酔っぱらいはお好き? ~2~

どこもかしこも不景気と風営法のダブルパンチをまともに浴び、水商売や風俗店が見切りを付け続々と店を畳む昨今。

渋谷界隈も例外ではなく、ホスト業界では規格外という付加価値を付けているindigoももれなく売り上げが芳しくなかった。

そんな折、なぎさママが経営している店の一つが閉店することとなり、ラストオープンのパーティーにindigoからオーナーの塩谷と店長の晶が餞別を持って参加した。

代々木にあるエキゾチックなダイニングバーで、前々から経営が厳しいとは聞いていたが、せめて従業員に給料が出せる内に、と苦渋の決断をしたらしい。

『憂夜くんが来てくれたら閉めることないのに~』

『・・・うちが潰れるっつうの!』

最後だからと、とっておきのお酒を振る舞いながらボヤくママに晶共々苦笑いするしかなかった塩谷だったが───
オーナーとして、他人事で流せる話ではない。

『もっと頑張ってくれよ、お前店長だろうか!』

特に今月の売上が下がっていた状況に悶々としながら、ついついママと差しで飲んでいた晶に愚痴ってしまった。

晶が頑張っているのは痛いほど分かっている。

が、元々がぶっきらぼうで晶には素直に向き合えず、顔を見るたびに八つ当たり気味の発破をかけてしまう塩谷、この時ばかりは勢い余って口走ってしまった本音と不安。

『indigoだってな、今のまんまじゃ本当に潰れるんだからな、分かってんのか?』

借金は全くないが、自分の店には愛着も責任もある。

今抱えているホストやスタッフを路頭に迷わせる訳にはいかなかった。

そして何より・・・
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