27. あなたはライバル
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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どうも、美雪です。
ご心配おかけしました。
谷地さんとも別れ、すごく心配はされたが皆とは移動手段が違うので、谷地さん達はバス、私はバイク乗り場へと分かれた。
って言っても烏野側はまだ出発時間には早いからもう少し谷地さんとはお話していても良かったかも。
まあ明るいうちに帰った方が、ゆっくり休めるし……今日は相当疲れたから、早く家に帰って寝たい。
「ふわぁ、泣いたり怒ったり、叫んだり落ち込んだり、今日はホント感情が迷子になってたわぁ」
宮ノ下さんメイクは谷地さんのスーパークレンジング力のお陰で念入りに落とせました。
毛穴までゴッソリ取れるリムーバーって凄いっすね。私ももうちょい良い基礎化粧品使おうかなあ。
お母さんが美人バリキャリなのでそう言う情報に詳しいらしいし、今度教えてもらおう。
「……!」
顔を出して、引っ込めた───及川主将と、牛島主将だ。私が絶対見つかっちゃいけないやつだ。
条善寺の三咲さんの言葉が蘇る。
『もうっ!負けた相手チームに絡むなんて度胸あるね!!私は大丈夫だけど、やっかみ受けやすいから気をつけなよ!』
絶対ダメだ!!絶対ダメだ!!!……絶対!!
慎重に、回れ右して角を曲がってびゃっと離脱。
1cm浮いて走り、星海さんと追いかけっこした時のように斥力で長距離移動。
「ふぅ」
……何話していたんだろうな。ライバルからライバルへの激励かなあ。「俺の代わりに仇とれよ」的な。
「絶対ナイな!!!」
「……なーにが無いの??」
「ひいっ!?及川さんっ!?……走ったのに!?」
「運動部ナメんな、逃げる後ろ姿観察できて余裕だったわ」
気が緩んでいたところ、離脱に失敗という無慈悲なエラーメッセージ。
ダメな方、青葉城西高校の方の主将に見事捕獲されるドジを踏んでしまいました。
「牛島さんは??」
「気づかず帰っていきましたーナイトが居なくて残念ですねえ」
「あのっ、キレて……ますよね」
「………」
「……………」
「…………怒るわ、フツーに」
両手首を掴まれて、壁に押し付けられた。
「いたっ」
「なんでこータイミング悪いの??女子に見られたく無い姿No.1の時に何でよりにもよって君が通りがかる??奇跡??」
「知りません知りません私の所為じゃないです!!」
「こっちだって知るかッ!!!……ああー!くそ、なんでだよおっ!!何だよオマエ!!なんなんだよおーーっ」
「………痛い痛い!!!」
ぎゅうっと手首を強く掴まれ、さすがにこちらも我慢できず声を上げる。
更に足と足の間に膝が差し込まれ……いよいよ拘束も強まる。
さっき自己崩壊してたんですけど!!ヘビーすぎないかこの展開!!しまいには死ぬぞ私!!
「負けてっ、気が立ってイライラしてるトコ……っく、牛若にイヤミ言われて!!ホンッットにイライラしてんの!!一番弱味見せられない君が来て……もう限界なんだよっ……頼むから……この悪夢みたいなトコ……忘れてよ美雪ちゃん…!」
「…………ごめん、なさい」
「可愛さ余って憎さ百倍なんだよこっちは!!!謝られたってぜんっぜん気は晴れないし……っ」
ボロボロと顔を歪ませて泣いて、腕の感覚は半分くらいどっか行くくらいには強く握られ続けている。血止まるんちゃうん私??
「……忘れてくれないなら……ねえ」
「……?」
「いつもやり込められた先輩、弱ってるところ見れて嬉しい?ねえ、慰めてよ。ボーズ君や澤村君の時みたいにさ」
「………!!」
「……優しーい、やさしーい美雪ちゃん。自分は信頼に応えられる男になっていたはずなのに、なぜやりこめられた?決して天才と呼ばれるやつにはいくら努力しても勝てないのかな??」
「………」
「いいや別になんだって。ねえねえ……なぐさめてよ?……いっつも目障りだった先輩がさ、こう萎れているの、溜飲が下がらない?……甘やかしてよ。いつも君がやってるみたいに。
……頼られた時、仕方ないなって口で言っておきながら内心待ってましたって嗤うんでしょ」
頭の奥で、何かがブヂギレる音がした。
私は、及川さんの額に───思いっきり、頭突きをカマした。
ゴチイィン。
「い!?!?」
「………ったあー!!!」
痛みにかぶりを振って、堪えて腕を見ると手の跡が真っ赤にクッキリ残っていた。
あーあー?私の白魚のような腕がっ(?)
「ナメんな。……んなことできるかあ!!」
及川さんは、頭を押さえながら私の方をぽかんと見ていた。衝撃で頭ポヤポヤするが!!テメエの勘違いここで正す!!
「あんなに京谷や金田一に真摯に向き合って!“その後の青城”育て上げた男、尊敬する以外ないだろうが!!」
「!!!」
私の発言が、単純な慰めではないことに気付いたのか及川さんは静かに聞いているようだった。
続けよう、こいつは私に対しても自分に対しても勘違いがすぎる。
人差し指を向けて、今まで言えなかった全部をぶつける。
「そもそもあんたはな!!スペシャリストじゃなくて、ゼネラリスト向きの性能なんだよ!!無理やりスペシャリストになろうと泥被りまくって遠回りすんの超ーッ馬鹿やってるって思う!!……けど、すでにもうセッター専門として大成しつつあるからもう好きにしろって思うさ!!」
「!!」
「あーっもー!!こっちこそなんだもうこいつよ!!……つーかハイブリット方針は嫌いなんだよ!!私は極振り派!!育成方針が気に食わないなぁ!!!トレーナーなんないの?!!」
「それは……なんていうかゴメン、プレイヤーやる方が好きなんで………」
「知ってるよバーカバーカ!!バレーボールバーカ!!!爆ぜて吹き飛びバボちゃんランドに帰れ!!」
「何その施設!?!?」
いい加減こっちも照れてきたんで、説教もこんくらいにしてあとはケガの制裁じゃあ!
放心状態の及川さんの腕と脚を拝借し、やつの左足に自分の左足をからめるようにフックさせ、彼の右腕の下を経由して私の左腕を首の後ろに巻きつけ、背筋を伸ばすように伸び上がる。
コレわかるか?分かったやつは美雪さんと握手だ!!
「いだだだだだだっ!?!?」
「コーブラーツイスト!!……かぁーらぁーのぉ!!四文字固め!!!」
「ぎえっ!?いだいだい、いだい!!!………ちょっ、俺っ自分で言うのもなんだけど未来有望な選手よ!?な、に……してくれてんのっ!!」
「っぐ!!……まだ体力残ってんじゃん!!っんぐ」
「……男女平等主義羽交い締めーっ!!」
「なんのぉっ、絞め技なら……私の必殺……チョークスリーパーがまだ……ッ。見てろ、こんな拘束すぐにハズして……!!」
ぶわわわっと背筋が粟立って。
強風が吹いた。
能力の暴走か、自然風かは知らないが、二人とも羽交い締めの姿勢だが一旦体が冷えて冷静になった。
「……って、なんなのこの子!?ぶっ飛んでて怖すぎんだけど!?!?」
「尊敬してる人が萎びていると、こう言う風につい熱くなっちゃうだけですぅーー普通ですーー」
「マジかよ。俺、初めてプロファイリングミスったわ……」
「女心は秋の空なんですね!!」
「誤用!!」