24. 本戦出場
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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烏野チームの危機はさった。
澤村さんのお陰で、危うく空回りルートに突入しそうだったところがカバーされ、安定して得点を稼いでいた。
一方で条善寺は攻めあぐねている様子だった。
彼らの表情は硬い。
「あー…攻めるのはいいけど、焦ってるな。条善寺は」
「味方への鼓舞を主将が選んでいるというより、戦略なく足掻いている印象がしますね」
条善寺がタイムアウトをとった。
その隙にちょっと谷地さんに荷物の番を頼んで階段を降りてみる事にした。
通路を歩いていると通り過ぎざまに他の高校の人たちの批評の声が聞こえてくる。
「烏野優勢だな」
「まぁ条善寺は今のチームで初公式戦だしな。逆に烏野は3年が残ってる」
「えー?でも条善寺はインターハイの時から今の2年主力だろ?あんまり関係なくね?」
自分は烏野の関係者のくせに顔をしかめる。
それは……谷地さんの言葉を借りるならば、お母さん役の大変さに気の毒な気持ちになったからだった。
アリーナの廊下を彷徨くと、待機中のチームの数が意外と多く思うように進めないものだなと思った。谷地さんよくこんな距離往復したものだと尊敬する。
烏野側に近い扉を通り過ぎて……(ちょっと縁下さんと目が合った)、やっと目的地の条善寺側の扉についた。
もしかしたらなにも見えないし聞こえないかもと思ったけど、意外と声はハッキリ聞こえた。
……そう。私の目的は条善寺を通じて、厳しい時での士気のあげ方の工夫、他校の待機時間の過ごし方等が気になったので偵察に来たのだ。
選手の作戦会議は、番組ではCM挟まれて観察できないからね!!
「もっとこう、ガッと攻めねえと!ガッと!!」
「テンション上げようぜー」
「気合い気合いー」
条善寺の監督はため息をついていた。
………三咲さんは怒っていた。これは……もしかしてヤバイ系??
「……ガッとってなによ」
「!!!」
「えっ」
「気合とテンションだけでなんとかしようとしすぎ」
「!?」
「…必ず楽しくない時間はやってくる。劣勢でも不調でも、楽しむ?──そんな奴がいるとしたら変人か変態よ」
「…み、三咲??どうした??」
「すいません先生、でも今。自分達の弱さ目の当たりにした時に行ってやんないと…痛感しないと思うので今言わせてください」
「エッ…アッ…オウ」
「奥岳君にコイツらのケツ叩いてくれって頼まれてるので」
思わぬ修羅場にチーム男子達もどよどよがこちらにも伝わった。
「ま、たしかに今の状況は楽しくないっスね!悔しいけど烏野の方が自由に遊んでる」
「……遊ぶにはまず“遊び場”が必要……奥岳君がよく言ってた。ねえ、“楽しくない”時間も我慢して、最後までちゃんと遊んでみなさいよ」
なるほど。お母さんね。
他チームのことなのにとても羨ましく思った。
お母さんかー、わたしにはできないなあ。
——現実でも役どころでも……きっと難しい。
しかし勉強になった点は非常に大切ったと思う。頷いて戻ろうと移動すると、今度は烏野側の声も大きく聞こえてきた。
「よく分かんないけど俺らのことも叱ってもらえませんか出来れば見下すような」「しません」
「じゃあ——」「尻も叩きません」
「よいしょー」
ペーン、ペーン、と2発叩いておいた。聞き捨てならないのでつい手がでてしまった。
だが後悔はしていない、ノヤリュウコンビは叩かれた尻を抑えていた。
「美雪!?」
「先輩に変なプレイを押し付けないで下さい……アッこれ清水先輩の反応に思いの外悦んでますね……」
「………」
「田中……西谷…………変態」
「「!!!」」
うわぁ……心底引きました……。
清水先輩どころか、私のシバきにも喜んでいるのか?心を込めて気味悪がっているというのに。
ついでに条善寺からも「変なプレイ!?」という女性の声が聞こえてきた。アーアー尻ませんー。
先輩達の別の顔を理解し内心震えると、烏野高校同級生達は私を見てパッパと追い払う仕草をした。ひどし。
「はよ戻れ」
「巣に帰れ」
「しばらく戻ってこないで」
「試合始まるから」
「……お、おう…分かったよ……」
特殊な先輩に囲まれて君らも大変だなあと妙な心配をすることになったが素直に退散することとした。
二階の席に戻ると、お二人からも微妙な顔をされた。
「あんまり公式戦で変とこ映されると一生笑いものにされるからね。飲みの席とか」
「……え!!?……分かりました。大人しくしています……」
「たまたまOKだったみたいだけど、試合中に不用意に選手に声かけちゃダメだよ」
「ハイ以後気をつけます」