下の無事を密かに願った。
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