あの大荒れの次の日以降能力が全く使えなくなった。谷地さんの指摘通り、顔色もあまり良くないし……。
色々自身に変化が起きたことをここで記す。

変化1、まず部屋に物が増えた。
ベッドボードに参考書や小説が積まれ、部屋にゴミ箱が設置された。

変化2、バイク通学をやめた。夜の運転に不安があるから。ついでに塾の夏期講習もキャンセル。
いよいよする事が無くなって、バレー部に入り浸る生活になったのだ。

そもそもどうやって動かしてたっけ？
……困りはしないけど、モヤモヤ。

でそれをぼんやりと相談してみたり。

「コレどう思う？」
「今する話！？…ちょそんなことより、モブ湧きを処理して」
「へいへい、任され。モーション変わったら安地移動するよ」
「分かってる！」
「ごめんごめん怒んないで」

ゲームパッドで指定コマンドを打って、ガードブレイクを打ち続ける。よし、スキルディレイが回復した。

「研磨はチャージ技行けそう？」
「いやまだ、先打って」
「はいよ」
「モーション変わった、柱の裏に行くよ」
「ヘイヘーイ」

画面いっぱいにボスのブレスが通過。
まともに食らうと、状態異常貰うし避けるしかないんだなコレ。

「……美味しいカカシタイムだよ」
「っしゃ、倍速スキル！！」

結構かかったなぁーこいつも！
数十分の格闘はなんとか削り切り勝利を収めた。

レア武器は研磨に。
私はクエスト達成素材を多めにもらった。

……あれ？？

「ってああ！？やっばい激強ボス湧いた！！」
「……うわ、二人じゃ無理だ。フルPTで挑まないと……」
「待って待って、装備が削れるー！！」
「帰還アイテムは！！」
「……まだ使用制限がー！！」
「おれのキャラも！……あーあー」
「あーあー」

チーン。
全滅した……。


……おっと、説明が漏れていた。
以前のようにMMOゲームを二人で協力プレイ中です。
Skype繋ぎながらだと楽でいいよね。

研磨はついにレベルキャップ到達したので、高難易度な塔とか呼ばれるダンジョンに籠るようになってます。防御不可で食らったら即死の攻撃とか最初は安全地帯が分かんなくて死にまくったけど、攻撃パターンや順序を覚えてくると攻略出来るようになった。
今みたいに負けキャラに遭遇すると蹂躙されちゃうドッキドキなリスクはあるけどね！！
デスペナ痛え！

いやあー、動画サイトの存在とプロYouTuberはありがたい。攻略wikiマイナーゲー過ぎて更新止まってるもの。

「で、さっきの話だけど。……あんなに強力な超能力…ホントに無くなっちゃったの？急だね」
「うん、寝ても覚めてもなーんも起きない」
「なんだ……原因は分かってるの？」
「さあ」
「なんか生活習慣変えたとか」
「習慣…？？……変化が起きた点はまあ思い当たる節はあるけど……え、これなのか………！」
「何それ。……解決法が分かってるなら対処すればいい話でしょ」
「ううんーうーん………」

二つ、思い当たった。

私が女子として一段上の段階に行ったからか？
いやいや、まだ分からんぞ。ほんとかこれ。


「ねえ、唐突だけどさ。研磨って恋愛要素ありの作品って読む？」
「は？ヒロインがいないゲームシナリオとか皆無でしょ。……いくつかやってるけど何」
「なんかこっぴどいどん底からスタートして最終的に結婚するみたいなヤツでいい作品ない？ハードはPS4かSteamがいい」
「該当作品が多すぎて絞れません」
「じゃあ……努力で超能力を獲得するような話ってなんかあったっけ？」
「え？とある……いや、ヒロア………ガッシュ…？いっぱいあるけど、ここでは詳しくは紹介できないかな」
「配慮の塊だね」

有名どこでもこんなにあるのだから、ありがちなんだろうか。
恒久的にこのままと言うことは……ないよな……分かんないけど。研磨に面白ゲーム候補をいくつか上げてもらった。メモメモ。

「美雪前に能力を封じるために医者しようとしてなかったけ？矛盾してない」
「……そっか、そう言えばそうだね。躍起になって勉強しなくてよくなったのか」
「おれは勿体無いなって思うけど」
「この前の合宿みたいなのはもういやだよ」
「ふうん」
「あ、次いつ来るの？」
「烏野と一緒だよ」
「あ、そう」
「……代わりはやらないからね」
「…………あ、時間だ。それじゃあおれはFortniteのオンライン対戦するから」
「(誤魔化しやがった)ハイハイ行ってらっしゃい。それじゃおやすみ」
「オヤスミ」

研磨のキャラとSkypeはログアウトになった。
手持ち無沙汰だし、さっき研磨にオススメされた作品、steamで買おうかな。