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酔っぱらいはお好き? ~2~

「きーてんのか、塩谷~あ!」

右手でオーナーの胸ぐらを掴み上げ、左手で空っぽの徳利を松明の如く掲げた、酔っ払いの女神。

「節約上等!経費削減上等だよ!受けて立とうじゃないっ!」

渋谷駅のセンター街裏にある塩谷行きつけの小さい焼き鳥屋で、晶がトラの化身になっていた。

「節電節水!使ってない場所の電気は消す!エアコンの温度を下げて料金は値上げするの!」

「アホ、うちは客商売やってんだ!」

息を詰まらせた塩谷が慌てて首元の手を叩く。

「それに値上げなんざ今のタイミングでできねえよ、く、苦しい───」

「じゃあ、いーわよっ!」

ますますヒートアップした晶が、バン!とカウンターに両手を叩きつけた。
塩谷の前にある満々に注がれた盃を奪い取って煽る。

「あたしが頑張るっ!シャワーは3日に一回!トイレだって流す回数減らしゃいーんでしょ!?」

「そういうことじゃねーよ・・・」

襟首を掴んでいた手が離れ、塩谷が首を撫でながら顔をしかめる。

「お前、女捨ててんな」

苦笑している店の大将に謝りながら、本物の虎も頭を下げて逃げだしそうな迫力でくだを巻き続ける晶を諦め顔で眺めた。
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