この夢小説は、もし乙女ゲームだったらという設定なので、名前変換をすると100倍楽しめます。名前は、〇〇〇・トワイラスの〇の部分が変わります。
十章、捨て駒の意地
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ドゥークーは、死の淵とも言える深い眠りの中をさ迷っていた。それでも、彼は必死に抗った。そして、再びこの世界に戻ってきた。
目を覚ました彼は、ぼやける視界の中であっても娘をすぐに見つけた。娘──アンヌは愛らしい両目に大粒の涙を溜め、父親の手をしっかりと握っている。
「教えて、ドゥークー伯爵。あなたは……あなたは……」
震える唇で、アンヌは言葉を必死に絞り出した。少し後ろでは、オビ=ワンたちがその様子を見守っている。
「あなたは……私の、父なのですか?」
ドゥークーは何も言わずに、空いた方の手でアンヌの涙を拭った。そして、春の木漏れ日のように優しく穏やかな笑顔を浮かべ、静かに頷いた。アンヌは、ずっと言いたかった言葉────そうであればどれ程嬉しいかと思い続けてきた言葉を、ドゥークーの胸にぶつけた。
「──お父様……お父様……!」
そしてドゥークーも、ずっと言いたかった言葉を恐る恐る口にした。彼は娘を強く抱き締め、目を閉じて笑った。
「……アンヌ。私の可愛い娘よ。もう、決して離さないことを誓おう」
この言葉に、どれだけ深い思いが込められていることか。実の親を知らないオビ=ワンとアソーカは、胸のうちにじんわりと温かさが広がる思いだった。一方、アナキンは俯いている。オビ=ワンは、弟子の異変に気づいて顔を覗きこんだ。
「……どうした?」
「いえ……父親になるってどんな感じなんだろうな、って」
神妙な面持ちで突拍子もないことを言い出したアナキンに対して、アソーカは興味深そうに身を乗り出した。
「面白いこと考えるんだね、マスター」
「さて……どんな気持ちなんだろうな。まぁ、私たちジェダイには関係のない話だが」
「そうですよ、ね。関係ないですよね」
アナキンは再び顔を上げ、ドゥークーとアンヌの姿に目をやった。親子の再会は微笑ましく、羨ましくもあった。そして何より、彼には家族こそが自分の居場所のような気がしてならなかった。
だが、その表情は途端に暗転した。それは彼の隠し通さねばならない大きすぎる秘密が、徐々に自身を蝕み始めている予兆にしか過ぎなかった。
独りホイールバイクの点検をしていたグリーヴァスは、何度やっても修理できない箇所の工具を苛立ちで放り投げた。だが、盛大な音を立てて床に落ちるはずの工具は空中で止められた。
「直してあげましょうか?」
「共和国の軍師は、バイクの修繕もできるのか?」
「……まぁね」
アンヌは工具を持つと、器用に修繕を始めた。魔法のように直されていく様子に、グリーヴァスは呆気に取られている。
「はい、直ったよ。このバイク、お気に入りなの?」
「格好いいだろう?」
アンヌは、自分の趣味ではないバイクを眺め、苦笑いした。けれど、決して今までのような嫌味は言わない。
「このバイクには、助けられたわ。ありがとうね、将軍」
にこりと笑う彼女に対し、グリーヴァスの返事はない。代わりに、彼はこんなことを呟いた。
「────グリーヴァスでいい」
「え?」
「グリーヴァスでいい。……将軍では、ケノービたちと混同するではないか」
すぐにアンヌはそれが照れ隠しの言い訳であると悟った。彼女は工具を返しながら、グリーヴァスを見上げてこう言った。
「じゃあ、私のことも小娘って呼ぶのは止めてね。アンヌでいいわ」
「それはトワイラスでいい」
それを聞いて、アンヌは頬を膨らませた。返そうとしていた工具を取り上げ、彼女はグリーヴァスに食って掛かり始めた。
「何で?何で駄目なの?同じ司令官同士、仲良くしましょうってことじゃないの?ねぇ、グリーヴァス!」
「やはり将軍に戻せ!!先程のは取り消す!」
「嫌よ!ねっ、グリーヴァス」
「だから止めろ!!おい!工具を返せ!」
グリーヴァスの方が明らかに背丈が高いはずなのだが、アンヌは非常にすばしっこく、動きが大きい彼にとっては捕まえづらい。アンヌの方も味をしめたのか、グリーヴァスをからかうことを楽しみ始めている。
「嫌だもんね。返してほしければ、このブレイン様をアンヌってお呼びなさい!」
「お前はガキか!」
「ガキで結構!」
グリーヴァスがアンヌを掴もうとして、腕を伸ばす。彼女がそれを器用にかわしたため、二人の馴れ合い(グリーヴァスはそのつもりではないと思うが)は追い掛け合いに発展した。
そして、そのことは当然ながらスカイウォーカーたちにも伝わった。ドゥークーを見舞いに来たヨーダと話をしていたアナキンの元に、レックスが血相変えて飛び込んできた。
「スカイウォーカー将軍!大変です!」
「どうした、レックス!」
「グリーヴァスがハンガーで暴れています!」
「何だと?またクローン兵と小競り合いか?」
顔をしかめるオビ=ワンに対し、レックスは戸惑いながら答えた。
「それが……その……アンヌ殿に乗せられたようで」
「アンヌに!?」
「一体どうなっているんだ……」
すっとんきょうな声をあげて驚くアナキンと、頭を抱えるオビ=ワンの様子を見て、ドゥークーとヨーダが顔を見合わせて笑う。それは確かに、戦争が無ければずっと昔から見ることが出来たはずの光景だった。だからこそこの一瞬が愛しく、何よりも輝かしい時間になる。
