コタンコㇿ カムィ オプニㇾ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
暴走列車を経て、函館湾で再会した時には、私も杉元さんも思いっきりアシㇼパさんに顔を叩かれた。
辛くも白石さんに救われた私はケヘケヘと水を吐き出しながら呼吸を整えていた最中なので、突然の強襲にはびっくり仰天してしまった。
「馬鹿ッ!本当に死んだと思ったッ」
「俺は不死身の杉元だ、死なないよ」
「……そういうことじゃない。杉元も由紀も私のことが大好きなのはわかるが、肝心の私との会話を蔑ろにしすぎだ、バカ」
「ごめん、なさい」
「お前たちと同じ道を選びたかった。私はな、するなっていうより一緒にしよう、がいいんだ。次同じことやったら口にストゥぶち込むぞ」
「口に……?」
アシㇼパさんの愛棒ストゥは札幌で折れてしまったらしい。もし持っていたら手じゃなくて棒だったというわけだ。命拾いしたぜ。
水をいっぱい含んだ外套。函館湾の水面に向かってぎゅうと絞るとぼたぼたと落ちていった。ゆらゆらと水面が静かになっていく瞬間、私は自分の顔を客観的に見てしまった。
「…………」
とても人様に見せられる顔ではなかった。耳を失った時に美醜は気にしないと宣ったが、さすがに片目を失ったのは少し応えた。私はもう普通の人間の人生所か、1人で生きるのも少し難しいかもしれない。
「おい、お前ら。人が集まり始めた。計画通り本州に渡ろう」
「おい谷垣はどうすんだ?一緒にくるのか?」
「いや、俺はインカㇻマッのところへ戻ってから……フチとオソマに会いに行ってアシㇼパがじきに戻ることを伝えようと思う」
「ありがとう、フチのこと頼んだぞ」
青函連絡船に乗り込み、谷垣さんと別れを告げた。本当は一旦小樽に戻りたかった。でも私たちは前へと進まなければならない。アシㇼパさんはようやくこの金塊争奪戦から足を洗うことができるから。
私と白石さんは、函館で購入した酒をちびちびと飲みながら船内で寛ぐ。一方杉元さんとアシㇼパさんは外で水面を眺めている。
クイッとぐい呑みをあおると、視線を感じたので訊いてみた。
「…………」
「え、どうしたん、白石さん」
「ずっと、言っちゃダメだって思ってたことがあるんだ…………俺、由紀ちゃんのことが好き」
「えっ」
嫌われているとは思ってはいなかったのは事実だ。一度一緒にならないかと言われたこともあった。だがこんな状況下で告白された意味を考えると、嬉しいという気持ちよりもどうしようという気持ち方が大きかった。
「言っちゃいけないって思ったのは、多分今の関係も嫌いじゃないから───、でもなあ一回も好きって言わないままい続けんのも辛くてさ」
「白石さん……」
「俺、やりたいこと見つけたからさ、俺と一緒に計画練ってくんない?由紀ちゃんが居てくれたらなんでもできる気がすんだ」
「それ、なに?私、変なことなら手伝わないよ」
今までは互いにおふざけありきで過ごしていたから、確かに心地よい関係性ではあった。純粋に利害関係のない友人と言えるのはこの人だけだと思う。私たちは網走からの護衛の続きでアシㇼパさんたちについてきているけど、今ここで2人と別れても杉元さんとアシㇼパさんなら上手くやれるだろうし次なる目標というのを考えるのもありかもしれない。何がしたいかしたいだけど、一旦白石さんのお手伝いするのも吝かではない。
「海外に行きたい。秘湯とか、最奥の地とか……見たことねえもんいっぱい見て、うめえもんいっぱい食うんだ。で、コレだって思う素敵なお気に入り見つけたら家族を作るんだ」
「それって……若干私の夢を真似していない?」
「俺もいいなって思ったの!!だから、一緒に叶えんの、どうかな」
「…………」
それもいいかなって思った。権利書は正しくアシㇼパさんのものだと確認したし、彼女の夢はここから始まっていく。ならばこちらも2人でどこか遠くに行って日本の行方を見ていくか。
「追っ手が来そうな状況で2人に黙って消えれないなあ。……前向きに検討させていただきまーす」
