この夢小説は、もし乙女ゲームだったらという設定なので、名前変換をすると100倍楽しめます。名前は、〇〇〇・トワイラスの〇の部分が変わります。
一章、対立
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昼下がり。ロザルの平野に生息するロズキャットたちもお昼の時間だ。
しかし、ロザル帝国軍オフィスだけは違っていた。朝からの慌ただしさにアンヌとカラスは既にうんざりしていた。事の発端は、ロザル大臣マーケス・チュアからの通信だった。彼女はその日、ガレルでアクアリッシュの武器商人からある武器を受け取るために倉庫へ来ていた。しかし、そこで反乱者たちに襲われ、取引物ごと奪われてしまったというのだ。これにはカラスも頭をかかえた。アンヌは不思議だった。
どうして、武器が奪われただけでこんなに蜂の巣をつついたような騒ぎになるの?
彼女は知的好奇心を満たすために思い切って聞いてみた。
「エージェント・カラス、どうしてこんなに大騒ぎに発展しているのですか?」
「そ、それはだな…………」
カラスは気まずそうにため息を吐くと、渋々説明を始めた。
「奴らが武器を奪っていったことは知っているな?」
「はい」
「…………その武器がな、違法殺傷兵器のT-7イオンディスラプターなのだ。」
「てぃーせぶんいおんでぃす………何でしたっけ?」
カラスは相変わらずの自分の副官の可愛らしさに失笑した。
「通称ディスラプターだ。……簡単に言うとだな、威力は1発で大型艦をショートさせて撃墜させることができる高パワーのイオン砲だ。しかし、その威力が絶大すぎてある惑星での使用以来、銀河帝国の法により一切の使用を禁じられている代物なのだ」
「……………その惑星の生命体に使ったんですね」
鋭いところを突かれて、カラスは不意打ちを食らったような衝撃を頭に感じた。彼は目を少し見開いたまま、生唾を飲み込んだ。その様子がただならなかったのでアンヌはきいてはならないことを聞いてしまったような気がして、バツが悪かった。そのまま2人は沈黙に陥ってしまい、それが返って先ほどのアンヌの質問の肯定を示している気がして尚更カラスは言葉が続かない。
「ご、ごめんなさい!変なことを……」
「………いや、気にしないでくれ。」
アンヌはこれ以上の沈黙を続けることは余計に気まずさを生むだろうと思い、とりあえず休憩をするためにコーヒーを淹れに行った。
カフェテリアには数人の事務局所属の職員と、マーケス・チュア大臣の姿があった。まだ挨拶くらいしか交わしたことのないアンヌは、彼女の隣に座ることに気が引けたので、とりあえず隣の机に座った。チュアはそんな彼女に気づき、ため息混じりに声を掛けた。
「…………そんな離れた所にいないでこっちに来たらどう?副官さん」
「あ………では………横、し、失礼します」
思った以上に強気なチュアにアンヌは戸惑ったが、悪い人ではなさそうだと思うと、気がつけば話を切り出していた。
「あの、確かプライス提督の代理ですよね。チュア大臣」
「ええ、そうよ。ロザルの管理統治は大変だけど、プライス提督のためにも頑張らなきゃね。あなたも大変でしょ」
「え?」
「ほら、急にエージェントカラスの気分で副官なんかになっちゃって。帝国軍は全部決めたこと通りにしかしないから覚えることも多いし……」
チュア大臣は自分のことを心配してくれている。アンヌはそのことにただただ驚いていた。
「あの…………政治の方が大変そうですけど…」
「まぁ、それはそうかもしれないけど………」
2人は沈黙した。それから、お互い同じタイミングで笑った。
「あなたって、面白い人ね!もっと軍人さんかと思ってたけど、思ってたよりも普通の人!」
「大臣も、もっと計算高い政治家なのかと思ってましたけど、とても気さくな方なんですね」
