第1話

影「やれやれ…これからますます忙しくなりそうな予感だな」

立ち入り禁止の屋敷の屋上で、影は空を眺めていた。
日が暮れ始めていて、空は赤くなっていく。

「…どうした影、お前らしくもないセンチメンタルな顔をして」
影の背後に巨大な手袋が降りてきた。

影「もしそう見えるんだったらお前の目は腐ってるぞ。いや、目なんて無いか。
  …でもよ、本当にアイツらが手を貸してくれるって言うのか? あれなら俺と中口、デビルで戦えば楽勝な気がするけど」

「侮ってはいけないぞ影、彼等はかつて私を倒した者だ」

影「お前が弱かったんじゃね?」
「…………」

巨大な手袋は影にのしかかった。

影「うおほ…、お、重いって、やめろって! ゴメンゴメン!」

ゆっくりと手袋は上昇し、再び話し始めた。

「…ふんっ、彼等は強い。本気の彼等なら、いくらお前でも負けるかもしれない」

影「そうかねぇ…、俺には馬鹿の集まりにしか見えないな」
「また乗られたいか」
影「うお、そりゃ勘弁。」

「…とりあえず、お前も部屋に戻れ。後日に備えてな」

影「はいはいわかりましたよーだ、ボロ軍手ー」

「ふんぬっ」

影「うおっ、重い、重いって!」
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