28.対策と対抗
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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私は明光に恋をしたのは、初めて試合で見かけた時でもなく、一緒に駄菓子屋貰いに行った時でもない。
──もっと後のことだった。
「美雪ちゃん?……信号渡るよ、ほら手を出して」
「あ、うん」
この人は不思議な人だ。
私はあんまりお父さんやお母さんに、横断歩道だから手をつなごうとかされた覚えがあんまりない。私はキュッと明光の手を握って信号を渡る。
でもこの人は自然と私を“小さい子は気をつけないと”という慈しみの気持ちが感じられた。
他にも冬になんか雪を捨てるための人口の堀とか、大きい犬とかが近い時は自分が壁になって多少フラついてもフォローできるような位置で待機しているのに気付いた時とってもむず痒く思ったのだ。
多分、そう行った積み重ねが“あ、私この人のこと好きだな”って気持ちが育っていった。
最初はこんな感じだったかな。
《──手?》
《うん、手》
《……触ってもいいのかな、私さっき野良猫さんとか触ったから綺麗じゃないよ。あきてるも汚れちゃうよ》
《……何いってんの、下の子は繋がないと。ちっちゃい子はね!頭の重さに気づかず前のめりしすぎると転んじゃうの!!重心低いんだから》
《おお?》
《…こほん、失敬。……君は子供なんだから、頼ることを覚えたらいいんじゃない》
《………ふうん?わかった、じゃあよろしくおねがいしまーす》
《ん!よろし!》
《!》
明光がふわと笑って、私はこころがキュッとなった。そっか、私は子供で大きい人に頼っていいのかと納得もした。
優しい目元に、優しい言葉。素直に子供であることを受け入れて、……そう、年上に頼ることを覚えられたのは明光のおかげなんだ。
「もう良いよ」
「えー??すぐ次も信号だよー??」
「いいってば!」
「へいへい」
「ふぅ(手汗大丈夫かな。冷やして乾かそう)」
やがて、すきだなと思うようになって。
大きくなって、しんどくなって。
……夜、空を見上げると柔らかくいつでも見守る月のような人に、拙い恋をしたのだ。