22.春高予選は戦わない
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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「明光……何してんの」
ヤツの腕が二の腕に触れた。
酔っ払っているせいか、手のひらは暖かかった。
「肩冷えてる……ごめん。めっちゃ迷惑掛けた……」
「ノースリーブでこんな時間まで外いるのは想定してなかったよ、……ってそうじゃなくて。放せ」
「あで」
くしゃみをしたせいで余計な気を使わせてしまった。
ともかく腕が緩んだので脱出した。
「部屋入ろうよ、いや誓っても手は出さないから!!!」
「なんだ明光、さっきから。守備範囲内なのか。ゼッテー入らんぞ。早よ金返して」
「うう辛辣……分かったよ、それは羽織っといてね」
「ういっす」
酔っ払いって本当にタチが悪いのな。普段なら理性でストップするような冗談を平気で言うようになってしまう。私も20歳の際には十分注意しないとだな。
明光のジャケット羽織ると若干マシになった。
ギイ、っとアパートの扉が閉まる音。
チラリと見えた玄関は靴だらけだった。
履かない靴は仕舞えよ大人。
上を見る。
……空は星が見えている。
月も高い位置で私を照らしている。
……月を見ると明光を思い出して、あまり穏やかではなかった事を思い出す。特に中学時代。
月島明光…私の初恋は小学校卒業と共に終わった話だが、まさか今になって頻繁に居酒屋に行く仲になるとは思わなんだ。
きっと学年が上がっても、ハタチになっても、明光と程よい距離で親交を続けるのだろうと思う。
……卒業したら、どうしよう。
親の病院で後継候補(笑)となるのか、どこかの医院で嘱託するか。大学で研究員するか、はたまた留学か。
あー、でもどれも東北に居続ける選択肢は無いのか。
……次こそは月離れできるんかね、私よ。
「持ってきたよ。美雪ちゃん」
「あ、うん」
「何考えてたの」
「高校後の進路。次はどの県行こうかなーって、なんてね」
「…………」
「明光?」
「……………」
「わ、もうなんだよ。さっきから!!」
またまたハグられた。ぐるじぃ。
「…………ヤなんだけど」
「はあー???まだ悪酔いか!!抱きつき魔だコレェ」
フギフギと体をねじって脱出を試みるが、酔っ払いのくせに力がゴリラ。
「…………」
「なん、………あ、こら!」
「…………」
「もうなんなの……」
ちゅーされた。さすがに顔を背けて避けた。
え?え???なんだコレ。
酔っ払いたち悪いぞ。私は送り羊??
頭キャパシティオーバーすわ。
「…………帰る」
「!?」
「アッキーさん、水飲め酔い覚ませまた電話するじゃあね」
能力を使って引き剥がしたあと奴を放り投げて、洗濯山の上に落とした(畳め、仕舞え、玄関から見えるところに置くな!)
奴が立ち上がる前に、早口で別れの挨拶をして……扉を閉めて内部のチェーンと鍵を両方操作した。
駄目押しに扉に斥力を張り、暫く扉を触れないようにして、私は一刻も早くそこを離れる為バイクに跨った。
「うーーー…………もう何が地雷かわからんよ及川師匠……私は乙ゲーは向いてないと言うことがよく分かったよ……」
(脳内及川「大丈夫、キミ攻略王の素質あるよ☆」)
何だそのアドバイス!!っつーか今更掘り返して成就させたいものじゃあないし!!
コレが顛末。
ついでに慰謝料を奪い忘れましたー。