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及川は特になんかの下心とかもなく、
部屋に女子がいる事に不思議さを覚えていた。
自分はさっき、烏野高校にいっぱい食わされて……そんで高校でのバレー部生活に終わりを突きつけられた。
そんな事が遠い夢だったかのように、どこかぼんやりした気持ちでボールをトスしていた。
なぜか心はフラットな気持ちだった。
「ボール、もいっこありますか」
「……あるよ、本棚。そこにエア入ってないやつある」
「…お借りしてもよろしいですか」
「いいよ、特別ね」
「………ありがとうございます」
彼女は目でボールを目視したと思ったら、ボールが一人でに空気が入り……何かに叩かれるような音とともに彼女の手に自動的に収まった。
「あっこれ……あの時買ってたやつ。未使用だったんですね」
「何か、勿体なくって。今のが割れたら使おうかと思ってた」
「……使ってもいいです?」「どーぞどーぞ元々半額分くらいは君のでしょ、いいよ」
割引券で買わせて頂いたので、その言はある意味では間違っていない。
自分も彼女もそれぞれトスをする。
彼女は時折、バスケゴールにノールックで入れたりしながらトス練をしていた。
……上手いじゃん、思った以上に。
何でそーゆー能力隠してんのかな。出せば良いのに、プレイヤーやれば良いのに。
……楽しいのに。
「どうしてそんなつまんなそうな顔でボールを打つの?」
「……!私はできないです。──コレはやれないんです」
「へえ、普段の日常生活ではあんなに負けず嫌いなのに、これだけは諦めがついているんだ??」
面白くない。
「……そうですね、バレー、諦めてます。みんなのやってるところ……カッコいいって思うし、羨ましいとも思うけど……。私は不用意にバレー試合を愚弄し、バレーの神様に嫌われてしまったので。…てもうコートに立つ資格がなくなってしまったのです」
……面白くない。
「あんた、そんなにやりたがっているのに。お利口なフリしてホントに楽しいの?実はおバカ?」
ホンットに面白くない。
バレーは一番自由で、一番気持ちいいものなのに、何でやらないの?
「…………」
彼女はオーバーハンドの姿勢でボールを掴んだまま止まる。
「………っ、どうでしょうね、もうわかんなくなっちゃいましたよ」
美雪は、ぎゅっとボールを抱えて、俯いた。
「最初は、このまま烏野のみんなを見続けたら、勝とうが負けようがきっとバレーがまた好きになると、思っていたんです。彼らをみて私も飛ぶ力が得られるかもって」
「……でも、条善寺とか……青城とか、烏野が落としたチームそれぞれの見えてしまって、そこにいる人たちの表情とか感情とか……声とか全部頭に響いて。心にずうんって重しのように澱んで。……そんなプレイヤーたちの思い・夢を全てこの手は簡単に穢してしまえる。私は……やっぱり……スポーツに関しては関わるべきではない。そんな感じで、大人しく普通でいようって思うわけです」
「はあ、超能力者も色々難儀しているんだね」
「こんなもん、無い方が楽しく生きられるんです。……無邪気に烏野高校のマネージャー出来たかもしれないし、なんなら今プレイヤーとしてコートにいたかもしれない……結局、可能性を閉じる方がとっても生きやすい」
「そっか」
「……はい」
「ねえ、もっと生きやすくなる方法って知ってる?」
それならば自分は彼女を助けられる位置にいた……幸いなことに。彼女にとってはもしかしたらお節介かもしれないけど。
「?……っんん」
「っん、………奪っちゃった」
「何するんですか!?急にッ」
及川は、隣の彼女に祝福をひとつプレゼントした。
何を諦める事があるのだろうか、簡単な事だ。
「……答えは、人に依存する事だよ。
選択の軸を人に預ければ……選択肢が広がることを。バレーやってる人ならならみんな知ってることなんだけどどう?」
「……はあ??……確かにバレーはチーム戦です。けど、人生は個人戦です」
「違うね。キミは大切な事に気づいてない。………人生は個人戦に見えているだけで、その実チーム戦です。ヒトは一人では生きていけないって小学校で習わなかった??」
「ぐっ…詭弁です。……生まれた時は一人ですし、死ぬ時も一人っす」
「そうならない方法あるけど?しかも俺はその方法をすぐに君に提示できる」
「なんでですか!!!及川さんに頼んだら今すぐにこの超能力消してくれるんですか!!!?」
彼女は手にボールを浮かべ、超常現象に嫌悪の表情を浮かべている。ここまで言って気づかないって天然記念物モノじゃない??
「あーもうそっちじゃないよ!!!……っ鈍感だな!!……あるじゃん!!死ぬ時一人じゃ無い方法って言ってまだピンときてないの!?
