光の下に生まれて。

目が覚めると、まず目に入った物は
黒の色。
見渡す限りの闇。

「・・・・・・・・・・・・」

足が地に着いている感覚はしない。
だが、浮いている感覚も無い。

「・・・・・・・・何々だ、これ」

さっきまで、自分は別の所に居た筈だ。
兄や、仲間と一緒に。
なのに、目を開けると入ったのは闇。

・・・・何故なのだろう。


「・・・・出口は・・・・」

翼をはばたかせ、出口を探す。
だが出口は何処にも無い。
どんなに飛んでも、風も感じない。

・・・・飛んでいる姿勢になっているだけで、移動していないのかもしれない。
そう思い、止まる。

すると、目の前に人影が見えた。

「・・・・おい、誰だ?」
そう問うが、帰ってきたのは・・・・

『・・・・だレだ?』

同じ問い。

「・・・・俺は・・・・・・・」
名前を口に出そうとするが、何故か出ない。
思い出そうとしても、霞掛かったように思い出せない。
そうこうしている内に、人影が口を開く。

『・・・・オれ、ハ――』
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