27. あなたはライバル
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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「じゃあねえ、英里ちゃーん!」
「また一緒に応援しよーねー!!」
「はーい、来年また会ったら一緒に応援しましょーぉ」
くるりと戦友に背を向けて、走る……ひた走る。
できるだけ早くトイレに、一人になれるところに行きたかった。
「私は、……美雪。烏野高校1年1組。日向翔陽の友達で……、大好きな人達を応援する私」
視界が……、宮ノ下さんの声イントネーションが頭から抜けない。顔も私じゃない。いや、コレは私の顔か?
これちょおっとヤバイ状態かもぉ…??長いこと演技に集中しすぎると、こーなるのかなぁ??
「あっ……だめ……。吐く」
「え!?……えええっ大丈夫ですかっ!?」
顔と自意識のブレで酔いが一層ひどくなって洗面台に俯き嘔吐感と闘っていると、たまたま通りがかかった……谷地さんが声をかけてきた。
「たす……けて、」
「あれ??この子……勘違……いやっ、ちがう!!!美雪ちゃん!!!どーしたの!?!?」
「や、やっちゃん………やっちゃーん……」
情けない声で谷地さんに助けを求めた。
「あわわっ。……よしよし、もー大丈夫ですよー?美雪ちゃんー?」
「ううっ……会えて良かったよー……」
「………私も、こんな美雪ちゃん、……ひとりぼっちで困ってるところに気づいて……良かった」
ぎゅっと手を回して、トントンと背中を支えてくれた。もう私はいっぱいいっぱいで、そのまましがみついて大きく深呼吸をした。
「……………ういっす」
「ものすごく照れてますね………美雪ちゃん落ち着いた?」
「うん……」
「……良かった。じゃあ、えっと。……離すね」
「うん、ありがとう」
温もりが消えるとちょっとだけ惜しい気持ちがする。でももう大丈夫。感覚が戻ってきた気がする。
「……その顔、どうして生川の宮ノ下さん?になってたの?」
「あ、うん……飛雄のアレです」
「???」
「青葉城西に潜入するため、変装をしてました」
「……おぉ、あれは潜入調査だったのね……あの……比べると、顔だいぶ凝ってるね……」
「ちょーっとやり過ぎちゃったの。顔だけではなくて発声とか仕草も真似し続けたら自分が分かんなくなって……発狂しちゃってた」
「うーんスゴイ。確かに神がかった演技力だったね。美雪ちゃんは芸能の神様だね」
「あはー。アマノウズメよりも滑稽だよ。ほんと、ありがとう、私を見つけてくれて。素人がみだりに演技なんてするもんじゃないね」
「多分そんな才能を持ってる人こそそういないんじゃないかな」
「むっ意外と女優向き??」
「縁下監督サンが喜びそう」
「「ぷっ……ふふ」」
二人でクスクス笑う。
「……ところでアマノウズメってどんな神様だっけ?」
「日本書紀の岩戸隠れっていう物語に出てくる女神だね。天照大神が岩戸隠れしたとき、アマノウズメが裸になって神のモノマネをして、八百万の神々を笑わせ天照神を誘き出したってお話。転じて芸能(モノマネ)で世界を救ったということで芸能の神様と呼ばれるようになったそうな」
「あれ……そんな話だったのね。ううん。芸能の神様っぽいってあんまり褒め言葉じゃない気がしたよ……」
「こう、なりふり構わず……やらかした感はまさに自分を表して言えるようで……褒め言葉かつ戒めとして胸に刻むよ……」
「刻んじゃだめだよ!!しっかり!!」
グワングワンと谷地さんに肩を揺すられ、今度こそトランス状態から脱却することに成功した。