この夢小説は、もし乙女ゲームだったらという設定なので、名前変換をすると100倍楽しめます。名前は、〇〇〇・トワイラスの〇の部分が変わります。
3、凍てつくクローネスト
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
クローネストの肌を刺すように凍てつく寒ささえ感じないほど、アンヌは焦燥していた。不幸中の幸い、大戦中に知り得た極秘航路をたどったおかげでガー率いる軍よりは先回りできた。しかし、時間は刻一刻と破滅へと迫っている。
すっかり実業家から軍師の表情に戻った彼女は、入り口の護衛2人を睨み付けた。
「サクソン総督の婚約者か。こんなところに何の用だ」
「サビーヌ嬢に用がある」
「ウルサ様の許可は得────」
衛兵が言い終わるより前に、アンヌはフォースでその身体を弾き飛ばしていた。もう一人は目の前で腰を抜かしている。しかしながら、我に返ってコムリンクに手を伸ばそうとしたため同じ末路を辿った。
アンヌ────ブレインはその後も阻む者をもろともせずクローネストの玉座の間へと突き進んでいった。そして遂に、親子の邂逅を果たしている場へと飛び込んだ。
勢い良く開いた扉に、ウルサは総督が到着したと思い込んで安堵の表情を向けた。だが、そこに立っていたのは意外な人物だったため、主は瞬時に当惑の眼差しに変わった。
困惑したのは他の者たちも同じだ。サビーヌ、エズラ、ケイナンの三人は、去ったはずのアンヌの登場に驚いた。刹那の沈黙のあと、最初に口を開いたのはサビーヌだった。
「アンヌ……?」
「そうだよ、サビーヌ。あなたたちを、助けに来た」
それは、この18年間ずっと亡くなった仲間たちに言いたかった言葉だった。時を遡って、運命も宇宙もフォースの道理を変えてでも、助けたい仲間がいた。彼女の心ははもう、大切な人を見殺しにすることに耐えられない。だからこそ、全てを失う覚悟でここにやって来たのだ。
動悸を抑えながら、アンヌは息を整えて端的に状況を伝えようと口を開いた。
「今すぐここから逃げよう。でないと、総督があなたたちを逮捕しに来る」
「総督が!?母さん、一体何を────」
サビーヌが青ざめた顔でウルサを見た瞬間、再び扉が開く。振り向かずとも、アンヌはそれが誰の訪問なのかを知っていた。
「良くやった、レン殿。反乱者どもを逮捕する。ダークセイバーを渡せ」
30人ほどの部下を従えてやって来たガーは、勝ち誇った笑みを浮かべた。ウルサは乱暴にダークセイバーを投げ、うんざりした面持ちで出迎えている。長年探し続けてきた統治者の証を手にしたガーは、意気揚々と反乱者たちに向き直った。だが、すぐにその笑みは消えた。その場に存在しないはずの人の背姿が視界に飛び込んできたからだ。
彼は震える唇で必死に調音を試みた。やっとのことで出てきた言葉は、あまりにありきたりなものだった。
「────アンヌ……?どうして……お前がここに?」
観念した面持ちをして、アンヌはゆっくりと振り返った。その一挙一投足は、あまりの美しさに人形のようだと誰もが思った。
「……仲間と親友を、助けに来たの」
これ以上の説明は不要だった。呆然とする総督を置いて、アンヌはライトセイバーを起動した。セーバーの低いうなり声がその場に響く。
「そう、私はリリィ・デン。真名をアンヌ・トワイラスと呼ぶ。またの名を、人はブレイン・オブ・ザ・リパブリックと恐れた」
「……見逃してやった恩を、仇で返すつもりかぁっ!!!」
「勝手に押し付けられた恩なんて、ただのお節介よ。別に見逃してほしいなんて言ってない。命乞いなんて、今も昔もした覚えはない。そして────」
ブレインはライトセイバーをフォームIIの型で構えると、愛した人に冷ややかな眼差しを向けた。相手もブラスターに手をかけている。
「これから先も、この運命を何度やり直そうともするつもりはない!!皆が守って死んでいったものを守るためなら、この命などくれてやる!」
「……それが、お前の選択か。ならば俺も、胸の内にしまった覚悟を決めるときが来たようだ」
冷徹なマンダロア総督の表情に変わったガーは、アンヌの正面へ銃口を向けた。その様子を黙って見ていたエズラたちは、固唾を飲んだ。特にエズラは先ほどからそわそわしている。すると、総督が勝ち誇ったように笑った。
「エズラ・ブリッジャー。貴様が誰を待っているのかはお見通しだ。トリスタン、ここにヤツを連れてこい」
