24. 本戦出場
お名前変換
設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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私は、バイクで帰ることを伝えて翔陽達と別れた。
……探していた人を見つけた。
ちょうどトイレから出たところだった。
すれ違いざまにお辞儀された時、声を掛けた。
「………三咲さん、ですよね。お疲れ様です」
「あーえと、すみません。あの何処かでお会いしましたでしょうか……」
烏野関係者としての印象は薄めだったようだ。それならそれでよかったかも。気まずくならないし。
「あっ。いえ、上で見ていて。
試合、凄かったです。かっこよかったです、……えっと、用事はそれだけです……びっくりさせてすみません」
「えっ……?いやあ、アイツら見てそう思っちゃう奇特な人も……よく分かんないですけどありがとうございます」
「違いますよ!三咲さんです。カッコ良かったの」
「?」
「二年生の、照島さんのケツ叩いた時です」
「!?……あ、そ!そりゃ注目されますね……恥ず!!」
「いいマネージャーさんだなって」
「ああ!!思い出した!烏野の1年生の!!……先輩打ってた人!!」
「あはー。バレちゃいましたか」
「もうっ!負けた相手チームに絡むなんて度胸あるね!!私は大丈夫だけど、やっかみ受けやすいから気をつけなよ!」
「あっ……そか確かに……つ、次はできるだけ気をつけます」
「そうしなさいな。もうー……条善寺のOBの皆にイジられたばっかなのにー……他校までこういう風に覚えられるってどうなの私……?」
「本当にカッコ良かったですよ!いじりじゃなくて!」
「そーかなー……まあ仕方ないか。こんなところじゃなくって、移動しない?」
「あーはいー」
******
「こちら監督の穴原さん」
「こんにちは、烏野の生徒です。宇内と申します」
「これはどうも、ご丁寧に」
ぺこーとお互いにご挨拶。
「あー?烏野のスパイかー??」
「女子率あがったー」「やったー」「いーや、敵ぞー」「顔に油断するなーうっかり情報抜かれるぞー」
「はぁ……お前ら、うるさい。お店の人に迷惑かけるなよ」
ぶうぶうと唸る生徒さんを横目に監督は冷や汗をかいていた。
ここは、仙台市体育館の近くのファミレス。
別に条善寺の反省会とかしおらしいものでは全くなく、単純に選手たちがお腹が空きすぎて家まで持たないと、気軽なおねだりしたそうだ。
そんな中ご同席させて頂いたと言う訳でして。
お話もいっぱい聞きたかったので、まさに渡りに船だった。
ちなみに部外者だどうやって取り入ったかと言うと、ファミレスの優待券を監督に渡したところ、神を崇めるような目で大歓迎された。
こんなに多いと金額も大きいし。30%オフはでかいよね…。
しかし穴原監督は気付いていない。割引券があればむしろタガが外れて、彼らが普段以上に容赦ない追加注文してくると言う罠を……。
4人席は、私と三咲さんと穴原監督と、照島さん。
「ねーねー。君ィ烏野のマネちゃんでしょ。黒髪美女の方も呼んでよー……ねぇー」
「照島さん……失礼ですねー私も美女側ですー」
もうマネージャーぽくなってるのは否定も面倒になってきたので濁す事を覚えました。宇内です。
……条善寺のメンバーがドリンクバーへ詰めかけるのをぼうっと観察する。
照島さんは失言に気付いたのかちょっと気まずい顔になったのを横目で確認した。
「あー…あ、名前なんていうの?」
「烏野高校1年1組。宇内美雪、気楽にどーぞ美雪と呼んでくださいな」
「改めてよろしく。ええと悪いけどさすがに苗字にさん付けで呼ばせて……年齢差的に」
「はいー。徐々に慣れて下さればと思いますー」
「監督ノリ悪ーッ。美雪ちゃんね。気を悪くしたらゴメンね。なんかーバリエーションって大事じゃね?弊社お淑やか系が不足しており……そのあたり、烏野女マネはイイ感じ」
「ああん!?んだとオラァ照島ァ」
「ヒイッ三咲様」
「そっスね。御社は全員気がお強いですね…」
「一応宇内さんにフォローしておくとこの代だけだから……来年は質実剛健するから」
「またまたぁ監督はご冗談を」
私は知っている。
この方が着任&トレーニング改善して、急激な個人能力の上昇+強い挑戦メンタルを得たと聞く。実は質実剛健っぽく無くなってしまったのは穴原監督のせいじゃないかと思う。
だって天満・明光の代は条善寺ってあまり聞いたことがなかったんだからね。
「はい、美雪ちゃんの分。烏龍茶よ」
「恐れ入ります。ありがとうございます」
三咲さんからお茶を受け取る。
「ん、んんんっ。…注目!」
コップが行き渡った所っで、穴原監督が各位に声を掛けた。
「えー本日は、おつかれさまです」
「「「おつかっしたー」」」
「……正直にいうと、勝ち残れると思っていた。烏野のインハイと予選を見て……これなら条善寺は大丈夫、……そう思ってしまっていた。むしろ烏野のプレイを吸収して——もっと面白いことが出来るかも、と」
「……」
何名かが私の方をチラッと見てきた。
私は微笑う。私の翔陽は強かったでしょ??
「結果は見事な完敗!……最後、土壇場で同時多発位置差攻撃を作れたんはビックリしたけどな。……ホント、すごかった」
「………」
何名かがここで静かに泣いていた。
それを見て、照島さんはブー垂れた顔で監督に文句をつける。
「あのー!湿っぽいのはイヤっす!もっとライトにおなっしゃす!!」
「ぶは!……はは、そーだよな。だって来年のインハイ、また烏野とリベンジできるもんな」
「はい。反省もすっけど………次、アイツらをノす方法を考えたいです」
「じゃっもう、最後に一言だけ!
今日、負けてこのチームは正しく現在地を知った!!次はやりたいことじゃなくってやったほうがいい事を考えろ!!もう三咲はお前らのケツを気軽に叩けないからな!」
「おお」「名言名言」
「最後のっ……余計ですっ!!」
三咲さんはまだ弄られているようだった。可愛いからな、あの人。
「はは……おしっ、メンドーな話終わりっ!グラス持てー。宇内さんもー」
「うーっす」
「あ、はあい……立つ感じです?」
「おっしゃ、立って通路行こ……三咲先輩は特に世話んなったし」
「ちょ引っ張んないで」
「立役者!」
「よし、……今日はおつかれ!乾杯!!!」
「かんぱーーーい!」
穴原監督と三咲先輩と、照島主将とグラスを合わせた。