27. あなたはライバル
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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「あっ……あの子!」
「……12番の人って、控えですけど……ご存知ですか?」
「あ、うん。……前回ガチガチで失敗しちゃってた子だよね…?大丈夫かな??って」
「あー……。インターハイの時かあ」
(初デートの時、山口君自身も気にしていた、青葉城西の戦い。やばちょっと演技とかじゃなくて本当泣きそう……。なんだよその顔、すっごいかっこいいじゃん)
「……ビビりピンサーかあ。きっと、それはもう大丈夫だと思いますけどねえ」
あたしはチラッと、ヤジを飛ばしている子を睨んだ。
そして視線は山口君と、日向君に向けた。
「山口10点取れ!!!」
「それ試合終わるけど」
「……許す!!!」
日向君はコートに居続けることにあんなに執着しているのに、許すって面白いなあ。
田中さん、東峰さんたちも山口君を激励していた。
「1発行ったれ、山口ィー!!」
「へ、へいじょっ。平常心だぞ」
「ナイッサー!」「ナイサー」
「思いっきり行けよ」
「ハイ!」
「せーのっ」「「「「一本ナイッサーブ!!!」」」」
変なポーズで激励するのは烏野賑やかしチーム(プラス縁下さん)
「あははなにあれ?」
「烏野って、妙にチームのカンジ、お笑い芸人っぽいよね」
「(なんだとぅ!?それは心外だ!!)……確かについわらっちゃいましたけど〜」
氏家さんの評価にあたしは軽く怒る。
笛の音と共に、急に全ての音がOFFになったかのような錯覚に陥った。
山口君と、ボールと、青城。ここにいるのはそれだけ。
すぱあん!と弾かれた美しいジャンプフローターは、渡さんの横をすり抜けて、アウトギリギリコースのイン。
「うぉ、おおっしゃアアアアアアアア!!!」
「……ッやったあー!!」「入ったー!!」
「あ!!」「…私たち」「青葉城西の応援でした」
視界がボヤけ、心がガワを通り越してしまったことを認識した。
平間さん氏家さんと一緒になってつい無邪気に喜んでしまった。切り替え切り替え!
(あああああ!!山口君んんんんん!!!あああああ!!!!!)うるせえデスよ、中の人。
「京谷サマも取りづらそうだよ、英里ちゃん!」
「いえっ、あれは相手の技術もそーですが、京谷様がジャンフロに慣れていないだけですッ!」
「ジャンプフローターってそんなにすごいの?及川さんのジャンプサーブより?」
「いいえ。速さと強烈パワーのジャンプサーブ、速さを得つつも軌道が読みにくいジャンフロ。場を味方につける天井サーブ、それぞれサーバー・レセプション各選手ごとに得手不得手がありまして横並びには評価できないかと!」
「なるほどわからん!!」
「英里ちゃん説明を諦めないで!?」
「烏野の山口君は球種は1個だけ(正確にはフローターもあるけど除外)なので、青葉城西側
はオーバーで捕るの意識したらサービスエース防ぐのは容易です。ジャンフロは相手側が慣れると徐々に成功率が下がるのは難点ですね。その点及川さんのジャンプサーブは来ることがわかっていても……ほら怖いし……」
「「確かに」」
「何よりこの戦いでずっとジャンプサーブ選べるメンタルが怖い、あれって速さ威力を重視するから精度は狙えないんですよね。ほんと怖い」
「あれ?英里ちゃん及川君のこと苦手になってない??」
「あははそんなことはないですぅ〜☆」
花巻さんがオーバーで上げて→及川さん→岩泉さんの攻撃!
「ピンサーの人、すご!」
「体当たりで上げた!!」
山口君→影山君のカバー(セットは流石に無理)→月島君ブロックアウト!!
烏野連続得点。またもや山口君のサーブ権は止まらない。
ここで流れを切るためか、青葉城西高校タイムアウト(2回目)。
「平間さんはこのセット取れると思います?」
「ううん、私素人だよ??……んー、厳しいんじゃないかなー。このセット取られたら烏野勝っちゃうけど、あのピンチサーバーの人ノってるし、例えばジャンフロ苦手?な京谷サマを狙い撃ちすればメンタルブレイクも狙えそう」
「ええ……中々えげつない戦法突いてきますね?それはあるかもしれませんが、そこまで極端したらおそらく京谷様をサーブレシーブに参加させずに行くと思いますよ。でも、そうですね。このローテはちょっと青葉城西辛いかもですね」
「そんな英里ちゃんの見解は??」
「分かんないです……」
「???」
「烏野の山口君、あれでジャンフロ修得して1月経ってないんで、若干狙いとズレている印象です。もうちょっとネットギリにかけられると良いんですけど、少し上げすぎって感じです。逆に意識して下げたら失敗するから及川さんと違うベクトルでハラハラします」
「あれ?もしかして知り合いかな?」
「(う゛ぇっ、間違えた!)……って友達が言ってました〜」
「「へー」」
「ごほん、あたしは!京谷様ならそれでも取れると思いますし!!逆に言えばこのローテを回せれば、烏野の調子を一気に崩せるので、一矢報いるチャンスです!!ふんばれーッ青城!!!」
やや無理があるかもしれないが、応援の声を振り絞って青城チームに手を振った。
後ろの在校生達も乗ってくれたので有耶無耶には……できたと思う……。はあ。
(私からチームの情報流出させてどうするんだ。熱くなり過ぎ。ええと、このチームの弱点として意外とジャンフロみたいな正攻法の対策が微妙に取れていないのは驚きかもしれない。3年中心のチームだから、2年以下はそこまで防御に寄ってないのかも??動画を見ると金田一君のカバーは自然に一人つく感じだし。……かといって翔陽程は防御ザルじゃないからなあ……あんまりこの考察は意味がないのかも。
このセット、皆には申し訳ないが恐らく落とす。TO明け、恐らくどんなに不格好でも上げるだろうし、上げたらなんとかしろって言う指示だ。そんで次のローテが回ったら、調子を上げた京谷さん&及川サーブが牙を剥き始めるんだよな……ぐぬぬ)
当たってほしくなかったよそうだけど、やはり烏野は第二セットを落としてしまった。
28−26、非常に長いシーソーゲームだった。