インペリアル・スーパーコマンドーが、一斉に道を開けた。そこから現れたのは、フェン・ラウを拘束するサビーヌの兄だった。
「すまん、ブリッジャー。武器を届けてやろうと思ったのだが……」
「総督、これで妹は見逃してもらえますよね?」
トリスタンの言葉に、総督は優しく微笑んだ。それから帝国の印字が入った銃身をちらつかせながらこう言った。
「お前が帝国に忠誠を誓い、レン氏族を根絶やしにすると言うのであればな」
「なっ……」
あまりの卑劣さに、サビーヌとウルサは絶句している。
アンヌは静かに、今や血も涙もない帝国の犬に成り果てた愛する人を睨み付けた。そしてガラスのように薄い唇を開き、凜とした声で応じた。
「レン氏族を根絶やしにするなら、まずは私から倒すことね」
その言葉を皮切りに、インペリアル・スーパーコマンドーが一斉に武器を構えた。ウルサとトリスタンは、これからブレインに起きる悲劇から目を背けるために俯いた。
そして銃声が響いた。
「やったか?」
「いや――――」
次の瞬間、一人の兵士が天井を指さしながら悲鳴を上げた。
「あっ……あいつは……化け物だぁぁ……!!」
見上げると、天井には指先だけで装飾に掴まっているアンヌがぶら下がっていた。彼女は反動もつけず綺麗に着地すると、再びマカシの構えに戻った。今度は彼女が反撃に転じる番だ。
「ひっ、怯むな!マンダロアはかつてジェダイとも戦争をした!頭を使うだけのジェダイなんて、俺たちには――――」
そう叫んだ兵士の身体が宙に浮く。アンヌはその足下へ滑り込んで後ろに回ると、ジェットパックを切りつけた。
「飛べないマンダロアの戦士なんて、ストームトルーパーと一緒でしょ」
「貴様ぁ……!!」
挑発に乗った兵士たちが次々に発砲する。だが、アンヌにとっては全てが止まって見えるだけだ。彼女はリズミカルにブラスターを偏光し、持ち主へと返還していく。あとに残ったのは、わずかな護衛と総督だけだった。
形勢不利と見たガーは、ジェットパックを起動してガラスを突き破り脱出を試みた。もちろん、サビーヌがそうさせない。彼女は床からとっさにブラスターを拾い上げると、ガーのジェットパックを撃ち抜いた。
「うわあああああああっ!!」
呆気なく雪景色へ落ちていく総督を追うサビーヌ。しかし総督はこの程度では倒れなかった。彼はダークセイバーを起動すると、サビーヌに向かって突進し始めた。危機を感じたアンヌは、咄嗟に友へ自らのライトセイバーを投げた。
「これを使って!」
「……修行の成果を、見せる時ね」
僅かにカーブを描いている独特な形のライトセイバーを受け取ると、サビーヌは不慣れながらも型らしき構えをした。逆に総督の方はというと、型など無く滅茶苦茶だ。そしてついに二人の刃――――蒼と黒が交わる。
総督の力は強く、サビーヌは一瞬で弾き飛ばされてしまった。それでも瞬時に体勢を立て直すと、今度はひたすらに避けに徹し始めた。
遠くから二人の戦いを眺めていて、アンヌはある事実に気づいてしまっていた。そう、パワーだ。
ガーは確かに熟練の戦士だ。だが、もう60になろうとしている。一方、サビーヌはまだまだパワーの有り余る20代。このまま攪乱を続ければ不利になるのはガーの方だ。
アンヌはその様子を無言で眺めている。そう、あの日のように何も出来ず、ただただ見ているだけだった。
『いや、みんなも私と一緒に来るのよ!!』
『ブレイン様は、私たちジェダイの誇りでした。そして共和国の守護者です。ですから、ブレイン様はどうか生きて希望を繋いでください』
『そんな、やめて……いや……こんな世界で、独りにしないで!!いやああああああああああああああああっ』
アンヌの頬から、涙が一筋落ちる。その涙を隣に居たエズラは見逃さなかった。
「アンヌ、どうして泣いているの?」
「サビーヌが……勝つからよ」
その言葉通り、サビーヌの刃がガーの腕を切りつけ勝敗が決まった。焼けるような痛みに腕を押さえながら、ガーは苦悶の表情を浮かべている。若きレンの戦士はダークセイバーとライトセイバーをクロスさせて、憎き総督の首に突き付けた。
マンダロアの決闘は、相手が死ぬまで続く。それ故に、次にサビーヌが取る行動は誰もが理解していた。
いや、理解しているつもりだった。
彼女は突然セイバーを停止させると、首を横に振ってこう言った。
「……これはマンダロアのやり方。でも、私のやり方は違う」
サビーヌは踵を返し、清々しい面持ちで歩き去ろうとした。だが、ガーはルール通りに決闘を終わらせようと思っていた。
