本篇
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「あっひゃひゃひゃひゃひゃ!」
「ちょっと銀さん!笑いごとじゃないんですよ!」
昨日の出来事をありのまま話すまめ子は、少し後悔していた。
誰かに話を聞いてほしかった。訪れた万事屋で勢いで話し始めたが、話す相手を間違えたと思う。
「いやいや短時間で2回も捕まりそうになるなんてね、ある意味才能よそれ。自信持って!」
「何の自信にもならないですよ…副長さん、絶対私の印象最悪ですよ…」
「まめ子ちゃんは正直に生きてるってことだからさ。良いことだよ。俺は好きだよそういうところ」
「銀さんに好かれても…真選組に嫌われたらこの地で生きていけないですよね·····」
銀時の笑いながらのフォローではまめ子の心は晴れない。
むしろ銀時の笑い声を聞くたびに心が沈んでいく。
負と陽の空気が混在する空間の扉を
眼鏡の少年とチャイナ服の少女が開いて入ってきた。
「うわっ何ですかこのカオスな空気!」
「見るヨ新八!黒い渦の中心にまめ子がいるネ!」
「え、何事?そしてなんで銀さんは笑ってんの?」
「どしたのまめ子!ポリ公に手錠でも掛けられたか!」
「それ今冗談に聞こえない!なんてピンポイントに心を抉るボケ!」
「マヨ方くんに短時間で2回も捕まりそうになったんだとよ。正直者がバカを見るたぁ、まめ子ちゃんの事だね〜」
再び笑う銀時に何も言い返す言葉が見つからず、うわああとテーブルに突っ伏したまめ子に苦笑いを浮かべながら新八はお茶を差し出す。
「えっとー·····まめ子さん?銀さんに笑われに来たんですか?そんな訳、ないですよね·····?」
「そんな訳ないです。ちゃんと用事があって来たんです。そりゃ話を聞いて欲しいとは思いましたよ。だから銀さんに喋りましたよ。でもここまで笑われるとは思ってなかったんです。私の心はズタボロですよ、もう生きていけない····」
「末期だ…」
「銀ちゃんの言うことなんて気にすることないヨ。銀ちゃんなんか人に笑われる人生しか歩んでないネ。みんなに指さされて生きてる人生よりまめ子はまだ生きる価値あるヨ」
「ちょっと神楽ちゃん!?次は俺の心を抉りにきてない!?」
差し出されたお茶を飲み、ふーっと深く息を吐き出したまめ子は少し落ち着きを取り戻した。
「仕事の依頼に来たんです」
「お、昨日お願いしたのにもう仕事持ってきてくれたの?さっすが〜」
「助かります·····今月給料ないかと思いました·····」
「酢昆布が買えないところだったアル」
「で?なになに?俺たちに依頼ってなに」
ノリノリでまめ子の対面のソファに座る万事屋一行。
「皆さんにお願いしたいのは、引っ越し作業です」
「「引っ越し?」」
「はい。あるレストランが大通り沿いに引っ越すんですけど、作業が遅れていてオープンに間に合わないかもしれないんです。」
「へーそりゃあ大変だぁねー(棒読み」
「ちょっと銀さん、真面目に聞きましょうよ」
「作業が遅れている情報は入っていたのですが、まさかここまでとは·····」
「オープンに間に合うように引っ越しをお手伝いする、ということですか?」
「そうです新八さん!」
内容を把握した途端、銀時と神楽はソファに崩れ落ちた。
「え〜〜力仕事じゃん〜疲れるじゃん〜」
「銀さん、ワガママ言わないでください。生活のためですよ」
「女の子が引っ越し作業なんて可哀想アル。私は応援に回るヨ」
「いやアンタが一番戦力だからね?」
本当にすぐ態度に出る。
分かりやすい人間たちである。
「お願いします!私を助けると思って!」
助ける?と首を捻る万事屋に、まめ子はこの仕事を引き受けてもらいたい理由を話し始める。
「どうしても予定通りにオープンさせたいんです!そのレストランの引っ越しが長引くと、大通りの景観が損なわれたり渋滞する恐れがあるんです」
「はぁ」
「大通りが通れないとなぁ…私の考えてるルートが使えないんだよなぁ…」
「ルートって何ネ?」
「まめ子ちゃんは人生のルートでも悩んでんのかね?」
「将軍様はあそこも見たいだろうから…」
「もしかして…将軍様のパレードに関わってんの?」
「え!?あ、いや、そういう訳じゃないですよ!!!断じて!!むしろ何でそんな発想になるのかなぁ!不思議だなぁ!!!!」
「必死すぎて怖いですよまめ子さん」
「余計に怪しいアル」
「ほんと素直だねぇ君は」
ニヤニヤとこちらを見てくる三人に、まめ子はクソっと顔を歪める。
「と、とにかく!お願いしますよ!今回は私がわざわざ現地を訪ねて仕事もらってきたんですから!」
「将軍様のために?偉いね〜まめ子ちゃん。」
「将軍様は忘れてください!」
「ちゃんと報酬貰えるアルか?そこが一番重要ヨ。金がないとお話にならないネ。世の中金よ」
「神楽ちゃん、銀さんみたいなこと言ってるよ」
「もちろんです。話を聞くとあちらも相当困ってたみたいで。しっかり頂けそうです」
「誰から?将軍様から?」
「銀さん?将軍様から離れて?」
はぁ〜と溜息をつき、まめ子は立ち上がって玄関の方へ足を向ける。
「明日からですよ!いいですね!私も行きますからね!」
「はいはい。将軍様のために働きますかね〜」
「銀さんんんん!!」
「明日、よろしくお願いします。お気を付けて」
「ポリ公に捕まるんじゃナイヨ」
「捕まりません!!!·····では明日」
明るい万事屋と話していると、落ち込んでいた自分を忘れることができた。
だが明日、それは彼らによって
見事に思い出さされることになるのだった。
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