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31話~

「イアちゃーん♪」

ドアが開いて、偽がまた顔を出した。

「…早かったな、まだ5分しか経っていない」
イアが壁に吊されている時計を指差す。
「ちゃちゃっとお話終わらせて、ちゃちゃっと決着つけてきましたー♪
 ほら、入って入って!」
何故、と一瞬イアは思ったものの、
言われるが儘に部屋に入って行った。





「………これは……」
その光景に思わず絶句する。
居たのは、切り刻まれたようにバラバラのフォーア。
勿論、この状態で生きているはずがない。

「凄いでしょ?凄いよね?ねー褒めて褒めて!」
目をキラキラさせながらイアに抱き付く偽。

「あ、あぁ」
とりあえず偽の頭を撫で、
色々思いつく状況の謎を頭の中で挙げた。


1つめ。

部屋に1滴も血が零れていない。
これだけ無残に扱えば、大量の血が出る筈なのに。
床にも、壁にも、血は付いていない。
偽の体に付いていた返り血も、もう乾きかけていた。
鎌の血も同様に。

次に、2つめ。

鎌を使っていないのは見て解った。
だが、どうやってNo.01をここまで切り刻んだのだろうか。

3つめ。

待っている間、部屋からは物音一つ聞こえなかった。
普段、こんなに騒がしい男だというのに。

最後に4つめ。

さっきの廊下。
ドクターの死体は何処に行った?
捨てたのか?と言っても此奴はわざわざそんな事はしなさそうだ。


さっきから、謎ばかり思い付く。

「ねーえ?データ取るんじゃなかったの?」

はっと、現実に引き戻された。
フォーアに歩み寄り、何かを探す。

そして数秒後、戻ってきた。

「…わぁ、キレイ」

イアの手には、キラキラと光を放つ物があった。
偽が触れようとしたが、そのまま指が通り抜けた。
実体が無いらしい。

「これがデータかぁ」
「此れを今から持ち帰る、貴様とは此処でお別れだ」
「えー、ちょっと寂しいカンジー」
「文句を言うな」

ぶー、と頬を膨らませる偽を尻目に、
イアはワープホールを開いた。

「残っているソレは好きにすると良い」

それだけ言うとイアがワープホールに入っていき、そのワープホールも消えた。



「ちぇー、結構イアちゃん好きだったのにー」

少しいじけてみたが、勿論反応してくれる相手はいない。
ちらりと、フォーアに目をやった。
そのまま歩み寄り、前に座る。

「…俺の事、ルール違反って思ってる?」

答えてくれる訳が無い。

「でも、俺はちゃんとルール守ったよ」

転がる腕を拾い上げる。

「だって、」

このままフォーアのバラバラ死体を放っておいても、騒ぎになってしまう。

「俺は「鎌を使わない」って言ったんだから」

だから、





「いただきます。」
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