30.さよならの笑顔をキミに
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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田中さんがクロスを決めて、烏野19ー白鳥沢18。うちのマッチポイント。
続く田中さんサーブで、大平さん→白布さん→五色君の攻撃。
翔陽ブロックに走っていたが、一歩及ばずブロック枚数が揃っていなかった。
19ー19。
「10番も もう足が限界なんだ」
となりのTV局スタッフの声に、翔陽を見た。
──足を罰してた。奇行はともかく、体がうまく動かないのか。
目が動いていても体が動かない感覚、もどかしいよね。
白布さんのサーブで、白帯ギリギリ烏野側!
澤村さんと、翔陽が焦りの顔でボールを見る。……届かない!!
「!」
我らが烏野の守護神、西谷さんがフライングしボールを上に繋いだ。
しかし、上がったボールは……五色君へ!!
ぱあん!……弾いた音は、腕。
西谷さんは素早く体制を変えて、連続レシーブをした
「(ノヤさあああああん!!!)」
スターティングオベーション。パチパチ。神やん。
報道席近いので、サイレント拍手。
西谷さんの上げたボールは、飛雄に繋がれ、旭さんへ!攻撃成功!!
20ー19、またもや烏野マッチポイント!!
西谷さんが二度も上げたぞ!みんな見たか!!!
「サンキュー西谷…!」
澤村さんが、西谷さんに声を掛けた。
「烏野には俺有りっスから!」
西谷さんはブレない男だ。昨日からずっと、クライマックスだ。
「…でも俺にもできない事がある。だから無理を承知で言います……太ももがはちきれようとも空中戦は頼みます」
「!」
「おおよ!!」「ハイ!!」
リベロは制限だらけのポジションだ。
サーブはできない、ネットより高いボールをスパイクできない。フロントゾーンの内側でセットしたボールは、スパイクできない。交代は後衛選手のみ。
……でも!だからこそカッコいい!だからこそ守護神!!!
西谷さんは仕事を果たし蛍が入り、ローテが回る。
蛍は、入る際にチームに何やら指示を送っていた。……もしかしてあれか?クロス寄りからストレートにするやつ?
現在のメンバーは前衛に澤村さん・旭さん・蛍の高い壁。後衛に飛雄・田中さん・翔陽。
もうメンバーの位置から分かるように、誰でも攻撃に参加できるローテ。
一方で防御できる人(澤村さん)が前に行ってしまったので、レシーブは期待はできない。
翔陽サーブでスタート。
……おっ、飛雄と翔陽の位置がスイッチした!あ、そっか。
ストレート側に牛島スパイクきたらレシーブ貧弱の翔陽の所にくるもんね!?それは飛雄のほうが良い!リベロ、セッター、アタッカー。
全部の情報を集め、捨て、……拾い上げろ!!
「!!」
ドバチイッ!と蛍の指をかすめる。
「ワンタッチ!!」
絞り出すような叫びを受け、田中さんが飛雄に繋いだ。
「チャンス、ボオオオール!!!」
烏養コーチが立ち上がって選手にゲキを飛ばす。
……コンセプトは、殴り合いを制す。攻める以外の選択肢無し!!
飛雄は、翔陽のバックアタックを選択し、飛んだ。
「「行け!!」」
翔陽の攻撃は、牛島さんにディグられて白布さんへ。
「ストレートを!」
まだ、ブロッカーは耐える。
「ッ…!だなかさん…!」
翔陽は体で受けた。
田中さんがフォローし、飛雄に返した。
もうこのターンではセットはできないので、飛雄は白鳥沢に攻撃!
白鳥沢はまた、スパイカーに牛島さんを選択!!
「止めます」
ここぞって時。
《───僕はクロスばっかり防いでたとして。あの人相手に“あえて”ストレートを開ける戦法、これ。どう思う?》
《!……いいんじゃない。ここぞって時閉めるんでしょ。あの人も飛雄に負けず劣らず超負けず嫌いだから。強いストレート邪魔されたら……多分コンマイチくらいはイラっとするんじゃない?》
……ここ!!
「寸前でクロス打ち!!…あの体制で!?」
体も限界……でも。
澤村さんがディグ。……高く上がったボールは、旭さんがダイレクト!
瀬見さん&牛島さんの壁が弾く!…が、田中さんがボールをコートに戻す。
「…チャンス、ボール」
翔陽は飛び出さない。……さあ、皆は何をする?
──フォロー皆無!!白鳥沢ブロッカー3枚vsスパイカー5枚。
1stテンポの同時多発位置差攻撃オール!!!
澤村さんが走る。
田中さんが走る。
蛍が走る。
旭さんが走る。
──翔陽が走る。
飛雄は、翔陽を選択した。
21ー19。
試合終了の笛がなる。
セットカウント3(烏野)ー2(白鳥沢)勝者:烏野高校。
──春高、宮城予選優勝。
「っ……」
となりのテレビカメラが自分に向いていることを感じた。
しまった、泣いてるかも………。
でも、この衝撃。
何事にも代えられない美しい高校バレーの真髄を見た。