アンヌもチュア大臣はすぐにお互いが気の合う人間であることを確信した。それから2人はついさっき話し始めたとは思えない、まるで大学時代からの親友であるかのように話を弾ませた。2人の会話がようやく終わったのは、エージェントカラスの出動が決まった知らせがアンヌのコムリンクに入ったときだった。オフィスへ戻る前にも、2人は戻った時にまた話をしようと約束をしたのだった。
現場へ向かうシャトルの中で、彼女は知らずのうちに肩を震わせていた。手に握られているブラスターが小刻みに震える。カラスはそれを見て、心配そうに顔を覗き込んだ。
「………大丈夫か?後方支援に回ることも出来るぞ」
「だ、大丈夫です!エージェントの足は引っ張ら内容にしますから」
「そうか…………分かった。」
こんなときにも気遣いを忘れないカラスが、アンヌの心に温かみを取り戻してくれる。毎回銃撃戦へ向かうという恐怖は彼のおかげで払拭されるのだ。
シャトルが着地した。彼女は大きく息を吸い込んで、ブラスターを顔の横で構えた。
「まずいよ、早く逃げなきゃ」
「小僧、ディスラプターを処理してからだ!」
「こだわるなよ!!ゼブ、命の方が大事だって!」
エズラたちゴーストチームはカラス率いる帝国軍に圧倒されていた。それでも彼らはいつものように頭を使って確実に数を減らしていた。カラスが一人のラサットに気づいたのはそんな時だった。
彼が過去に全滅させたはずの野蛮な部族であるラサットが生き残っている。彼の闘争心に火がついた。彼はラサットの武器であるボウライフルを改造したものの両端にある電極を作動させると、ガラゼブ───ゼブに叫んだ。
「ラサット!!私と勝負しろ!」
「な………」
ゼブの視線がボウライフルに釘付けになる。彼は衝動的にカラスに飛びかかると、地面に叩きつけて問うた。
「ボウライフルはラサットしか持てない武器だ!なんで帝国軍将校なんかが持ってるんだ」
「闘いで得た!」
相手の強さを計ったカラスは反撃に出た。2メートル以上ある大柄なゼブにとって不利な体勢で彼は連続攻撃を仕掛ける。電極同士がぶつかりあい、凄まじい音を立てる。
「ラサン攻略の指揮をとったのも、ディスラプター使用を命じたのも、全部私だ!」
「うおおおおおおおおお!!!!」
怒りに打ち震えるゼブは、引き際を見失った。
カラスの指示で、彼女は裏側からの奇襲を担当することとなった。そして、彼と決めた合図である銃声が始まると同時に、待機していたストームトルーパーに声をかけた。
「…………行くよ!!」
滑り出しよく掛けられた奇襲はみごと成功した。しかし、早々にマンダロリアンのサビーヌ・レンとの一騎打ちが始まった。
「────ヴィズラの名において、サビーヌ・レンは一対一の勝負を挑む!」
「………避けられないようだね」
サビーヌがブラスターを構えるより先にアンヌが万が一のためにと渡されていた小型エレクトロ・スタッフ(電子棒)の上下にある電極を起動させ、自分の背丈より少し長めに伸ばした。
「いい武器じゃない。…使いこなせるかは別としてだけど」
「帝国の副官を嗤う者よ、その傲りを正して差し上げましょう」
二人が対峙したところで、戦いの火蓋が切って落とされた。先制攻撃を仕掛けてきたのはサビーヌの方だった。素早い前転で距離を詰め、2丁のブラスターを連射し、威嚇した。だが彼女はアンヌの行動に驚いた。
────嘘…でしょ………
なんと彼女は上下の電極を使いこなし、ブラスターを器用に反射したのだ。光線が危うくサビーヌに直撃しそうになる。その様子を遠くから見ていたトワイレックのヘラ・シンドゥーラは、ある人物を彷彿した。