……俺とっ、恋人になれば、そんなネガティヴ吹き飛ばしてやるっつってんだろ!!!本心でバレーやりたいって思うなら、この及川徹サンが一緒に組んでやるべや!!こっ、これでも……バレーの楽しさを教えるのは超得意だからね!!」
「!!!」
浮かんでいたボールを弾き飛ばすと、ボールは部屋の中を跳ね回り、……いくつかものを経由し最終的にはペン立てを倒して止まった。
感情的になりすぎて、つい言うつもりじゃなかった事を言ってしまった。
「……アッ……」
しかも同意なしにキスまでしてしまった。
いくら鈍感相手でもコレは怒る、間違いなく。
やってしまった事に気づいた及川は、床に即座に正座をした。
「…………」
彼女は目を丸くしてこちらの言葉を咀嚼している様子だった。やがて……理解し、口をキュッと真一文字に結んだ。唇に手も当てた。
「あの、美雪ちゃん。怒ってますよね??見た事ないくらい震えてますよね??……あの、あのあの同意なしキス……す、すみません。告り方トチりました」
及川はその格好のまま土下座をする。
「………ふ、ふふふふふ」
「!?」
「コロス、及川さんコロス……」
「ヒイッ!?!?マリッジ・オア・デッド!?」
恐らく殺される。社会的に殺される。この人はそう言う知恵は回る。
───おお及川よ死んでしまうとは情けない。
謎のモノローグが脳内再生された。
「………です」
「?」
「……マリッジの方ですね」
「へえっ!?!?……どゆこと???」
ちょっと考え込んだ顔をしているが、死ではない方……つまりこっちを選んだわけですがマジですか。
「………及川さんと歩くバレープレイヤー生活に興味が湧きました。私、一人で色んな進路モヤモヤーと考えてましたが一旦白紙にします!」
「えっ……ってことはつまり?」
「結婚しましょう、私が卒業するまで待ってほしいっすけど、及川さんおすすめのバレー、ぜひやりたいです。………依存させてくれるんでしょ?」
「マジ……で??」
「マジです。ただいいんすか?私ちょっと面倒くさい女ですよ??」
「存じ上げておりますよ、でもまあ。……俺も?一筋縄では行かないし??」
「確かに…!」
「そこ納得すんだ!?」
及川は美雪に手を差し出した。
「そんじゃ、今から青葉城西行って、練習しよ!
………っどーせあいつら、ラーメン食いに行った後フツーに練習しだしてるデショ!」
「……はいっ」
高卒後彼と一緒に海を渡り、子育ての傍らアマチュア選手で活躍することになるんだろうな。この子、選手になる道あるんだな……
部屋に女子がいる事に不思議さを覚えていた。
自分はさっき、烏野高校にいっぱい食わされて……そんで高校でのバレー部生活に終わりを突きつけられた。
そんな事が遠い夢だったかのように、どこかぼんやりした気持ちでボールをトスしていた。
なぜか心はフラットな気持ちだった。
「ボール、もいっこありますか」
「……あるよ、本棚。そこにエア入ってないやつある」
「…お借りしてもよろしいですか」
「いいよ、特別ね」
「………ありがとうございます」
彼女は目でボールを目視したと思ったら、ボールが一人でに空気が入り……何かに叩かれるような音とともに彼女の手に自動的に収まった。
「あっこれ……あの時買ってたやつ。未使用だったんですね」
「何か、勿体なくって。今のが割れたら使おうかと思ってた」
「……使ってもいいです?」「どーぞどーぞ元々半額分くらいは君のでしょ、いいよ」
割引券で買わせて頂いたので、その言はある意味では間違っていない。
自分も彼女もそれぞれトスをする。
彼女は時折、バスケゴールにノールックで入れたりしながらトス練をしていた。
……上手いじゃん、思った以上に。
何でそーゆー能力隠してんのかな。出せば良いのに、プレイヤーやれば良いのに。
……楽しいのに。
「どうしてそんなつまんなそうな顔でボールを打つの?」
「……!私はできないです。──コレはやれないんです」
「へえ、普段の日常生活ではあんなに負けず嫌いなのに、これだけは諦めがついているんだ??」
面白くない。
「……そうですね、バレー、諦めてます。みんなのやってるところ……カッコいいって思うし、羨ましいとも思うけど……。私は不用意にバレー試合を愚弄し、バレーの神様に嫌われてしまったので。…てもうコートに立つ資格がなくなってしまったのです」
……面白くない。
「あんた、そんなにやりたがっているのに。お利口なフリしてホントに楽しいの?実はおバカ?」
ホンットに面白くない。
バレーは一番自由で、一番気持ちいいものなのに、何でやらないの?
