28.対策と対抗
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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東峰と月島のブロックが生きていき。西谷が活きる。
対する五色ストレートに、セッター&スパイカーの強気さを感じる。
──俺たちが強くて俺たちこそが正しいと言わんばかり。
烏野も同時多発位置差攻撃を繰り出し川西が牙をむく。
しかし白鳥沢の川西は冷静に“来ないスパイカー”を切り捨てる。取捨選択は正しい。
烏野の同時多発位置差攻撃は、先方の体勢を崩す成功率は高い攻撃だが、白鳥沢には通じなかった。
新しくトリッキーな技と連携の烏野。
研ぎ澄まされた個の力で強さを示す白鳥沢。
これは攻撃と攻撃の───コンセプトの戦いである。
「(個人の身体能力・高さとパワー、それだけが強さの証明なら。試合はもっと単純だよ。
ウシワカには日向、天童には月島と、相性みたいに決まりきっていれば、誰を出すかだけで完結する。……だが実際はそうじゃねえ、誰と誰が、どうするかだ。個で完結しねえからこそ奥が深く、だからこそ面白いんだ)」
「……シンクロ攻撃が止められた…!」
「ああ、止められた。……澤村の体勢で、瞬時にライトが切り捨てられた。見事だよ」
「どうにかフォローができないんですかね…!?」
「いや。攻撃の手は緩めねえ。……コートってな、テレビや観客席からみるとけっこう狭く見えんだけど実際立ってみると思いのほか広いんだ」
「?」
「(……どんな小さな事でもいい、選手の手の届かない場所を減らす方法、一つでも多く)」
「…でも烏養君、怖すぎる顔はダメですよ」
「なあ谷地、忌憚ない意見を頼む……俺って怖いのか!」
「…のっ、ノーコメントで」
「oh」
「大地ナイサー!」
「…」
澤村のサーブ、烏野のフォーメーション方針は変更なしでいく。
レフトを牽制しながら、1本でも多く牛島に打たせる方針だ。
ド真ん中から牛島がスパイク、月島を筆頭にブロック二枚……が、ブチ抜かれてしまう。
「チッ」
いい所まで行けているのに、ハマりきれていない。
月島も思わず舌を打つ。
「月島君がイライラしている所はよく見るけど……悔しそうなの新鮮かも。が、がんばれーッ!!!」
「………たしかに!谷地さんよく見てるね!……月島ーァ!!もっかいだ!!!」
谷地とベンチの日向がコートの選手たちに応援する。
次のターンは、東峰サーブで五色の体勢を崩して、牛島の攻撃。
月島、影山、田中の3枚ブロックを吹っ飛ばされる。
「らアッ!」
「・・・・!」
「東峰さんっ!ナイス!!!」
「オオッシャアア!」
東峰がブロックアウトになりそうなボールを拾い、澤村、田中とボールが繋がれた。
──奇跡じゃない一本、獲ろうと思って獲った、一本だった。
「田中さんいけええ!!!」
「……田中ああああ!!………っく!!」
しかし、白鳥沢の天童が読んでいた、どシャットされボールは落ちてしまった。
「……」
「フウゥウ〜……」
烏養と武田の表情は固かった。せっかくハマった先方、成功ならず。
……まただ、手がかかりそうだと思ったら突き放される感覚。
続く牛島サーブも、東峰の手を弾き飛ばした。
烏野9ー白鳥沢11
厳しい、白鳥沢ブレイクポイント。
「?ハァ〜〜??デキスギかよデキスギ君かよ ウシワカ君はよぅ!?」
菅原のふざけまじりのボヤきだが、まさに出来過ぎのような能力パラメータ。
烏野には暗い影が漂う。
「(…これ以上点、離されてたまるかよ!!)」
2本目の牛島サーブは、澤村がなんとかあげる。
「カバー!」
体勢を崩した影山のセットは、9番…月島にセットされる。
月島はブロックが低い方……セッター白布の方に当てた。
烏野1点。なんとか1点。
「オエ───イ!!!」
ここでローテが回って、烏野サーブは月島。西谷が下がって日向が入る。
月島は横を通る日向に声をかける。
「チョット、君が前衛の時に点稼いでくんないと始まんないんだけど?」
「むっ………おおよ!!」
気合いをいれて日向が入る。
「日向、セット前にウシワカに何か言われてなかったか?」
菅原が、日向の気合の入れように思うところがあったのか山口に聞いてみる。
「…下手くそなチビに生きる資格はない、だそうです」
「ほんとかよ??被害妄想入ってねえ!?」
「ち、ちがうよ、小さくて上手くもないのに、なんでココいるの?って言われたんだよ!」
菅原と山口の、風評被害?に谷地が反論をした。
「うわ辛辣!!で日向はなんて?」
「ええと、正論突きつけられてヘコんで。くっそーでっけえのうらやましい!!って地団駄踏んでた。でも、下手のはもういいけど、影山と牛若さんまとめて全員度肝抜いてやるぞって息巻いてました」
「あっはは、だよな!」
「あ、笑うんだそこ」
谷地が日向の置かれた状況を伝えると、菅原は大爆笑した。成田がそれをみて不思議に思う。
「いやっすぐ立ち直るの、もう日向て感じじゃん。
──だってそれ言われて本気で心折れる奴なら今ここに居ねえべし」
「…たしかに日向のメンタルだけは。私も尊敬してますですッ」
月島サーブは五色が体勢を崩しながら上にあげ、白布は大平にセット。
攻撃が、くるっ!
日向は、一歩下がる。
……そして、人工の翼(助走)を携えて飛ぶ。
「(ブロックなのに、まるでスパイクの助走!!?)」
「……高さで勝負しないとは言ってないっ!!」
烏養は目をひん剥いた。日向はいつでも、驚かせてくれる。
──日向の助走ブロックは大平の攻撃を防ぎ、ついに烏野がブレイクした。