31話~
見渡す限り、白い。
それでもって四角い。
まるで自分が、真っ白な箱の中に放り込まれたかのように。
しかし目を瞑っている間、動いているような感覚は無かった。
「なんだよ、此処…!!」
「んー、俺の場所?みたいな?
…それより、戦わないの?」
その言葉で目的を思い出した。
今の目的は目の前にいる、偽マリオを殺す事。
そして相手の目的は、自分を殺す事。
「さあ、始めるんでしょ?」
「……ああ」
「そっちからどーぞ?」
にこやかに偽がそう言った。
直後、力を発動させた。
背中に黒い翼が生える。
「おや」
偽が目を丸くした。
「そういえばその翼、弟さんにもあったね。そうやって生やすモンなの?」
「あぁそうさ。造られた時になんか仕込まれたみたいでな。
じゃあ早速行くぜ!!」
言葉が終わると同時に、偽の頬を殴る。
無論、全力で。
偽は吹っ飛び、壁にびたん、と叩きつけられた。
弾みで偽の帽子が床に落ちる。
「っ、歯折れたらどうす―――」
言葉を言い終わらせる間も与えず、連続で殴り付ける。
思いと怒りに身を任せて。