それは、彼女がまだ幼かった頃のことだった。当時、故郷のライロスは分離主義者たちに攻撃され、どこもかしこもが戦場だった。そんな中、拾ったドロイドのチョッパーの部品を外で探していたヘラは、一度だけ分離主義ドロイドに狙われそうになったことがあった。その時助けてくれたのは、ジェダイであり、共和国の軍師でもあったブレイン・オブ・ザ・リパブリックと呼ばれている伝説級の女性だったのだ。けれど、そのときのヘラの印象としては全くそんな風には感じず、むしろ優しいお姉さんという方がしっくり型にはまっているように思えた。
銀髪の副官がサビーヌを見据える目つきに、その人の面影が重なる。ヘラは目をこすりそんなはずはないと言い聞かせ、ゴーストに乗り込んだ。
カラスとゼブの戦いは、カラスの方が完全に優勢となった。彼は電極のパワーを殺傷モードに変換すると、最後の一撃を闘争心をすっかり失った憐れなラサットに振りかざそうと、ボウライフルを頭上に上げた。
しかし、その時だった。突然カラスの体が見えない何かに押されたと思うと、宙に飛ばされ、近くの岩に激突し、彼は意識を失った。
カラスを倒したのを見たケイナンはゼブを助けるために無意識にフォースを放った放心状態のエズラと、ゼブを連れて撤退指示を出した。
サビーヌは指示を受け、仕方がなく攻撃を止め、切り上げた。
「今回はこれで済んだけど、今度は息の根を止めてやるから。」
「…………楽しみにしておくね」
こうして、反乱者たちの脅威は一旦去ったのだった。しかし、ホッとしているとアンヌはカラスのことを思い出した。目で彼を探すと、意識を失って倒れているのを見つけた。彼女はあわてて駆け寄ると、先に脈を見た。
「まだ生きてる………良かった……。エージェントカラス!!!しっかりしてください!」
「…………ん……………」
程なくして、彼はアンヌの呼びかけに答えた。幸い、気を失っていただけのようだ。
足元のなんとも覚束無いカラスに、彼女は肩を貸しながらシャトルへ向かった。
「………すまない、副官。」
「あなたが困った時は、助ける。それが私に出来る唯一のことですから」
「…………ありがとう」
カラスは小さな声で礼を言った。二人の視線が、一瞬だけお互いを見つめて止まった。しかしまだ、アンヌの瞳には忠誠心が、カラスの瞳には思慕の念が、それぞれに存在するだけだった。
しかし、ロザル帝国軍オフィスだけは違っていた。朝からの慌ただしさにアンヌとカラスは既にうんざりしていた。事の発端は、ロザル大臣マーケス・チュアからの通信だった。彼女はその日、ガレルでアクアリッシュの武器商人からある武器を受け取るために倉庫へ来ていた。しかし、そこで反乱者たちに襲われ、取引物ごと奪われてしまったというのだ。これにはカラスも頭をかかえた。アンヌは不思議だった。
どうして、武器が奪われただけでこんなに蜂の巣をつついたような騒ぎになるの?
彼女は知的好奇心を満たすために思い切って聞いてみた。
「エージェント・カラス、どうしてこんなに大騒ぎに発展しているのですか?」
「そ、それはだな…………」
カラスは気まずそうにため息を吐くと、渋々説明を始めた。
「奴らが武器を奪っていったことは知っているな?」
「はい」
「…………その武器がな、違法殺傷兵器のT-7イオンディスラプターなのだ。」
「てぃーせぶんいおんでぃす………何でしたっけ?」
カラスは相変わらずの自分の副官の可愛らしさに失笑した。
「通称ディスラプターだ。……簡単に言うとだな、威力は1発で大型艦をショートさせて撃墜させることができる高パワーのイオン砲だ。しかし、その威力が絶大すぎてある惑星での使用以来、銀河帝国の法により一切の使用を禁じられている代物なのだ」
「……………その惑星の生命体に使ったんですね」
鋭いところを突かれて、カラスは不意打ちを食らったような衝撃を頭に感じた。彼は目を少し見開いたまま、生唾を飲み込んだ。その様子がただならなかったのでアンヌはきいてはならないことを聞いてしまったような気がして、バツが悪かった。そのまま2人は沈黙に陥ってしまい、それが返って先ほどのアンヌの質問の肯定を示している気がして尚更カラスは言葉が続かない。
