07.東峰さんを探せ!!
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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お昼休みの変
「今日はお弁当ーー♪」
「美雪!!」
「翔陽。何?一緒に食べる?」
「ご飯の前に旭さんのところ行くんだけど一緒に行こ」
「ごめん、もう開けたからこのまま食べたい。放課後なら付き合うよ」
「そっか、わかった!じゃ影山と行ってくる!!」
「いってら。旭さんによろしく」
どどどっ、
キュ、どどどー
開きっぱなしの教室のドアから翔陽が走り去って行った。
「今のターン、キレがあったな」
今日のお弁当はクリームコロッケ入りである。
どどどどどどどー
黒い学ランの男子2名がまた走って行くのをなんとなく見送った。
「ねえ日向いるー?」
「あ、山口君。居ないけど。どうしたのー?」
「日向に古典の教科書貸してたんだけど、次授業あるから返してもらおうと思って」
「なんだとあの子め、借主の授業妨害は人として許せん。……ちょっと待ってね、友人を代表して翔陽の机探らせてもらおう。君もおいで」
ちょいちょいと山口君を手招き。
無作法だがクリームコロッケをつまんだ後、おにぎりを咥えて、翔陽の机に移動する。
中身を全部机の上に上げた。
そして中を覗き込んで出し、中身に古典の教科書が無いか確認。
すると周りのクラスメイトが集ってきた。
日向の机の中身鑑賞会である。
「うひゃあープリントグッシャグシャに丸まって入ってる。まだ4月なのにこのカオス」
「汚い!!きっと入れるだけ入れて何日も持って帰ってないね」
「お母さん苦労してそう」
「目線がオジサン!!」
「……俺の古典……は……あれ、二冊ある?」
「日向が山口君に返し忘れてるだけか」
「はたまた持ってるのに気付かず借りに行ったか判断が難しい」
「前者は良いけど、後者はヤバイな」
クラスメイトたちは翔陽の机の中身を漁りながらもゴミと思われるものを捨ててくれた。
「あいつめ……本人のキャラ考えるとどっちもあり得そうだよね……じゃあ右側を教科書類にして、左側をプリント類に。
クリアファイル余りあるし、私のに入れてあげよう」
「面倒見よさよ」
「日向にそんなことやってあげても数日で机の中、崩壊すると思うよ」
「ひどい言われよう」
「おかしちゃーん、美雪ちゃんの仕分け手伝ってあげてー」
「あいよ。しょーがないね。教科別まででいいよね。さすがに授業回まとめるのは時間かかるし」
「ありがとう」
「どーいたしまして」
おっと山口君を置き去りにしていた。
「見つかってよかったね。本人が家に持って帰ったとかじゃなくて」
「それは嫌すぎる…(もう貸さないでおこう)」
「しかし翔陽……お仕置きがいるな」
みんなでワイワイと翔陽の机の掃除と整理をしていると意外と時間がかかってしまったようだ。
きーんこーんかんこーん
予鈴が鳴った。もうそろそろ戻ってくるかな。
「ただいまあ」
「しょーよーおかえりぃいーー♪」
「ヒッ!!!」
翔陽がノコノコ戻ってきた。
私は警戒されないよう笑顔を作ってなるべく優しい声で翔陽に声をかけた。
逆に警戒されたけど。あれれーおっかしーなー。
「山口君が古典教科書借りっぱなしって教室まで来てくれたよ?ねえ、翔陽?」
「あっ、あああああ……あーっ!!!」
「あ、日向こっち見て真っ青で回れ右した」
「どこへ行こうと言うのだね」
「田中ァ!!(坊主じゃ無い方)扉塞げェ!!」
「ヒッ!!ハアイ!」
翔陽が逃げるより、お菓子ちゃんに絡みに来ていた田中君の方が早かった。トランプを置いて出入り口を塞いでくれた。ご協力感謝いたします。
翔陽を追い詰めたが、思いの外早く状況を理解したのか今度は回れ右してクラスメイトと机の間をスルスル避けていた。
教卓側に飛び込んでゆく。
「お願いっ、開いてェ!!」
「奴め、鬼ごっこは終わりだ!!」
「ま、授業始まるからね」
「ねえ、さっきから天空の城してない?」
チッ。運動神経の鬼め!!
「……このクラス廊下までうるさいんだけど。山口まだ?先生来るよ」
「あっツッキー!!きてくれたのゴメン!」
「月島ァ!!イイトコに!教卓側ドア前立て!塞げェ!!」
「——えっ?……う、うん」
「ツッキーがあまりの剣幕にひいてる」
「うわっうえあっ、月島!どいて!!!早く!!!」
「……フーン。じゃあ、なんで僕がそーしなきゃいけないか理由を20字ピッタリに述べよ」
「えっ!?え…にじゅ、……えーと、ええっと」
月島君が時間を稼いでくれている。
翔陽が両手で指折りしている間に、焦らず、ゆっくり、刺激しないように、笑顔で翔陽に向かって歩く。
「ひなたぁ……しょうようぅうぅ……」
「っぎ、ぎゃああああああああああ!!!」
「ハイざーんねんでしたぁ〜〜時間切れでーす〜」
「日向サン、あなたはここにいる人たちに机の中を掃除して頂きました。あなたの怠慢が招いた故の失態とご理解頂けますでしょうか?」
「ハイ」
「特にこちら4組の山口サンに至っては数日借りっぱなしの上、授業直前に本人が直接取りにきてくれました。はい、一言」
「山口ごめん」
「もっと丁寧に!!」
「こっ!この度は……っ!大変なご迷惑おかけいたしまして誠に申し訳ござい…ません……」
「ブフッ、いいよもう。返してくれればそれで」
「ぷっ、くくく……」
「キレる宇内さん、まさかの人物にシメられしょげる日向……」
月島君と田中君、ご協力感謝。
「けどまあ、こういうのほっとくとテスト前に凄い困るからね。過去プリント失くしたら先生に貰いに行かないといけなくなるし」
「期末にノート回収されて採点されるもんな」
「日向の机のゴミ結構な量だからゴミ袋取ってきた」
「おーナイス!パン袋とかここに入れよう」
「じ、自分でやるよぅ」
「もークラスメイトに迷惑かけんなよ日向サン」
「い、いえす……さー」
「そろそろほんとうに戻らないと」
「教科書、ちゃんと戻ってきてよかったね」
「もう日向には貸さない」
「山口君、月島君、色々ごめんねー。また部活でーー!」
「宇内さんありがと〜。またねー」
「……」
「ツッキー今、ビクついた?」
「は?ただ歩いてるだけだし」
「ああー!!また弁当食べ損ねたあー!!!」
「ゴッ…ゴメンナサイ…!!」
「?何、翔陽なんで謝るの?ふつーにダラダラしてただけだよ」
「あれっもう怒ってないの……」
「机のファイル見てみ」
「あー!!!プリントがファイルに入ってる!!出しやすい!!」
「みんなで綺麗にしたんだよ。もうグシャグシャに突っ込んじゃダメだよ」
「ウン。気をつけます」
「ならよし。旭さんはどーだったか後で聞かせてね」
「わかった」
全く。説教なんてガラじゃないけど、教科書借りたらその日中、体操服なら次の日洗って返すの鉄則だぞ。
「私からなんか詫びお菓子でも持ってくか」
特に山口君、田中君、月島君は変に巻き込んじゃったし。
クラスメンバーには今度なんか手作りクッキーでも渡そう。