30.さよならの笑顔をキミに
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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(おまけ1)
「澤村ぁ…、菅原……東峰ッ、みんな…みんな…!」
一人部屋で冷えピタ貼って咳をしながら泣いている女の子がいる。
わたしっ、絶対………東京ではッ、みんなを助けてられる子になるからっ!!
今日一日は……ずっと泣いている気がする。
しかも大切な後輩に……当たってしまった。最悪な先輩だ。
「……明日絶対謝りに行く……んっ」
ピロン、携帯がメールを受信した。
美雪ちゃんからの写メだ。
添付を開くと、三年の皆が円陣をくんでいて、菅原と澤村がそれぞれ片手をこちらに差し出している。
「…!」
私は、そのふたりの両手に人差し指でタッチした。
≪おーえす!!≫
なぜか風と一緒に耳にみなの掛け声が届いたような、気がした。ぼろり、と涙が溢れた。
「ぜ、絶対治す!!」
ばふっ、と布団をかぶった。
不思議な出来事は、懺悔と後悔でいっぱいだった彼女の心をほんの少し暖かくしてくれた。
また送られてきた写真は待ち受け画像にすることにした。
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(おまけ2)
谷地仁花は、美雪ちゃんの超能力の正体を探っていた。
「例えば、このタオルをかぶって……こう、目隠ししてさ。私のヘアゴムを取ろうとしたらどうなるの?」
「むっ、面白そう。……やってみるね」
ぱふー、と美雪ちゃんはタオルをかぶってお化けになった。
『とってみるねー!』
すると布の中が一瞬モヨッと動いて……私のヘアゴムが何かによって触られするりと床に落下した。
「え!?」
これまでの定説だと、彼女は目で見て何を動かしたいかを知覚することで、指定した場所に超能力を行使していると推測されていた。
しかし、視界が隠れていても超能力は正しく発動すると新発見した。
『えっと、どうなったの!?』
「外れた」
ばふー、と美雪ちゃんはタオルを外した。
床に落下したヘアゴムを能力で拾って、“何か”はやさしく私の髪の毛を軽く解いて……結び直してくれた。
「つまり目を閉じても使えるんだ…?」
「でも……見えているほうが繊細な動きをしている感じはある」
「へー?」
さっきの、見えてない時に落ちたのは無機的で、美雪ちゃんが見て動かす時は有機的。
また、私の仮説も一部実証された。
これは………「本人が直接操作せずとも、外部器官(式神的な?)が美雪ちゃんとは別の意思で動いている」かもしれない説の実験だった。
例えば、本人談の「寝ている時に勝手に動くのが困る」発言。
───大きな違和感があった。
目が開いていなければ動かしたい位置を把握できないのに、寝ている時はどうして動かす事が可能なのかなって。
あと、怪我とか事故とか、本人が意識していなくても勝手に発動する動きもあり得ない。
本人以外の何かが主導しないと発動トリガーが不明瞭。
なのでもしかしたら本人をマスキングした時に発動したら別の意思で動くかもと考えたわけだ。
「ありがとう美雪ちゃんー」
「いーえー。どいたましてー。知的好奇心バリバリですかー?」
「うん!すごい興味が尽きません!!」
多分、これはなんか美雪ちゃんが思っているより複雑な能力なんじゃないかなって私は思う。
この前、青葉城西戦で気持ち悪そうにしていた美雪ちゃんを見て、ちゃんと把握しておかないとこの子を守れないと強く思った。
***
(おまけ3)
♪~♪~♪~
着信ですな、【牛島さん】だ。出るか。
きゅ、とシャワーの水を止めて、スマホをタップした。
「あっ、牛島さん」
「ああ。俺だ」
電話に出ると、今日何度も顔を見たけど話していない人からのお電話だった。
時刻は夜の21時、自宅に戻り湯舟を洗っている最中だ。
これが終わったら死ぬほど長風呂をするつもりである。なんだか足の裏がクタクタですよ。
「……テレビ出演おめでとう」
「!?!?…え、あ、はい…。ありがとうございます……?」
こう、お疲れ様ですとか言うのも変なので会話に困っていたが、謎のお祝いメッセージが来た。
想定と違う方向になったので、気遣いとか後ろめたさが一気に吹き飛んだ。
「烏野高校の生徒だったんだな」
「えっ、いや。それはむしろ気付いていてほしかったです。夏に翔陽達と一緒に居たの忘れました?」
「?……ああ、そんなこともあったな。いや、しかし……俺と出かけた時もあっただろう」
「ああ………確かに……」
「あと、失礼ながら年齢が分からなかった。「年齢不詳の女性は大体年上だから気をつけろ」と父に教育を受けていてな。そのせいで日向翔陽とお前が同じと結びつかなかった」
「致命的ミス生まれてるじゃないですか……お父様も牛島さんと同じ天然星の元に生まれたんですね??」
「む、同じ星に生まれているのはお前も同じだろう。」
「………なんか心にダメージが来ました、切ってもいいですか」
「ダメだ話が途中だ」
「……」
勘違いのもとが分かった。
一緒にいる≠同じ高校という図式が彼の中に組みあがっていたようだ。
彼の中では私って取材の人のままだったのか。
あと、ボケがボケを生んでいて会話がカオスなんだけどどうしよう。とっても切りたい。
【求】ツッコミ【出】廃WIZ、DEF極クルセ
脳内にパーティ募集掲示板が浮かんだ。研磨さん組みませんか?
