月島は、カバンの中に手を入れて、紙封筒を確かめた。……ブランド物の皮アンクレットが入っている。
美雪は告白OKしたその日にデートを申し込み、(普通逆じゃない？)百貨店に連れ込まれ、付き合い記念に買ってプレゼントしてくれた(普通略)。ご丁寧に靴下の下に隠れても問題ない大きさで普段使いも耐えうるデザインだ。

多分あの人は人付き合いの基準にしている人物を間違えていると思う。面白いからいいけどさ。
ペアで品物を揃えるとか自分も彼女にも柄じゃなさそうなのが尚更面白おかしい。
とりあえず、自分とは出来る限り真摯に付き合おうとしていることは十分理解できた。

「え、ってことは……あの人と僕は恋人？？」
ここで月島は唐突に理解した。
今日美雪が彼女、つまり恋人となった事を。
想定では絶対に初回じゃ無理だろうと思ってたのに？？


自分の予想1:
冗談と取られ告白スルー。(途中までは実際その通りだった)

自分の予想2:
フツーに断られる。まだ考えた事ないから、とかありがちな理由。

自分の予想3:
フツーに断られるのもっと嫌な例。他の奴が好きとかそういう理由による拒否。殺ス。

自分の予想4:
私も好きだよ(友達として)とかアホ展開。冗談リアル問わずそういう生ぬるい頭の馬鹿はこっちから願い下げなので、なかった事にするつもりだった。

自分の予想5:
期間を区切られ次回返答。または仲良い友達から始めよう的な奴。クソみたいな展開。わざわざ切り出したのに回答保留とか誠意に欠けるのでナシ。

で、どれでもなくその場で了解……。
自分で言うのもアレだけど、好かれる人格者と対局に位置すると思っているので付き合いがある人こそ敬遠されるタイプと思ったが。…まさかのOK。

「……………」
くしゃ、っと紙袋が手のひらの中で小さくなった。
小さくガッツポーズをした。