27. あなたはライバル
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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「さて、私にも……烏野にとっても地雷の闘いなわけですな」
どうも、私です。
現在時刻は、準決勝直前と相成りまして。烏野応援席でも無く、チームの皆の公開WUを助ける訳でもなく、おトイレで自分の顔とにらめっこです。
父の車には母の化粧品類が積載されていたので拝借し、若干強めのメイクに挑戦中でございます。なぜなら、この度私は烏養コーチより敵陣に潜入する任務を仰せつかったわけでございます。
***
ニコニコ笑う烏養コーチ。
珍しい表情にときめかないこともないが、私は知っている。この人めっちゃ怒ってる。
手には私の他校の情報をまとめた分析ノート。ちなみに中身を知ってるのは、コーチ以外だと牛島さんくらいである。
「あのー、美雪さん?……おいテメエ、意図的に青葉城西だけ情報収集サボってんな!?」
「ヒイッ。そ、そんなことは……えへへ」
笑って誤魔化しても無駄だった。
まじめに睨まれるとさすがにこちらも困った顔をするほか無かった。事実です。
「例えばこの伊達工のとか、戦歴をまとめるだけではなく今期紅白戦でよく使用してたオーダーとか、夏に熱心に取り組んでた練習傾向とか……明らかに1校当たり数度足を運んで記録に取り組んでいる。………で、なんで青城だけ!!比較的近所なのに何で校名すら無いんじゃーー!?」
「……すんません!!!……顔合わせたくない人居て……バイクのハンドルが自然と拒否しました」
「んだよその言い訳!!………まあな、青城はどっちかっていうと相対回数が多い上、各員既知の選手で情報量的には充分問題ねえし、お前の苦手意識もわからんでもないが……」
「………」
「だが!!俺は甘やかさねーぞ。使えるモン使わない手はねえ!!美雪!!」
「は、はいっ」
「青城公式戦では、烏野席ではなく《青葉城西席で情報収集》を命じるッ!!」
「えっ!?」
そういうとコーチは私にハンディカムとタブレットpcを渡してきた。
「お前の得意分野は、……頭脳とそのコミュ力だと思う。ウチはいつでも人不足なモンでな。今日は観戦席、青葉城西の中から選手の事を知ってこい。コーチとしては……チームの応援よりそっちの方がありがてえわけ。ここで勝っても負けてもそれは次年度の『財産』になるからな」
言うことは確かに分かる。私への課題未達成の誅罰というよりかは、集める意義を唱えてきた。ほんとうにごもっともです。
「分かりました……。謹んで拝命します……」
「ん」
「他校スパイもいよいよ職業化してきましたね……うう、サボったのは事実……。頑張って忍びながら選手データ作ってきますよ。でも翔陽がスーパープレイしたら思わず歓声あげますよ?」
「そりゃ、できればどうにかして抑えてくださいとしか言えねえな。っつーわけで試合終了後までに撮影と記録。分析感想文の提出を頼んだ。フォーマットは揃えろよ」
「承りました」
烏養コーチの命を受け、美雪特攻隊長、青葉城西席へ参ります。
***
そんなわけで谷地さんや烏野商店街の方々から離脱し、敵陣にトロイの木馬大作戦です。
顔バレしてるのは及川さんだけなので、変装の意味は正直薄いが……春高宮城予選ではちょいちょい目立つ行動を取ってた自覚はあるので慎重に自分味を消さなければならない。
「このツリ目は誤魔化すか……。つけまつげの位置を目尻より下げて……アイラインも強調して……目頭にはハイライト……あれ??あってんのか??…このYouTuber整形メイクやな……このカットの間にどんな手術が行われて……?」
動画を参考にメイクでお目々をいじると結構顔の印象が変わった。
さらにお父さんの医療用テープで頬から顎に貼って伸ばして引っ張ると……おお、かなり自然なタレ目になった気がするぞ!!
あとは髪型をおっとりそうな二つ結びにして……。前髪もちょっとカットしてみるか……。
シャキシャキとぱっつん髪の毛にハサミを入れて、M字バングにしてみた。
「………あれ??どこかで見たことある人になったぞ??………ってあああーーーー!!生川高校の宮ノ下さんにそっくりじゃん!?!?」
自分とは真反対のタイプになった。
お……おおー自画自賛、なかなかのクオリティ。
後でご本人に送ってみよう……。
これはまさかの。宮ノ下さんの声色再現できるかな。なんかちょっと楽しくなってきた。