日常
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「鳩山、見廻り行くぞ··········って、いねぇ」
自室の隣の部屋の襖を開く。
いつもそこにいるはずの姿は見当たらない。
何処へ行ったのか。
辺りを見渡すと、ミントンに勤しむ山崎の姿が視界に入り、反射的に後ろから飛び蹴りを食らわせる。
山崎は見事に右足の下敷きになる形で倒れ込んだ。
「ぐああっ!ふ、副長·····!」
「絶好調だなァ山崎。冬なのによーく身体が動いてるじゃねーか」
「副長いたい·····!顔がっ、顔が地面にめり込んでいきます···っ!」
「そーかそーか。表情筋も動かしたいってか。協力してやるよ」
「いだたたたたっ!無理!これ以上は無理!!!」
散々踏み倒して満足していたが、本題を思い出した。こんなことをしている場合ではない。
「ところで、鳩山見てねぇか」
「え?あぁ····た、確か沖田隊長とあっちの部屋にいましたよ·····」
必死に指を伸ばす方向を見ると、隊士がよく休憩に使っている部屋を指しているようだ。
は、早く足をどけてください!と足元が騒がしい為、最後に一蹴りしてから足を地面に戻す。
自由になった山崎はぐしゃぐしゃになった顔を擦りながら何やら文句を言っているが、土方は相手にすることなく部屋に向かって歩き出した。
「おい鳩山、見廻りの時間だ··········何やってんのお前ら·····」
「何って·····」
「見ての通りでさァ」
休憩室の部屋を開いた土方の目に映ったのは、首までスッポリ炬燵に入って寛ぐ沖田とまめ子。
仕事中とは思えない緩み切った態度に土方の口から溜息が零れた。
「鳩山、書類が片付いたら見廻りに出るって言ったよな?」
「はい。副長のお仕事が終わるまで、こうして待機しておりました」
「総悟、お前まだ交代の時間じゃねーだろ?」
「休憩の前倒しでさァ」
「・・・・」
まめ子は土方を待っていたと言う割に、一向に炬燵から出る気配はない。
沖田に至ってはアイマスクを付けようとしている。
「·····いいから出ろ!仕事しろお前ら!!」
土方は2人の首根っこを掴み、炬燵から引っ張り出そうとするも、しがみついて離れない。
「おいいいいい!なんだオメーら接着剤でくっついてんのか!?」
「いやです、やめてください副長!寒くて死にます!」
「寒さで人は死なねぇから安心しろ!」
「休憩もさせないつもりですかィ。土方死ね」
「お前は何時間休憩すんだよ!お前が死ね!」
力を使い果たし、土方は1度手を離す。
少し引っ張り出したはずの2人の身体はまた炬燵の奥深くへと潜っていった。
「無理強いはよくねぇや土方さん。ねー」
「ねー」
仲良く炬燵でぬくぬくしている姿に苛立ちばかりが募り、土方は懐から煙草を取り出し火を付ける。
「仕事には真面目だったろーが。総悟から悪影響受けてんじゃねーぞ」
じろりとまめ子を睨むと、その視線から逃れるように目元まで炬燵布団を被り反論してくる。
「私は仕事に真面目な訳ではありません。真選組へ忠誠を誓っただけです」
「忠誠誓ったんなら態度で示しやがれ」
「正確に言うと、私が忠誠を誓ったのは副長と自由と炬燵にです」
「その並びに俺を入れるのやめてくんない???」
「まぁまぁ土方さん。土方さんも入ればいいじゃねーか」
「うおっ!?」
沖田は炬燵から手を出したと思うと、土方の足首を掴み、炬燵の中へ引きずりこんだ。
「何しやがる総悟!」
土方は受身をとり、なんとか頭の強打は免れたが、上体を起こした頃には既に身体半分は暖かい炬燵の中。
炬燵の住民のホームである。
完全アウェイの土方の脚の上には沖田の脚が、下にはまめ子の脚があり、がっちりホールドされて動くことができない。
「·····おい、脚どけろ」
「どかしたら、出ていくじゃねーですか」
「当たり前だろ!寛ぎにきた訳じゃねーんだ。鳩山も痛ェだろ、言ってやれ総悟に」
「副長の脚の下敷きになれて幸せです」
「変態かオメーは!!」
はぁ·····と溜息と共に紫煙を吐き出し、土方は炬燵に頬杖をついた。どうやら抵抗を諦めたようだ。
「·····サボった分、残業だからな」
「土方さんも一緒にサボってんだから怖くねェや」
「最強の味方です」
「誰もオメーらの味方になったつもりはねーよ」
「ただ、たまにゃ炬燵でのんびりすんのも悪かねェな」
ーfinー
「ん?誰だー炬燵でうたた寝してるのは」
「いつも通り、炬燵の住人のお二人じゃないですか?」
「ザキ、あの二人は炬燵の住人だったのか?」
「あれ?今日は三人いません?」
「三人?誰がサボって··········え、トシ?トシィィ!?嘘でしょ、トシィィィ!」
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