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杉元と白石と2人は振り分けられた部屋にどかりと座った。片方、杉元佐一はもう1人の同室の男を睨んだ。
「由紀さんに好きって言ったんだろ」
「うえっ!?な、なんで!?」
「ああいう風に慌てるの見るの初めてじゃねえ。まあそれはいいや、お前由紀さんより弱いのに守れるのかよ」
「……真正面から戦うだけが戦いじゃねーんだぜ、賢く生きるのは俺も由紀ちゃんも不得手じゃねえ」
「俺はあらゆる物から守ることができるけどな」
杉元は先ほどの彼女らしくない提案には正面切って反論しなかった。皆がどう動くか様子を慎重に観察し……おそらく、白石が何かしたのだと確信を得たので本人に切り込んだ。
「は?お前こそ親友の嫁さんとアシㇼパちゃんで両手が埋まってんのに、ついでにこの人も〜とか…………気丈そうに振る舞ってっけど、目を失ってんのすごく辛そうにしてんの気付いてんのか!?」
「なッ!!」
「その女2人がさ!お前の袖を引っ張ったら足を止めねえ自信あるんのか!?それでも由紀ちゃんを1番にできるかって訊いてるんだ」
杉元の背後に2人の影が浮かぶ。女の子の方が“杉元?”と呼びかけた。子供と手を繋いだ女の人が“佐一ちゃん?”と呼ぶ。…………足元がほろほろと崩れ行った時、誰に手を伸ばすんだ?
「俺はできるけどなッ」
「う゛…………」
「お互い痛いところを突き合ったって意味がねえよな、杉元」
「まあ、そうだな」
「そこで!だ!!花札だッ」
白石はすっと、宿の部屋の隅に置かれている絵札を手に取った。
花札は、明治時代でも一般的なカードゲームで、山内任天堂が創業したきっかけでもある。
「花札ぁ?なんでだよ、俺知らねえぞ」
「平和的な解決だろぉ。負けたらこいつを一杯クイッと飲んで潰れるまでだ」
「ふーん……」
まあ興味はなくはないかなと思って杉元は白石の遊びに付き合うことにした。
白石は“最初は説明だから勝ち負けなしな“といい、札を配った。
「花札は48枚の札から2枚ずつ配って、手札8枚、場に8枚揃ったら開始だ。手札は互いに見せない……場の8枚は表にする。これを手八場八という」
「そんで?」
「配り終えたら残りの札は山札に置く。手番になったら、場にある札と同じ月の札を手札から探して「合い札」を重ねると場の札が取れる。場に“菊に盃“があるから、俺なら菊のカス札を重ねてコイツをもらう。空いたところに、山札から1枚とって場に出したら終わり……っと」
「こっちは見せていいのか?」
「ああ、この見えている札で勝負するんだぜ」
「へぇ」
白石が取った“菊に盃“と菊のカス札(短冊など特殊な絵が描かれていない絵札のこと)は、絵を表にされて白石の横に並べられる。花札は1月〜12月の12種の札に対して月あたり4枚の札があり、場に出ている札に同じ月の絵を重ねて取り合うカードゲームだ。菊は9月札で、“菊と盃“と“菊に青短“と“菊のカス“と“菊のカス“の4枚がある。
「次は杉元の番だ、場に出ている中で同じ絵はあるかい?」
「うーんと、ああ山っぽいやつにこれ重ねられるな」
杉元は場に出ている“芒に雁“の上に“芒の月“を重ねた。8月札のすすきは“芒の月““芒の雁““芒のカス““芒のカス“がある。もしこの杉元の芒の月を白石が取れていたら“月見酒“という役ができるのだが、それは逃したらしい。白石は心の中で舌打ちをした。