「ええーっ!やだあ、それ断りの常套句じゃあん」
「ん。でもね……ありがと、嬉しいよ」
辛くも白石さんに救われた私はケヘケヘと水を吐き出しながら呼吸を整えていた最中なので、突然の強襲にはびっくり仰天してしまった。
「馬鹿ッ!本当に死んだと思ったッ」
「俺は不死身の杉元だ、死なないよ」
「……そういうことじゃない。杉元も由紀も私のことが大好きなのはわかるが、肝心の私との会話を蔑ろにしすぎだ、バカ」
「ごめん、なさい」
「お前たちと同じ道を選びたかった。私はな、するなっていうより一緒にしよう、がいいんだ。次同じことやったら口にストゥぶち込むぞ」
「口に……?」
アシㇼパさんの愛棒ストゥは札幌で折れてしまったらしい。もし持っていたら手じゃなくて棒だったというわけだ。命拾いしたぜ。
水をいっぱい含んだ外套。函館湾の水面に向かってぎゅうと絞るとぼたぼたと落ちていった。ゆらゆらと水面が静かになっていく瞬間、私は自分の顔を客観的に見てしまった。
「…………」
とても人様に見せられる顔ではなかった。耳を失った時に美醜は気にしないと宣ったが、さすがに片目を失ったのは少し応えた。私はもう普通の人間の人生所か、1人で生きるのも少し難しいかもしれない。
「おい、お前ら。人が集まり始めた。計画通り本州に渡ろう」
「おい谷垣はどうすんだ?一緒にくるのか?」
「いや、俺はインカㇻマッのところへ戻ってから……フチとオソマに会いに行ってアシㇼパがじきに戻ることを伝えようと思う」
「ありがとう、フチのこと頼んだぞ」
青函連絡船に乗り込み、谷垣さんと別れを告げた。本当は一旦小樽に戻りたかった。でも私たちは前へと進まなければならない。アシㇼパさんはようやくこの金塊争奪戦から足を洗うことができるから。
私と白石さんは、函館で購入した酒をちびちびと飲みながら船内で寛ぐ。一方杉元さんとアシㇼパさんは外で水面を眺めている。
クイッとぐい呑みをあおると、視線を感じたので訊いてみた。
「…………」
「え、どうしたん、白石さん」
「ずっと、言っちゃダメだって思ってたことがあるんだ…………俺、由紀ちゃんのことが好き」
「えっ」
嫌われているとは思ってはいなかったのは事実だ。一度一緒にならないかと言われたこともあった。だがこんな状況下で告白された意味を考えると、嬉しいという気持ちよりもどうしようという気持ち方が大きかった。
「言っちゃいけないって思ったのは、多分今の関係も嫌いじゃないから───、でもなあ一回も好きって言わないままい続けんのも辛くてさ」
「白石さん……」
「俺、やりたいこと見つけたからさ、俺と一緒に計画練ってくんない?由紀ちゃんが居てくれたらなんでもできる気がすんだ」
「それ、なに?私、変なことなら手伝わないよ」
今までは互いにおふざけありきで過ごしていたから、確かに心地よい関係性ではあった。純粋に利害関係のない友人と言えるのはこの人だけだと思う。私たちは網走からの護衛の続きでアシㇼパさんたちについてきているけど、今ここで2人と別れても杉元さんとアシㇼパさんなら上手くやれるだろうし次なる目標というのを考えるのもありかもしれない。何がしたいかしたいだけど、一旦白石さんのお手伝いするのも吝かではない。
「海外に行きたい。秘湯とか、最奥の地とか……見たことねえもんいっぱい見て、うめえもんいっぱい食うんだ。で、コレだって思う素敵なお気に入り見つけたら家族を作るんだ」
「それって……若干私の夢を真似していない?」
「俺もいいなって思ったの!!だから、一緒に叶えんの、どうかな」
「…………」
それもいいかなって思った。権利書は正しくアシㇼパさんのものだと確認したし、彼女の夢はここから始まっていく。ならばこちらも2人でどこか遠くに行って日本の行方を見ていくか。
「追っ手が来そうな状況で2人に黙って消えれないなあ。……前向きに検討させていただきまーす」
「ええーっ!やだあ、それ断りの常套句じゃあん」
「ん。でもね……ありがと、嬉しいよ」