誰もがそう思って、新しい明日を迎えようとしていた。
【Season1 END】
目を覚ました彼は、ぼやける視界の中であっても娘をすぐに見つけた。娘──アンヌは愛らしい両目に大粒の涙を溜め、父親の手をしっかりと握っている。
「教えて、ドゥークー伯爵。あなたは……あなたは……」
震える唇で、アンヌは言葉を必死に絞り出した。少し後ろでは、オビ=ワンたちがその様子を見守っている。
「あなたは……私の、父なのですか?」
ドゥークーは何も言わずに、空いた方の手でアンヌの涙を拭った。そして、春の木漏れ日のように優しく穏やかな笑顔を浮かべ、静かに頷いた。アンヌは、ずっと言いたかった言葉────そうであればどれ程嬉しいかと思い続けてきた言葉を、ドゥークーの胸にぶつけた。
「──お父様……お父様……!」
そしてドゥークーも、ずっと言いたかった言葉を恐る恐る口にした。彼は娘を強く抱き締め、目を閉じて笑った。
「……アンヌ。私の可愛い娘よ。もう、決して離さないことを誓おう」
この言葉に、どれだけ深い思いが込められていることか。実の親を知らないオビ=ワンとアソーカは、胸のうちにじんわりと温かさが広がる思いだった。一方、アナキンは俯いている。オビ=ワンは、弟子の異変に気づいて顔を覗きこんだ。
「……どうした?」
「いえ……父親になるってどんな感じなんだろうな、って」
神妙な面持ちで突拍子もないことを言い出したアナキンに対して、アソーカは興味深そうに身を乗り出した。
「面白いこと考えるんだね、マスター」
「さて……どんな気持ちなんだろうな。まぁ、私たちジェダイには関係のない話だが」
「そうですよ、ね。関係ないですよね」
アナキンは再び顔を上げ、ドゥークーとアンヌの姿に目をやった。親子の再会は微笑ましく、羨ましくもあった。そして何より、彼には家族こそが自分の居場所のような気がしてならなかった。
だが、その表情は途端に暗転した。それは彼の隠し通さねばならない大きすぎる秘密が、徐々に自身を蝕み始めている予兆にしか過ぎなかった。
独りホイールバイクの点検をしていたグリーヴァスは、何度やっても修理できない箇所の工具を苛立ちで放り投げた。だが、盛大な音を立てて床に落ちるはずの工具は空中で止められた。
「直してあげましょうか?」
「共和国の軍師は、バイクの修繕もできるのか?」
「……まぁね」
アンヌは工具を持つと、器用に修繕を始めた。魔法のように直されていく様子に、グリーヴァスは呆気に取られている。
「はい、直ったよ。このバイク、お気に入りなの?」
「格好いいだろう?」
アンヌは、自分の趣味ではないバイクを眺め、苦笑いした。けれど、決して今までのような嫌味は言わない。
「このバイクには、助けられたわ。ありがとうね、将軍」
にこりと笑う彼女に対し、グリーヴァスの返事はない。代わりに、彼はこんなことを呟いた。
「────グリーヴァスでいい」
「え?」
「グリーヴァスでいい。……将軍では、ケノービたちと混同するではないか」
すぐにアンヌはそれが照れ隠しの言い訳であると悟った。彼女は工具を返しながら、グリーヴァスを見上げてこう言った。
「じゃあ、私のことも小娘って呼ぶのは止めてね。アンヌでいいわ」
「それはトワイラスでいい」
それを聞いて、アンヌは頬を膨らませた。返そうとしていた工具を取り上げ、彼女はグリーヴァスに食って掛かり始めた。
「何で?何で駄目なの?同じ司令官同士、仲良くしましょうってことじゃないの?ねぇ、グリーヴァス!」
「やはり将軍に戻せ!!先程のは取り消す!」
「嫌よ!ねっ、グリーヴァス」
「だから止めろ!!おい!工具を返せ!」
グリーヴァスの方が明らかに背丈が高いはずなのだが、アンヌは非常にすばしっこく、動きが大きい彼にとっては捕まえづらい。アンヌの方も味をしめたのか、グリーヴァスをからかうことを楽しみ始めている。
「嫌だもんね。返してほしければ、このブレイン様をアンヌってお呼びなさい!」
「お前はガキか!」
「ガキで結構!」
グリーヴァスがアンヌを掴もうとして、腕を伸ばす。彼女がそれを器用にかわしたため、二人の馴れ合い(グリーヴァスはそのつもりではないと思うが)は追い掛け合いに発展した。
そして、そのことは当然ながらスカイウォーカーたちにも伝わった。ドゥークーを見舞いに来たヨーダと話をしていたアナキンの元に、レックスが血相変えて飛び込んできた。
「スカイウォーカー将軍!大変です!」
「どうした、レックス!」
「グリーヴァスがハンガーで暴れています!」
「何だと?またクローン兵と小競り合いか?」
顔をしかめるオビ=ワンに対し、レックスは戸惑いながら答えた。
「それが……その……アンヌ殿に乗せられたようで」
「アンヌに!?」
「一体どうなっているんだ……」
すっとんきょうな声をあげて驚くアナキンと、頭を抱えるオビ=ワンの様子を見て、ドゥークーとヨーダが顔を見合わせて笑う。それは確かに、戦争が無ければずっと昔から見ることが出来たはずの光景だった。だからこそこの一瞬が愛しく、何よりも輝かしい時間になる。
誰もがそう思って、新しい明日を迎えようとしていた。
【Season1 END】