23.本選までの箸休め
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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今日の練習は自主練のため、ちょっとだけゆるゆるな感じ。端ではサーブが飛び交う。
おー、セッター菅原さんか。
ならば私も上げたいなー。
「いいよ」
「いいんですか!?」
「…そりゃあふつーに上手いし、練習で使わん手は無いだろ」
「おーよ!!いらっしゃいませ」
主将と田中さんはにっと笑いOKしてくれる。
ボール拾いとっとこマネ太郎が遂に選手昇格か。
「……おぉ」
ちょっと嬉しいかも。
ボールを置こうとすると、月島君とすれ違った。
荷物をまとめている。もう部活はしないのかな。
「あれ?帰るの?」
「そうだけど……何か?」
「いや別に。遂に私も中の人昇格なんで、どもっす」
「そりゃよかったデスネ。動ける人なのは知ってるし」
「……左様でございますか。……あぁ、そんじゃアッキーさんによろしく」
「!」
超睨まれた。
……いっけね、また余計なチョッカイ掛けてもうた。
普段なら出るときヘッドホン掛けてるけど、今日はスマホ手持ちしてるだけ。
つまり電話を掛ける予定があると言う寸法さ。
「あ、そーだ。あのときはあんがとね」
「…何が?」
「焦って取り返しつかん泥沼しそうになってた。私もまだまだコミュ障の子だわ」
「……自覚があるなら、良いけど」
「うん、次は君が居なくてもなんとかする」
「あっそ」
「ん!」
月島君は、目を細めて鼻で笑った。
いつも通りの自分である事を自覚してホッとした。
さて……自主練良いな。
私はいつも通りの彼のいつもならしない行動に可能性を感じた。なら、私もいつもならしない挑戦をすべきだろう。
しかし、何故今のタイミング行くんだろう。
今日部活に来た意味よ。……ま、良いや。
「……縁下さーん!!、山口君ーッ!!」
「ホアッ!?」
「なっ何!?…なんだ美雪ちゃん?どしたの?」
「サーブ練、私に向かってどーぞ!!リベロ役しますヨ」
「えーッ?」
「ほんと?出来るの??」
「挑戦挑戦」
「こら!美雪さんは!おれに!トスあげて下さい!!」ペコー
「後でね」
「今!!!」
「あと!!」
オレンジ頭さんが絡んできた。
うるさい色のつむじを押してやった。ぐいー。
「月島も美雪もひっでー!」
*********
「短め!!」
「……ハイッ!!」
くんっと、ちょっと崩した形でセットするとBAで成田さんはヒュっと打った。場所はオッケー。
ボールは、翔陽の頭を抜けていくが、田中さんに上げられる。ぐぬぬ……。
「チャンボ!!」
「菅原さん!下さい!!」
「……大地!」
主将から打ち返される。
「せー……のっ!!」
!!…やっば私低いッ…イッテェ。
タイミングが悪いからか、自分の中指が変に反ってしまった。
っつー……軽く振って、戻す。
上手く、縁下さんが取ってくれた。
次……、やっぱエースでしょ!
「旭さん!!」
「オオー!!!」
バシッと決めたボールは木下さんブロックを壊した。
「ッエーイ!!」
パシッとハイタッチ。
成田さんが西谷さんと変わった。
サーブは私。
実はあんまり得意ではない。
確か、右手で回転…左で上げて、右側面を打つ…だったかな。
右手を逆手にしちゃうと球種がバレるので頑張って隠すのだ…。
「…!!曲がった!!」
「サイドスピン!!」
主将目掛けたと思ったボールは、田中さんの右後方に曲がっていった。ふいー。
しかしまあ、体制は崩せたが取られてしまう。ちょっと狙い甘かったな…。
「大地さん!」
「オーライ!」
「日向!!!」
「ハイッ!!」
……烏養元コーチの言う、3rdステップ。
助走充分の翔陽、跳ねる。
「しょ、近くだとホンッット高!」「俺がとーる!!!」
こちらは頑張って飛んでいるが、翔陽は……縁下さんと山口君の手より高い。
私の小さなボヤキは西谷さんにかき消された。
……フォロー、私と旭さん。
宣言通り西谷さんは上げて、しかもセッター側に送ってくれた。
じゃあ、…答えるほか無いでしょ!!