「ご、ごめんなさい!変なことを……」
「………いや、気にしないでくれ。」
アンヌはこれ以上の沈黙を続けることは余計に気まずさを生むだろうと思い、とりあえず休憩をするためにコーヒーを淹れに行った。
カフェテリアには数人の事務局所属の職員と、マーケス・チュア大臣の姿があった。まだ挨拶くらいしか交わしたことのないアンヌは、彼女の隣に座ることに気が引けたので、とりあえず隣の机に座った。チュアはそんな彼女に気づき、ため息混じりに声を掛けた。
「…………そんな離れた所にいないでこっちに来たらどう?副官さん」
「あ………では………横、し、失礼します」
思った以上に強気なチュアにアンヌは戸惑ったが、悪い人ではなさそうだと思うと、気がつけば話を切り出していた。
「あの、確かプライス提督の代理ですよね。チュア大臣」
「ええ、そうよ。ロザルの管理統治は大変だけど、プライス提督のためにも頑張らなきゃね。あなたも大変でしょ」
「え?」
「ほら、急にエージェントカラスの気分で副官なんかになっちゃって。帝国軍は全部決めたこと通りにしかしないから覚えることも多いし……」
チュア大臣は自分のことを心配してくれている。アンヌはそのことにただただ驚いていた。
「あの…………政治の方が大変そうですけど…」
「まぁ、それはそうかもしれないけど………」
2人は沈黙した。それから、お互い同じタイミングで笑った。
「あなたって、面白い人ね!もっと軍人さんかと思ってたけど、思ってたよりも普通の人!」
「大臣も、もっと計算高い政治家なのかと思ってましたけど、とても気さくな方なんですね」
アンヌもチュア大臣はすぐにお互いが気の合う人間であることを確信した。それから2人はついさっき話し始めたとは思えない、まるで大学時代からの親友であるかのように話を弾ませた。2人の会話がようやく終わったのは、エージェントカラスの出動が決まった知らせがアンヌのコムリンクに入ったときだった。オフィスへ戻る前にも、2人は戻った時にまた話をしようと約束をしたのだった。
現場へ向かうシャトルの中で、彼女は知らずのうちに肩を震わせていた。手に握られているブラスターが小刻みに震える。カラスはそれを見て、心配そうに顔を覗き込んだ。
「………大丈夫か?後方支援に回ることも出来るぞ」
「だ、大丈夫です!エージェントの足は引っ張ら内容にしますから」
「そうか…………分かった。」
こんなときにも気遣いを忘れないカラスが、アンヌの心に温かみを取り戻してくれる。毎回銃撃戦へ向かうという恐怖は彼のおかげで払拭されるのだ。
シャトルが着地した。彼女は大きく息を吸い込んで、ブラスターを顔の横で構えた。
「まずいよ、早く逃げなきゃ」
「小僧、ディスラプターを処理してからだ!」
「こだわるなよ!!ゼブ、命の方が大事だって!」
エズラたちゴーストチームはカラス率いる帝国軍に圧倒されていた。それでも彼らはいつものように頭を使って確実に数を減らしていた。カラスが一人のラサットに気づいたのはそんな時だった。
彼が過去に全滅させたはずの野蛮な部族であるラサットが生き残っている。彼の闘争心に火がついた。彼はラサットの武器であるボウライフルを改造したものの両端にある電極を作動させると、ガラゼブ───ゼブに叫んだ。
「ラサット!!私と勝負しろ!」
「な………」
ゼブの視線がボウライフルに釘付けになる。彼は衝動的にカラスに飛びかかると、地面に叩きつけて問うた。
「ボウライフルはラサットしか持てない武器だ!なんで帝国軍将校なんかが持ってるんだ」
「闘いで得た!」
相手の強さを計ったカラスは反撃に出た。2メートル以上ある大柄なゼブにとって不利な体勢で彼は連続攻撃を仕掛ける。電極同士がぶつかりあい、凄まじい音を立てる。
「ラサン攻略の指揮をとったのも、ディスラプター使用を命じたのも、全部私だ!」