「いいもん持ってたな。その“芒の月”は光札っていう得点が高くなりやすい札だ。俺と同じように見えるように並べな」
「うん、……で山札から1枚引くっと……次は白石かな」
「ちょっと待て、これはお前んだ」
パッと杉元が広げたものは、すでに場にある“梅に鶯“と同じ“梅のカス“だった。白石は梅に鶯と梅のカスを重ねて杉元に渡した。
「えっ、こんなにいいのか?場の札の数減っちゃったけど?」
「そーゆー決まりなの。山札引いた時に月が一緒だったらそれも貰える」
「へー……じゃあ、そもそもその人の番で1枚も被ったものが出せなかったらどうなるの?減っちゃったらやりにくくなるよね?」
「そんときは手札から一枚場に置くんだぜ。だから手札にある札が光札でも、相手に盗られてしまう可能性は大いにありうる」
白石は“松に鶴“に“松に赤短“を重ねて光札を取得した。山札から引いて出たものは“菖蒲のカス“だ。
“菖蒲のカス“は杉元が“菖蒲の赤短“を持っていたので重ねて貰い受けた。そして山札から“桜に幕“が出て場が白石に移ったら、白石は“桜のカス“ですかさず掠め取った。
「よし、俺は役ができた“花見で一杯“だ」
「これができたら勝ちか?」
「勝負してもいいし、もっといい手札が来るまで“こいこい“をしてもいい。勝負したら俺は5点だが、ここは“こいこい“だ」
「はあ?待つ必要なんてあんのか?」
「杉元の番だぜ」
「ん。えーっと、特に俺は出すもんがねーな、出すならカス札かな」
「杉元が出したカス札、次の山札も場にねえな……俺も出すもんがねーから、この“柳に小野道風“っと」
「光札じゃねえのかそれ?」
「これは特殊なんだぜ。もし俺が取っちまうと、雨で花見酒が台無しになる。“雨流れ“ってな」
「へえ、……じゃあ俺がもらうぜ。なるほど……色々集まってきたな」
山札から紅葉に鹿が出てきたので、白石が紅葉に青短を重ねた。
何度か互いに札を取り合い、白石はカスが10枚揃ったので、勝負。カスと花見酒で合計6点を取得した。
「ほー、なるほどな〜……」
「練習はこんなところでいいだろ?役一覧は俺が絵で書いてやるから早速やろうぜ」
「おう。負けても酒が飲めるなら別に損でもなんでもねえしな」
「由紀さんに好きって言ったんだろ」
「うえっ!?な、なんで!?」
「ああいう風に慌てるの見るの初めてじゃねえ。まあそれはいいや、お前由紀さんより弱いのに守れるのかよ」
「……真正面から戦うだけが戦いじゃねーんだぜ、賢く生きるのは俺も由紀ちゃんも不得手じゃねえ」
「俺はあらゆる物から守ることができるけどな」
杉元は先ほどの彼女らしくない提案には正面切って反論しなかった。皆がどう動くか様子を慎重に観察し……おそらく、白石が何かしたのだと確信を得たので本人に切り込んだ。
「は?お前こそ親友の嫁さんとアシㇼパちゃんで両手が埋まってんのに、ついでにこの人も〜とか…………気丈そうに振る舞ってっけど、目を失ってんのすごく辛そうにしてんの気付いてんのか!?」
「なッ!!」
「その女2人がさ!お前の袖を引っ張ったら足を止めねえ自信あるんのか!?それでも由紀ちゃんを1番にできるかって訊いてるんだ」
杉元の背後に2人の影が浮かぶ。女の子の方が“杉元?”と呼びかけた。子供と手を繋いだ女の人が“佐一ちゃん?”と呼ぶ。…………足元がほろほろと崩れ行った時、誰に手を伸ばすんだ?