「旭さん!」
「おおっ!」
旭さんを贅沢に使わせて貰おう。
木下さんと翔陽は旭さんをマークしている。
……掛かった!
「美雪ちゃんがツー!?!!」
菅原さんが前に落ちるボールを上げた。チッ、やっぱ私では無理か。
ま、次々。
「どんまい」
「あざっす。旭さん、次も頼んます」
「おー!」
「旭さんナイスっす!」
上級生レギュラーが頼もしい。
向こうのローテが変わり、翔陽が下がった。
向こう:菅原さん、主将、田中さん、翔陽、木下さん、
こっち:私、縁下さん、山口君、旭さん、成田さん(ノヤさん)
こっちのチームがぎこちないわりに攻/守それぞれのNo1を貰っているお陰か何とか食らいついている。それらの人ら、旭さん、西谷さんは言わずともがな。
成田さん、ブロックのタイミングが結構良い感じ。
恐らく校内練習試合の時の翔陽とのマッチアップ率が高いのか、翔陽対策はバッチリだった。
縁下さん、カバー範囲が体格のデカイ旭さんと同じくらい。地味に凄い。
皆の癖知ってるのか、相手チームがスーパープレイしてもあまり慌てない。
山口君、私のトスと息がめっちゃ合う。スイーツカップル効果か??そしてオーバー苦手陣に対してジャンフロが超有効。
向こうからのサーブは翔陽。
ネットに掛かった。
「………」
「……ど、ドンマイ!」
成田さんは敵チームなのに彼を慰めた。
ちょっとコレ得点で素直に喜べないのなんだろうね。
それはそうと、次のこちらの攻撃はビックサーバー旭さんだ!
「ナイッサー!旭さん!!」
「おお!」
アゲアゲ組の声に応え、旭さんは、主将を指差す。
お!良いなそれカッコイイ。
「……コート挟むと強気だなー?旭ー??」
「(ヒイッ!?大地顔怖いッ!!)……日向狙お」
ダメか。心臓小さ組だった。
旭さん……。
「せっかく決まってたのに……」
「男気保って下さい!!それはダメっす!」
「う、うっす!スンマセン!!」
旭さんは西谷さんにごめんなさいした。
真剣な顔でジャンプサーブを放つ。
狙い通り、主将の顔あたりに向かう。……上手い位置。
しかし、主将ならとるだろう。
こちらチームは攻撃に備える。
「もってこーーーい!!」
翔陽は後ろから前に向かってどどどーと走り、主将と田中さんも走り出す。
同時多発位置差攻撃(スガさんver.)!
しかし、山口君・縁下さんは動かない。
……オッケー。
ここは翔陽を、ブロック。
「チッ」
「くっそおー!」
「ワンタッチ!」
…合ってたー!良かったー!
「頼んだっ!」
私が上げるのは……山口君!
別にみんなに平等にあげようとしている訳じゃない、そんな甘い事なんてあのチーム相手に言ってられないから!
「ッ!!…らぁっ!!」
私は今までテクニックが要るトスを見せておらず、ただ丁寧にウエへ上げていた。
体は柔らかいけど体幹あんまり強くないから体制崩して打ちたくないからってのはある。トス割れるのは嫌だから。
……そしてここぞって時はキチンとこなす為!
ブロードで速く!!変人コンビの十八番!
うまくハマりました。
山口君の攻撃はノーマークだったのかまともなブロックは受けずに落ちる。
「「っしゃあ!!」」
パンとタッチ。
「よっし!イケると思った!」
「……むちゃくちゃすると思った!」
「ひどい言い草!」
とまあ、そんなファインプレーは一応ありつつも、最終的には負けてしまったのだが。超楽しかった。