25. それぞれの夜
お名前変換
設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
⑥月島家
スポーツグラスをくれて以降、兄は仙台に帰ってしまったので、少しだけ静かになった自宅。
──月島はひとり音楽を聴きながら勉強していた。
ふと視線を上にあげると、先月部活メンバーから貰った誕生日プレゼントが目に入った。
日向からはよく行くパンケーキ店のドリンク券、谷地さんからは皮製品の眼鏡ケース。山口からは恐竜博の前売り券。影山からは…あれ、なんだっけ。
***
「すまん、無い。現金でいいか?2000円」
「うわ・・・」「お金ってお前…かわいそうに……。今まで誕生日友達に祝って貰えなかったんだな」
「日向。さっきから妙にハラタツ顔ヤメロ」
日向と山口は非常識な子供を見るような顔で影山を見ていた。
「この光景、月島君には悪いけど不良同士の闇取引ぽいね」
「そうだね……」
宇内さんと谷地さんは良いとも悪いとも言わず微妙な表情だった。
「影山、態度はどうあれ試験勉強にめっちゃ世話んなってたのにそれはないぞ……」
「嫌なことを思い出させてくれるね………もう来年からは宇内さんに引き継ぐ。絶対」
「え、いやだ……」
「あーもー……何よりあの黒歴史慈善活動が2000ぽっちの給与と判断された方が頭にくる」
「月島……さすがにドージョーする」
とうとう日向も閉口する。なんでこいつに憐れまれてるの僕?地獄??
なんともいえないような顔をしていた宇内さんは、影山の愕然とした顔を見て口を開く。
「あー、じゃあこれは提案だけど…よければ私からのやつと共同っていうんでどう?」
「……お前チョイスのヤツの半額出すとかか?」
「そんな感じ。やっぱり流石に現金は誕プレとしてちょっとね」
「言ってくれたら一緒に買いに行ってやったのに」
「私も現金はどうかと思う」
「知らなかった……こういう時って金を出すんじゃないんだな……んん………(確かに月島に2000円やるよりかはお前に払うほうが納得感あるな)」
「貰う側は文句は言わないけど……」
反論はなかった空気を察したのか、影山は財布から出したお金を宇内さんに渡す。
2000円は微妙な顔をした宇内さんが財布にしまった。
「ええと。なんか変な感じになっちゃったけど……お誕生日オメデト。
……一応ちゃんとしたものだからさ。消え物だし食べちゃえば遺恨はないハズ」
「どーゆー気の回し方してんのさ。……食べ物?まあ宇内さんは舌が肥えてそうだし……ありがたく頂く」
降るとシャカシャカと音が鳴った。
宇内さんはチョイと手を招いた。
「大切にコソッとかつ大胆に食べるんだよ。大丈夫だとは思うけど、明光にはバレないようにね・・・」
「あ、うん……」
***
宇内さんのプレゼントが食べ物だったことを思い出した。賞味期限が結構長いのでまだ開けずにいた。
思い出したついでに包み紙を今更開けてみる。
村上○新堂…?ググったら一見様お断り系の東京のお菓子らしい。影山の金を受け取っても半分に満たないってお前……まあいいや。
多分本人の言葉をそのまま受け取ると父親関係で偶然手に入ったと言ってたし…深く考えないでおこう。
「そういえば、紅茶のあまりがあったかも」
誕生日からひと月経ったそんな一夜だった。
「なにこれおいしい」
たしかに兄に分けるは勿体ない系の食べ物だった。