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宇内美雪は、後ろに座って方向指示以外言葉を発しない及川に不気味さを感じている。
思えばこの人は、自分を掻き乱すことに関しては傑出の才能を示していた。
まさか初めて会った人(と言うかあの時点では会ってもいなかった)に対して、猫騙しをするという突飛な行動を行うとは思わないし…どう出会い直しても超能力バレが防げないと絶望した瞬間は本当にあれっきり。
と言うかアレがなかったら、一生死ぬまで隠し通すつもりだったくらいだ。本当にあの時の自分に会えたなら『頼むから青葉城西高校に近づくな』位の警告を与えたいところだ。
次に会った時は、さらに窮地。
髪型と制服の組み合わせ上、出くわしたら絶対まずい事はちょっと考えればわかる事なのに……完全に油断をしていた。言い訳させてもらうと、青葉城西の学区近くに寄らなければ大丈夫だと思い込んでいた。ともかく、自ら私の正体は烏野高校のバレー部スパイですって格好でうろついていたわけで。
以後山口君とのデートの時も、牛島さんとのデート(?)の時もお互いに強みと弱みを見せながら、一進一退の攻防を繰り広げるライバル関係ではあったのかもしれない。
──白状しよう、私は及川徹の事はそれほど嫌いではなかった。(態度は時折辛辣だったかもしれない)
自分と違って芯を持っていて。研鑽は厭わない。益のある反省方法をするしPDCAを回せる。部のファシリテートは非常に円滑に進行できる。
なによりコンプレックスの塊な飛雄にアドバイスを送ってみせた。また牛島に対しても、警告……そして発破をかける事をしていた。
そんな事ができる奴はそんなにいない。感情と理性を切り離せる人は総じて仕事ができる奴と相場が決まっている。
……そう、言動や雰囲気で子供っぽいと思われがちだが、割と周囲の中では一番有能な大人の人なのだ。
「そこ左折」
「はい」
「しばらく直進」
「了解」
さっきは流石に「終わった」と思った。
彼のあんな血の気が引いた顔、初めて見た。
よほど見られたくない姿……いや、そうなんだよな……どう考えても私は出ては行けない場面だった。彼との敵のような味方のような関係はここで終わりかと思った。
不思議だ。
対面直後こそトゲトゲしていてすぐにでも言い争いが勃発しそうな雰囲気があったが、移動しようと言ったら小康状態まで落ち着いていくれた。
私は行動承認を受け……彼の懐であるご自宅配送を承った。何かお願いを叶えて罪を清算したいと言う思いもあったし、こんな死んだ顔をした彼を放置して帰るのは心配だったためちょうどよかった。
私なら、なんかあれば彼を超能力で守ることができるわけだし、恐らくこの世界で最も安全な場所が提供できるという自負もあった。
「……ここ、俺の家」
「なるほど。……ガレージはありますか?」
「裏手にある。着いてきて」
「はい」
敷居を跨ぐ。
思えばこの人は、自分を掻き乱すことに関しては傑出の才能を示していた。
まさか初めて会った人(と言うかあの時点では会ってもいなかった)に対して、猫騙しをするという突飛な行動を行うとは思わないし…どう出会い直しても超能力バレが防げないと絶望した瞬間は本当にあれっきり。
と言うかアレがなかったら、一生死ぬまで隠し通すつもりだったくらいだ。本当にあの時の自分に会えたなら『頼むから青葉城西高校に近づくな』位の警告を与えたいところだ。
次に会った時は、さらに窮地。
髪型と制服の組み合わせ上、出くわしたら絶対まずい事はちょっと考えればわかる事なのに……完全に油断をしていた。言い訳させてもらうと、青葉城西の学区近くに寄らなければ大丈夫だと思い込んでいた。ともかく、自ら私の正体は烏野高校のバレー部スパイですって格好でうろついていたわけで。
以後山口君とのデートの時も、牛島さんとのデート(?)の時もお互いに強みと弱みを見せながら、一進一退の攻防を繰り広げるライバル関係ではあったのかもしれない。
──白状しよう、私は及川徹の事はそれほど嫌いではなかった。(態度は時折辛辣だったかもしれない)
自分と違って芯を持っていて。研鑽は厭わない。益のある反省方法をするしPDCAを回せる。部のファシリテートは非常に円滑に進行できる。
なによりコンプレックスの塊な飛雄にアドバイスを送ってみせた。また牛島に対しても、警告……そして発破をかける事をしていた。
そんな事ができる奴はそんなにいない。感情と理性を切り離せる人は総じて仕事ができる奴と相場が決まっている。
……そう、言動や雰囲気で子供っぽいと思われがちだが、割と周囲の中では一番有能な大人の人なのだ。
「そこ左折」
「はい」
「しばらく直進」
「了解」
さっきは流石に「終わった」と思った。
彼のあんな血の気が引いた顔、初めて見た。
よほど見られたくない姿……いや、そうなんだよな……どう考えても私は出ては行けない場面だった。彼との敵のような味方のような関係はここで終わりかと思った。
不思議だ。
対面直後こそトゲトゲしていてすぐにでも言い争いが勃発しそうな雰囲気があったが、移動しようと言ったら小康状態まで落ち着いていくれた。
私は行動承認を受け……彼の懐であるご自宅配送を承った。何かお願いを叶えて罪を清算したいと言う思いもあったし、こんな死んだ顔をした彼を放置して帰るのは心配だったためちょうどよかった。
私なら、なんかあれば彼を超能力で守ることができるわけだし、恐らくこの世界で最も安全な場所が提供できるという自負もあった。
「……ここ、俺の家」
「なるほど。……ガレージはありますか?」
「裏手にある。着いてきて」
「はい」
敷居を跨ぐ。