31話~
現実世界のメンバーの、寮の一室。
「…くー……」
ベッドの上で掛け布団を投げ出して眠る。
「影」
その影が眠るベッドの横に、偽が現れた。
口の周りや顔に、新しい血をべっとりと付けて。
「助かってくれる?」
血の付いた右手で、影の頬を撫でた。
赤茶けた線が引かれる。
「何がだ」
「!?」
影がうっすらと目を開けていた。
「…なんだぁ、影起きてたのぉ? そうならそうと言ってくれれば良いのにぃ、素直じゃないなぁ~♪」
「……お前血生臭いぞ」
「やー、ちょっとねー」
「シャワー貸すから血ィ落としてくれ、臭いがベッドに移って寝付きが悪くなりそうだ」
少し苛々しているようで、ベッドから降りてタオルを偽に押し付けると櫛で髪をとかし始めた。