「…………」
彼女はオーバーハンドの姿勢でボールを掴んだまま止まる。
「………っ、どうでしょうね、もうわかんなくなっちゃいましたよ」
美雪は、ぎゅっとボールを抱えて、俯いた。
「最初は、このまま烏野のみんなを見続けたら、勝とうが負けようがきっとバレーがまた好きになると、思っていたんです。彼らをみて私も飛ぶ力が得られるかもって」
「……でも、条善寺とか……青城とか、烏野が落としたチームそれぞれの見えてしまって、そこにいる人たちの表情とか感情とか……声とか全部頭に響いて。心にずうんって重しのように澱んで。……そんなプレイヤーたちの思い・夢を全てこの手は簡単に穢してしまえる。私は……やっぱり……スポーツに関しては関わるべきではない。そんな感じで、大人しく普通でいようって思うわけです」
「はあ、超能力者も色々難儀しているんだね」
「こんなもん、無い方が楽しく生きられるんです。……無邪気に烏野高校のマネージャー出来たかもしれないし、なんなら今プレイヤーとしてコートにいたかもしれない……結局、可能性を閉じる方がとっても生きやすい」
「そっか」
「……はい」
「ねえ、もっと生きやすくなる方法って知ってる?」
それならば自分は彼女を助けられる位置にいた……幸いなことに。彼女にとってはもしかしたらお節介かもしれないけど。
「?……っんん」
「っん、………奪っちゃった」
「何するんですか!?急にッ」
及川は、隣の彼女に祝福をひとつプレゼントした。
何を諦める事があるのだろうか、簡単な事だ。
「……答えは、人に依存する事だよ。
選択の軸を人に預ければ……選択肢が広がることを。バレーやってる人ならならみんな知ってることなんだけどどう?」
「……はあ??……確かにバレーはチーム戦です。けど、人生は個人戦です」
「違うね。キミは大切な事に気づいてない。………人生は個人戦に見えているだけで、その実チーム戦です。ヒトは一人では生きていけないって小学校で習わなかった??」
「ぐっ…詭弁です。……生まれた時は一人ですし、死ぬ時も一人っす」
「そうならない方法あるけど?しかも俺はその方法をすぐに君に提示できる」
「なんでですか!!!及川さんに頼んだら今すぐにこの超能力消してくれるんですか!!!?」
彼女は手にボールを浮かべ、超常現象に嫌悪の表情を浮かべている。ここまで言って気づかないって天然記念物モノじゃない??
「あーもうそっちじゃないよ!!!……っ鈍感だな!!……あるじゃん!!死ぬ時一人じゃ無い方法って言ってまだピンときてないの!?
……俺とっ、恋人になれば、そんなネガティヴ吹き飛ばしてやるっつってんだろ!!!本心でバレーやりたいって思うなら、この及川徹サンが一緒に組んでやるべや!!こっ、これでも……バレーの楽しさを教えるのは超得意だからね!!」
「!!!」
浮かんでいたボールを弾き飛ばすと、ボールは部屋の中を跳ね回り、……いくつかものを経由し最終的にはペン立てを倒して止まった。
感情的になりすぎて、つい言うつもりじゃなかった事を言ってしまった。
「……アッ……」
しかも同意なしにキスまでしてしまった。
いくら鈍感相手でもコレは怒る、間違いなく。
やってしまった事に気づいた及川は、床に即座に正座をした。
「…………」
彼女は目を丸くしてこちらの言葉を咀嚼している様子だった。やがて……理解し、口をキュッと真一文字に結んだ。唇に手も当てた。
「あの、美雪ちゃん。怒ってますよね??見た事ないくらい震えてますよね??……あの、あのあの同意なしキス……す、すみません。告り方トチりました」
及川はその格好のまま土下座をする。
「………ふ、ふふふふふ」
「!?」
「コロス、及川さんコロス……」
「ヒイッ!?!?マリッジ・オア・デッド!?」
恐らく殺される。社会的に殺される。この人はそう言う知恵は回る。
───おお及川よ死んでしまうとは情けない。
謎のモノローグが脳内再生された。
「………です」
「?」
「……マリッジの方ですね」
「へえっ!?!?……どゆこと???」
ちょっと考え込んだ顔をしているが、死ではない方……つまりこっちを選んだわけですがマジですか。
「………及川さんと歩くバレープレイヤー生活に興味が湧きました。私、一人で色んな進路モヤモヤーと考えてましたが一旦白紙にします!」
「えっ……ってことはつまり?」
「結婚しましょう、私が卒業するまで待ってほしいっすけど、及川さんおすすめのバレー、ぜひやりたいです。………依存させてくれるんでしょ?」
「マジ……で??」
「マジです。ただいいんすか?私ちょっと面倒くさい女ですよ??」
「存じ上げておりますよ、でもまあ。……俺も?一筋縄では行かないし??」
「確かに…!」
「そこ納得すんだ!?」
及川は美雪に手を差し出した。
「そんじゃ、今から青葉城西行って、練習しよ!
………っどーせあいつら、ラーメン食いに行った後フツーに練習しだしてるデショ!」
「……はいっ」
高卒後彼と一緒に海を渡り、子育ての傍らアマチュア選手で活躍することになるんだろうな。この子、選手になる道あるんだな……
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