その手がゆっくりとブラスターへと伸びるのを、アンヌは見逃さなかった。同時に、それを察知したウルサの手が同じくブラスターへ伸びるのも。
そして、アンヌは……
〉〉運命を静かに受け入れる。
〉〉運命に抗う。
すっかり実業家から軍師の表情に戻った彼女は、入り口の護衛2人を睨み付けた。
「サクソン総督の婚約者か。こんなところに何の用だ」
「サビーヌ嬢に用がある」
「ウルサ様の許可は得────」
衛兵が言い終わるより前に、アンヌはフォースでその身体を弾き飛ばしていた。もう一人は目の前で腰を抜かしている。しかしながら、我に返ってコムリンクに手を伸ばそうとしたため同じ末路を辿った。
アンヌ────ブレインはその後も阻む者をもろともせずクローネストの玉座の間へと突き進んでいった。そして遂に、親子の邂逅を果たしている場へと飛び込んだ。
勢い良く開いた扉に、ウルサは総督が到着したと思い込んで安堵の表情を向けた。だが、そこに立っていたのは意外な人物だったため、主は瞬時に当惑の眼差しに変わった。
困惑したのは他の者たちも同じだ。サビーヌ、エズラ、ケイナンの三人は、去ったはずのアンヌの登場に驚いた。刹那の沈黙のあと、最初に口を開いたのはサビーヌだった。
「アンヌ……?」
「そうだよ、サビーヌ。あなたたちを、助けに来た」
それは、この18年間ずっと亡くなった仲間たちに言いたかった言葉だった。時を遡って、運命も宇宙もフォースの道理を変えてでも、助けたい仲間がいた。彼女の心ははもう、大切な人を見殺しにすることに耐えられない。だからこそ、全てを失う覚悟でここにやって来たのだ。
動悸を抑えながら、アンヌは息を整えて端的に状況を伝えようと口を開いた。
「今すぐここから逃げよう。でないと、総督があなたたちを逮捕しに来る」
「総督が!?母さん、一体何を────」
サビーヌが青ざめた顔でウルサを見た瞬間、再び扉が開く。振り向かずとも、アンヌはそれが誰の訪問なのかを知っていた。
「良くやった、レン殿。反乱者どもを逮捕する。ダークセイバーを渡せ」
30人ほどの部下を従えてやって来たガーは、勝ち誇った笑みを浮かべた。ウルサは乱暴にダークセイバーを投げ、うんざりした面持ちで出迎えている。長年探し続けてきた統治者の証を手にしたガーは、意気揚々と反乱者たちに向き直った。だが、すぐにその笑みは消えた。その場に存在しないはずの人の背姿が視界に飛び込んできたからだ。
彼は震える唇で必死に調音を試みた。やっとのことで出てきた言葉は、あまりにありきたりなものだった。
「────アンヌ……?どうして……お前がここに?」
観念した面持ちをして、アンヌはゆっくりと振り返った。その一挙一投足は、あまりの美しさに人形のようだと誰もが思った。
「……仲間と親友を、助けに来たの」
これ以上の説明は不要だった。呆然とする総督を置いて、アンヌはライトセイバーを起動した。セーバーの低いうなり声がその場に響く。
「そう、私はリリィ・デン。真名をアンヌ・トワイラスと呼ぶ。またの名を、人はブレイン・オブ・ザ・リパブリックと恐れた」
「……見逃してやった恩を、仇で返すつもりかぁっ!!!」
「勝手に押し付けられた恩なんて、ただのお節介よ。別に見逃してほしいなんて言ってない。命乞いなんて、今も昔もした覚えはない。そして────」
ブレインはライトセイバーをフォームIIの型で構えると、愛した人に冷ややかな眼差しを向けた。相手もブラスターに手をかけている。
「これから先も、この運命を何度やり直そうともするつもりはない!!皆が守って死んでいったものを守るためなら、この命などくれてやる!」
「……それが、お前の選択か。ならば俺も、胸の内にしまった覚悟を決めるときが来たようだ」
冷徹なマンダロア総督の表情に変わったガーは、アンヌの正面へ銃口を向けた。その様子を黙って見ていたエズラたちは、固唾を飲んだ。特にエズラは先ほどからそわそわしている。すると、総督が勝ち誇ったように笑った。
「エズラ・ブリッジャー。貴様が誰を待っているのかはお見通しだ。トリスタン、ここにヤツを連れてこい」
インペリアル・スーパーコマンドーが、一斉に道を開けた。そこから現れたのは、フェン・ラウを拘束するサビーヌの兄だった。
「すまん、ブリッジャー。武器を届けてやろうと思ったのだが……」
「総督、これで妹は見逃してもらえますよね?」