「うおおおおおおおおお!!!!」
怒りに打ち震えるゼブは、引き際を見失った。
カラスの指示で、彼女は裏側からの奇襲を担当することとなった。そして、彼と決めた合図である銃声が始まると同時に、待機していたストームトルーパーに声をかけた。
「…………行くよ!!」
滑り出しよく掛けられた奇襲はみごと成功した。しかし、早々にマンダロリアンのサビーヌ・レンとの一騎打ちが始まった。
「────ヴィズラの名において、サビーヌ・レンは一対一の勝負を挑む!」
「………避けられないようだね」
サビーヌがブラスターを構えるより先にアンヌが万が一のためにと渡されていた小型エレクトロ・スタッフ(電子棒)の上下にある電極を起動させ、自分の背丈より少し長めに伸ばした。
「いい武器じゃない。…使いこなせるかは別としてだけど」
「帝国の副官を嗤う者よ、その傲りを正して差し上げましょう」
二人が対峙したところで、戦いの火蓋が切って落とされた。先制攻撃を仕掛けてきたのはサビーヌの方だった。素早い前転で距離を詰め、2丁のブラスターを連射し、威嚇した。だが彼女はアンヌの行動に驚いた。
────嘘…でしょ………
なんと彼女は上下の電極を使いこなし、ブラスターを器用に反射したのだ。光線が危うくサビーヌに直撃しそうになる。その様子を遠くから見ていたトワイレックのヘラ・シンドゥーラは、ある人物を彷彿した。
それは、彼女がまだ幼かった頃のことだった。当時、故郷のライロスは分離主義者たちに攻撃され、どこもかしこもが戦場だった。そんな中、拾ったドロイドのチョッパーの部品を外で探していたヘラは、一度だけ分離主義ドロイドに狙われそうになったことがあった。その時助けてくれたのは、ジェダイであり、共和国の軍師でもあったブレイン・オブ・ザ・リパブリックと呼ばれている伝説級の女性だったのだ。けれど、そのときのヘラの印象としては全くそんな風には感じず、むしろ優しいお姉さんという方がしっくり型にはまっているように思えた。
銀髪の副官がサビーヌを見据える目つきに、その人の面影が重なる。ヘラは目をこすりそんなはずはないと言い聞かせ、ゴーストに乗り込んだ。
カラスとゼブの戦いは、カラスの方が完全に優勢となった。彼は電極のパワーを殺傷モードに変換すると、最後の一撃を闘争心をすっかり失った憐れなラサットに振りかざそうと、ボウライフルを頭上に上げた。
しかし、その時だった。突然カラスの体が見えない何かに押されたと思うと、宙に飛ばされ、近くの岩に激突し、彼は意識を失った。
カラスを倒したのを見たケイナンはゼブを助けるために無意識にフォースを放った放心状態のエズラと、ゼブを連れて撤退指示を出した。
サビーヌは指示を受け、仕方がなく攻撃を止め、切り上げた。
「今回はこれで済んだけど、今度は息の根を止めてやるから。」
「…………楽しみにしておくね」
こうして、反乱者たちの脅威は一旦去ったのだった。しかし、ホッとしているとアンヌはカラスのことを思い出した。目で彼を探すと、意識を失って倒れているのを見つけた。彼女はあわてて駆け寄ると、先に脈を見た。
「まだ生きてる………良かった……。エージェントカラス!!!しっかりしてください!」
「…………ん……………」
程なくして、彼はアンヌの呼びかけに答えた。幸い、気を失っていただけのようだ。
足元のなんとも覚束無いカラスに、彼女は肩を貸しながらシャトルへ向かった。
「………すまない、副官。」
「あなたが困った時は、助ける。それが私に出来る唯一のことですから」
「…………ありがとう」
カラスは小さな声で礼を言った。二人の視線が、一瞬だけお互いを見つめて止まった。しかしまだ、アンヌの瞳には忠誠心が、カラスの瞳には思慕の念が、それぞれに存在するだけだった。
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