(脳内研磨「え……結構です」)
「……豊かな土壌が………コンクリートに負けることも、あった」
「……そうですね、私の翔陽すごかったでしょう?」
「ああ、脅威だった。今後アイツがどうなって俺の前にまた現れるのか……少し、興味がわいた」
「……”今後”ですね。親友への最上級の評価、ありがとうございます」
白鳥沢は、場所も恵まれ、自然と優秀な人が集まりやすい場所、しかも施設も常に最上級。
これで強くなければ嘘である。
だが、……烏野高校に敗北を期した。単機でのカタログスペックは誰もが及ばず。
しかし最後まで6人で強い方が強いと主張してきた烏野に、ちょっとだけ彼が圧されたわけですね。
彼は次、翔陽を叩きのめす機会を期待し……つまりは卒業後、選手同士で。えぇ、私もそう思いますよ。
「……お前は、どうするんだ」
「……私は…………、そうですね。ここで話すのはちょっと味気ないです、お店で食べながら話しましょう」
「取材か?フ、もう俺から盗める情報はないぞ?」
「あなたも冗談を言うんですね。……取材じゃなくて、二人きりのデートでお願いします」
「ああ。わかった、楽しみにしている。……明後日、昼ならいい」
「承知しました。では10時に、私たちが初めて会った場所で集合しましょう」
「………了解した」
電話を切った。
移動範囲を広げると、またどこかの主将だか友達だかに補足されるからね。白鳥沢の校門なら平気やろ。
あーやだやだ、趣味の飲食店巡りはもう気軽にできやしない!
……私はふと携帯ストラップが目についた。
丁寧に取り外し、学習机のキャビネットに仕舞いこんだ。
***
(おまけ4)
ぴっ
<今の気持ち?最高です!烏野ッ大好きです!>
「……解釈違いデス。ファン止めます」
ぴっ
<…ついに全国大会へ飛翔しますっ!>
「…………」
男は暗い部屋で、テレビの中の女がキラキラ笑っているのを見てグギギと歯を食いしばった。
テレビを使って周りに自校をアピールする手段、非常に見事である。
つーか自分の時より時間長いんですけど??なんですかミヤテレさん男女差別すか。
そいつは、ミヤテレのホームページの視聴者ご意見メールを出す事にした。
途中まで烏野への私怨文だったが、……思い直して書き直した。
”10/27の春高特集の烏野女子をまたゲストで呼んでください”
「送信」
人が嫌がる事を進んでやりましょう(誤用)である。
***
(おまけ5)
私は三つの改革に成功した。
ひと〜つ、バレーボール部の追加予算申請!
澤村主将を連れて、烏野高校バレーボール部の予算増額の申請書を出し予算会議にも出席した。
プレゼンでは春高試合戦歴のスコア、部の活動内容をまとめた参考資料を提出。
ついでに白鳥沢戦の番組録画もつけといた。
今期活動報告では特に夏の合宿の際の効果実証は綿密に報告。
武田先生による持ち出しが多少あったこと、領収書はきちんと取っておいてあるので費用は活動費から正式に経費申請する件も交渉。
熱心なプレゼンの結果、活動実績も増額費用も今後の活動のためには妥当と判断され……見事、烏野高校バレーボール部の活動費及び次年度4月予算を前年比5倍に増額させることに成功した。
5倍と聞くとガメつく聞こえるが、元々が激安すぎたとはここに記しておく。
これで来年度新入生が20人追加で入っても東京遠征費用は大丈夫と思う。
さらにさらに二つ目。
私の身体を張ったインタビュー出演の……目論見通り。
あの今季宮城大会優勝を勝ち取った県立高校に是非支援したいと、ミヤテレ経由で……全国各地から支援金や農作物、faxお便りが烏野高校宛に集まった。
ミヤテレへはレベニューシェアで2割を納め、(大人の世界はこういう感じなんですよ)今後もよろしくという感じになった。
本当に今後も付き合いはしばらくありそうな気がしたので、念のため監督・武田先生の名前で契約を結んでもらった。
やったねみんな、なんか地方局スポンサーついたよ!!
最後三つ目。
こっちは全然意識してなかったが、次年度入学選考資料請求問い合わせ数を昨年対比3倍にした。来年生徒数倍増だね!やったね烏野!偏差値上がるね!!
赤字に喘いでいたバレーボール部にバブルきたり。
澤村さんは泣いた。
武田先生も泣いた。
学校も泣いた。
私は念願のデータバレー購入申請、承認に大歓喜した。やったーーー!!