トリスタンの言葉に、総督は優しく微笑んだ。それから帝国の印字が入った銃身をちらつかせながらこう言った。
「お前が帝国に忠誠を誓い、レン氏族を根絶やしにすると言うのであればな」
「なっ……」
あまりの卑劣さに、サビーヌとウルサは絶句している。
アンヌは静かに、今や血も涙もない帝国の犬に成り果てた愛する人を睨み付けた。そしてガラスのように薄い唇を開き、凜とした声で応じた。
「レン氏族を根絶やしにするなら、まずは私から倒すことね」
その言葉を皮切りに、インペリアル・スーパーコマンドーが一斉に武器を構えた。ウルサとトリスタンは、これからブレインに起きる悲劇から目を背けるために俯いた。
そして銃声が響いた。
「やったか?」
「いや――――」
次の瞬間、一人の兵士が天井を指さしながら悲鳴を上げた。
「あっ……あいつは……化け物だぁぁ……!!」
見上げると、天井には指先だけで装飾に掴まっているアンヌがぶら下がっていた。彼女は反動もつけず綺麗に着地すると、再びマカシの構えに戻った。今度は彼女が反撃に転じる番だ。
「ひっ、怯むな!マンダロアはかつてジェダイとも戦争をした!頭を使うだけのジェダイなんて、俺たちには――――」
そう叫んだ兵士の身体が宙に浮く。アンヌはその足下へ滑り込んで後ろに回ると、ジェットパックを切りつけた。
「飛べないマンダロアの戦士なんて、ストームトルーパーと一緒でしょ」
「貴様ぁ……!!」
挑発に乗った兵士たちが次々に発砲する。だが、アンヌにとっては全てが止まって見えるだけだ。彼女はリズミカルにブラスターを偏光し、持ち主へと返還していく。あとに残ったのは、わずかな護衛と総督だけだった。
形勢不利と見たガーは、ジェットパックを起動してガラスを突き破り脱出を試みた。もちろん、サビーヌがそうさせない。彼女は床からとっさにブラスターを拾い上げると、ガーのジェットパックを撃ち抜いた。
「うわあああああああっ!!」
呆気なく雪景色へ落ちていく総督を追うサビーヌ。しかし総督はこの程度では倒れなかった。彼はダークセイバーを起動すると、サビーヌに向かって突進し始めた。危機を感じたアンヌは、咄嗟に友へ自らのライトセイバーを投げた。
「これを使って!」
「……修行の成果を、見せる時ね」
僅かにカーブを描いている独特な形のライトセイバーを受け取ると、サビーヌは不慣れながらも型らしき構えをした。逆に総督の方はというと、型など無く滅茶苦茶だ。そしてついに二人の刃――――蒼と黒が交わる。
総督の力は強く、サビーヌは一瞬で弾き飛ばされてしまった。それでも瞬時に体勢を立て直すと、今度はひたすらに避けに徹し始めた。
遠くから二人の戦いを眺めていて、アンヌはある事実に気づいてしまっていた。そう、パワーだ。
ガーは確かに熟練の戦士だ。だが、もう60になろうとしている。一方、サビーヌはまだまだパワーの有り余る20代。このまま攪乱を続ければ不利になるのはガーの方だ。
アンヌはその様子を無言で眺めている。そう、あの日のように何も出来ず、ただただ見ているだけだった。
『いや、みんなも私と一緒に来るのよ!!』
『ブレイン様は、私たちジェダイの誇りでした。そして共和国の守護者です。ですから、ブレイン様はどうか生きて希望を繋いでください』
『そんな、やめて……いや……こんな世界で、独りにしないで!!いやああああああああああああああああっ』
アンヌの頬から、涙が一筋落ちる。その涙を隣に居たエズラは見逃さなかった。
「アンヌ、どうして泣いているの?」
「サビーヌが……勝つからよ」
その言葉通り、サビーヌの刃がガーの腕を切りつけ勝敗が決まった。焼けるような痛みに腕を押さえながら、ガーは苦悶の表情を浮かべている。若きレンの戦士はダークセイバーとライトセイバーをクロスさせて、憎き総督の首に突き付けた。
マンダロアの決闘は、相手が死ぬまで続く。それ故に、次にサビーヌが取る行動は誰もが理解していた。
いや、理解しているつもりだった。
彼女は突然セイバーを停止させると、首を横に振ってこう言った。
「……これはマンダロアのやり方。でも、私のやり方は違う」
サビーヌは踵を返し、清々しい面持ちで歩き去ろうとした。だが、ガーはルール通りに決闘を終わらせようと思っていた。
その手がゆっくりとブラスターへと伸びるのを、アンヌは見逃さなかった。同時に、それを察知したウルサの手が同じくブラスターへ伸びるのも。
そして、アンヌは……
〉〉運命を静かに受け入れる。
〉〉運命に抗う。