23.本選までの箸休め
お名前変換
設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……美雪ちゃん、大丈夫?」
「うんー。やっぱり運動は時々やっとかなきゃって思った」
「それもだけど……いつもより、顔が白いよ。普通なら血色良くなるはずなのに、貧血かな……」
「あ……」
「ウヒャア…!?ま、また私出すぎたマネを!?マネだけに!!」
「マネのマネ……そのギャグはあんまおもろくないよ…谷地さん……」
「お笑いに厳しい!もしや関西のお方ですか!?」
「同じ東北人だよ。……やー、実はワタクシ……失恋しまして……」
もはや認める他なかった。
明光に恋愛感情なんてないと嘯いておきながら可能性がゼロに近くなったらコレ。もう完全ドロッドロに引きずっていた。
谷地さんは私のやさぐれに目を丸くした。
「えっ!?……あ、あわわわ……私はそういう経験ほぼゼロで!!すんません!!聞いておきながら何の蘊蓄もアドバイスも出来やしないっす」
「大丈夫……むしろ百戦錬磨手練手管が……谷地さんの口から出ようものなら、しばらく寝込みそうだから……」
「おおぅ。ご期待に添えたようで誠に光栄です……?」
すまぬ…烏野一年ピュア民代表選出谷地さん……君はしばらくそのままでいてほしい……。
「話聞こうか?いや、話したくないなら聞きませんよ勿論!話すとスッキリする系ならこの谷地めをどうぞお使い下さい。コミュ障拗らせて友達あんまり居ないから口は堅いですヨ」
「本当になんて悲しい事故アピールなんだ……ふ、ふふっ」
「あれ??今度はウケた?」
この子本当に優しいんだなあ。
「…えーとね、お言葉に甘えて……話すけど。私さ。初恋を5年近く続けてたみたいで……」
「おお……おと、な…」
「マセてただけかも。……勝手にフラれたもんだと納得してたんだけど、さ……それで良かったんだけど……。不意にこの前さ。相手の気持ちも自分の気持ちもそんな悪い状態じゃないって分かったんだよね……」
「え、じゃあ……?」
「モヤモヤするのが嫌ってスッゴイ子供っぽい理由でね。気持ちを聞いたわけですよ。……よせばよかったのに。でね、言った後にすぐ後悔した。コレは成就させたら、絶対どっちも良くないことになるって」
「…え。どうして……?」
「親との約束なんだ。……別に破ったところで死ぬわけじゃないけどさ。でも、……その人はきっとソレを私の代わりに後悔してしまうタイプでさ。……責任とかお詫びとかそんな感じで私と過ごしてしまう」
「………」
「それがさ、えっと『困る』って顔に出てたみたいで……相手も傷ついた顔してて……好きな人に気持ち聞いておきながら困るって勝手すぎだろ……って泣きたくなって……あ!!うわごめんね、めっちゃ重い話だった……ホントごめん!今のナシ!!忘れて欲しいかも!」
谷地さんの顔色を見て、私は話を打ち切った。
ダメだこんな話会って1〜2ヶ月でする事じゃない。
言ってしまったことは戻せないけど、谷地さんに要らない気遣いをさせるわけにはいかない。
「ううん、知りたい。ねえ、美雪ちゃんはどうしたいと思う?」
「……今はまだ辛さの方が強いけど、このまま思い出にしちゃおうかなって。そう吹っ切りたかったけど…そうだね。まだ不調かも」
「そうなんだ……」
「あっ、もう一個の理由はね、やっぱみんなと過ごす健康部活生活、気に入ってるんだ!……恋に生きるのはまだ私には5年は早ーい!!ってね」
「……そっか。そっか」
「ありがとうね、聞いてくれて」
「ううん、私で良ければいつでも相談して欲しいな」
二人でなんでもないことのように笑う。
……うん、私はまだ子供でいい。