28.対策と対抗
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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日向は、コートチェンジの際に牛島とすれ違う。
お互いに意識している。牛島は日向に声をかけてきた。
「──あんな動きをするなら、きっとレシーブもブロックも上手いのだろうと思っていた」
「!?」
「高さで勝負できないのに技術も稚拙でどうするんだ?」
日向の心に、谷地の解説シーンが浮かぶ。
“稚拙、意味は幼稚で未熟な様子、へた。オーケー?” “…オーケー!!”
牛島は伝えたいことは伝え終わったので去っていった。一方、日向の心は大変傷つき、そのまましばらく動かずにいたくなった。
だが……試合はまだ途中。
ヨロヨロと歩いて隣コートへ移動する……。
「おいモタモタすんな」
「くっ…!(直球で心を抉ってくるところか)お前とウシワカって何か似てるよな」
影山に咎められたので、自分をグサグサ刺してくる二人を同じカテゴリに放り込んだ。
「?そうか?…まあいずれはあんなスパイクも打てるようになれたらと思う」
するとどうだろうか、ボケ殺し山飛雄はこう返してきた。日向は撃沈した。
「そういう意味じゃないです」
谷地は日向と牛島の応酬を見ていた様子だった。慌てて日向に駆け寄って、撃沈日向を起こした。
「影山君!!…日向は……ウシワカさんの心をえぐってくる正論パンチにダメージ受けてるんだよ!!」
「はあ?……弱点突かれて落ち込むくらいなら、指摘受ける前に改善しておけよボゲェ」
「そういうとこ!!ほんっっとそういうとこ!!!くっそーでっけえやつらみんな!!恨めしい……!!」
「ふーん、どんまい」
日向は影山に牙を剥いて地団駄した。
谷地は日向の肩に手を置いた。
「ここにいたら邪魔だから早く行こう」
「……ういっス」
4セット目、作戦会議。
「「──ブロックだ」」
烏養は日向と同じ言葉を発した。
「正直、白鳥沢の打点の高さは予想以上だ。お前は身長がないから他の連中よりもっとタイミングが重要になる。ほんのチョットでも“遅れた”と感じたら、すかさずソフトブロックに切り替えろ」
「“皿”!!っスね!!!」
「ああ。良いレシーバーは良いブロックがあってこそ、より活きる、だぞ。疲れてきているだろうけども、ブロックを揃える事は意識してくれ。バラバラのブロックじゃあ止められないだけじゃなくレシーブの邪魔にもなる」
「君は頭があれだからせめてサイドのブロッカーが作ってくれたガイドラインに沿うくらいしないとね」
「……む!!」ガチー
「頭はアレだけど、それを補う身体能力があるからきっと大丈夫!!」
「頭はアレの共通認識!!おれ最近は頭もマシに……!あっハイ、……進学クラスには負けるかもしれませんネ。すんません」
日向は月島と谷地の視線から目を逸らした。
「…白鳥沢の“大砲”に対して“壁”がバラバラになり始めたら守備が崩壊すると思っていい。攻撃も守備も“数の有利”を作り出すことが勝つ道だぞ、忘れんなよ」
「ッシャァアア!!」
「それでも──ウシワカに完璧なトスが上がって完璧にブチ抜かれたらもうしょうがねえんだ。残りの取りこぼしをいかに減らすか──。……これは俺と宇内の、ある意味では賭けだ。
バックセンターの守備を一歩下げる。ウシワカにちゃんと2枚以上ブロックが付いている場合な?」
「和久南戦で縁下さんがやったやつ!」
「ソレ!」
「月島中心のブロックが想定以上のレベルを保っているからこそ、この賭けはやる価値は高いと思う。──たかが一歩。されど一歩だ、奇跡じゃない一本を作れ」
田中と日向の両名は非常に類稀なる運動神経を持っている。
“ヤバイ!”と思うくらい遠くに吹き飛んでしまったボールに対して、チームを救うレシーブは、概ねこの二人が対応している。
足は早いし判断も早い。だからこそ奇跡を何度も起こしている。
でも、ここでは奇跡を期待するなんて甘いことは言ってはいられない。
反射神経のあるやつがラッキーで得られるチャンスではなく、絶対取ってやるという位置どりをすることに意味がある。無理なことをするのではなく、できることをする。
「!!」
日向は縁下のほうをバッと向いた。
「(!?…何 怖いんだけど!?)」
──高さで勝負できないのに、
「……!!」
日向は、それだ!って顔で縁下に妙なアピールしていた。