「俺はできるけどなッ」
「う゛…………」
「お互い痛いところを突き合ったって意味がねえよな、杉元」
「まあ、そうだな」
「そこで!だ!!花札だッ」
白石はすっと、宿の部屋の隅に置かれている絵札を手に取った。
花札は、明治時代でも一般的なカードゲームで、山内任天堂が創業したきっかけでもある。
「花札ぁ?なんでだよ、俺知らねえぞ」
「平和的な解決だろぉ。負けたらこいつを一杯クイッと飲んで潰れるまでだ」
「ふーん……」
まあ興味はなくはないかなと思って杉元は白石の遊びに付き合うことにした。
白石は“最初は説明だから勝ち負けなしな“といい、札を配った。
「花札は48枚の札から2枚ずつ配って、手札8枚、場に8枚揃ったら開始だ。手札は互いに見せない……場の8枚は表にする。これを手八場八という」
「そんで?」
「配り終えたら残りの札は山札に置く。手番になったら、場にある札と同じ月の札を手札から探して「合い札」を重ねると場の札が取れる。場に“菊に盃“があるから、俺なら菊のカス札を重ねてコイツをもらう。空いたところに、山札から1枚とって場に出したら終わり……っと」
「こっちは見せていいのか?」
「ああ、この見えている札で勝負するんだぜ」
「へぇ」
白石が取った“菊に盃“と菊のカス札(短冊など特殊な絵が描かれていない絵札のこと)は、絵を表にされて白石の横に並べられる。花札は1月〜12月の12種の札に対して月あたり4枚の札があり、場に出ている札に同じ月の絵を重ねて取り合うカードゲームだ。菊は9月札で、“菊と盃“と“菊に青短“と“菊のカス“と“菊のカス“の4枚がある。
「次は杉元の番だ、場に出ている中で同じ絵はあるかい?」
「うーんと、ああ山っぽいやつにこれ重ねられるな」
杉元は場に出ている“芒に雁“の上に“芒の月“を重ねた。8月札のすすきは“芒の月““芒の雁““芒のカス““芒のカス“がある。もしこの杉元の芒の月を白石が取れていたら“月見酒“という役ができるのだが、それは逃したらしい。白石は心の中で舌打ちをした。
「いいもん持ってたな。その“芒の月”は光札っていう得点が高くなりやすい札だ。俺と同じように見えるように並べな」
「うん、……で山札から1枚引くっと……次は白石かな」
「ちょっと待て、これはお前んだ」
パッと杉元が広げたものは、すでに場にある“梅に鶯“と同じ“梅のカス“だった。白石は梅に鶯と梅のカスを重ねて杉元に渡した。
「えっ、こんなにいいのか?場の札の数減っちゃったけど?」
「そーゆー決まりなの。山札引いた時に月が一緒だったらそれも貰える」
「へー……じゃあ、そもそもその人の番で1枚も被ったものが出せなかったらどうなるの?減っちゃったらやりにくくなるよね?」
「そんときは手札から一枚場に置くんだぜ。だから手札にある札が光札でも、相手に盗られてしまう可能性は大いにありうる」
白石は“松に鶴“に“松に赤短“を重ねて光札を取得した。山札から引いて出たものは“菖蒲のカス“だ。
“菖蒲のカス“は杉元が“菖蒲の赤短“を持っていたので重ねて貰い受けた。そして山札から“桜に幕“が出て場が白石に移ったら、白石は“桜のカス“ですかさず掠め取った。
「よし、俺は役ができた“花見で一杯“だ」
「これができたら勝ちか?」
「勝負してもいいし、もっといい手札が来るまで“こいこい“をしてもいい。勝負したら俺は5点だが、ここは“こいこい“だ」
「はあ?待つ必要なんてあんのか?」
「杉元の番だぜ」
「ん。えーっと、特に俺は出すもんがねーな、出すならカス札かな」
「杉元が出したカス札、次の山札も場にねえな……俺も出すもんがねーから、この“柳に小野道風“っと」
「光札じゃねえのかそれ?」
「これは特殊なんだぜ。もし俺が取っちまうと、雨で花見酒が台無しになる。“雨流れ“ってな」
「へえ、……じゃあ俺がもらうぜ。なるほど……色々集まってきたな」
山札から紅葉に鹿が出てきたので、白石が紅葉に青短を重ねた。
何度か互いに札を取り合い、白石はカスが10枚揃ったので、勝負。カスと花見酒で合計6点を取得した。
「ほー、なるほどな〜……」
「練習はこんなところでいいだろ?役一覧は俺が絵で書いてやるから早速やろうぜ」
「おう。負けても酒が飲めるなら別に損でもなんでもねえしな」