22.春高予選は戦わない
お名前変換
設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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パンケーキ店。
こちらは割引日には山口君と二人でよく来る。
カップル割も《男女1名ずつなら適用範囲》と厚顔無恥な理論武装でよく利用してます。
逆に山口君以外を連れてくると理論が破綻するのだが。我らが選んだのはこちら。
宇内「カボチャ」
山口「塩キャラメル」
月島「濃厚チーズムースベリーソース掛け」
影山「……きのこチーズオムレツ」
「えっ、ご飯メニュー…?」
「…唯一味らしきものが分かる名前だった」
「なるほど」
「もし良かったら、私のカボチャパンケーキちょっと食べてみる?」
「いる」
飛雄は自分で選ぶメシは想像できるものを選びがち。しかし挑戦することの楽しさを翔陽と二人で教え込んだのでこれでも多少はマシになったのだ。
皆意外とソワソワしながら、パンケーキを待つ高1。
「お待たせしましたー。ご注文のパンケーキですー」
「「ありがとうございまーす」」
3枚あるので、取り分け皿に1枚分けて、掛かっていたソースを浮遊させて盛り付けた。まるでミニパンケーキだね。ちょっとここ量多めだからミニサイズとか出せばいいのに。
「ほい飛雄」
「サンキュー」
「いただきまーす」
「まーす」
関係ない話だが最近山口君は上から下までメニューを制覇するっていうチャレンジをしてるみたい。頑張れ。
「……あ、そうそう。アッキーさんが酔っ払い事件ね」
「え、結局話すの??……イイけど」
「真相は未遂だからさ。安心して聞いて良いよ」
「ふーん、なんだ」
「……」モグモグモグ
「何?明光君?」
「うん、月島君の兄のね。結構仲良しで最近は放課後とか夜一緒に食べるんだよ」
「へー。何話すの?」
「職場の愚痴かな。最近じゃ…なんだっけ、先輩が何聞いてもググれとしか言わないのに、ネット見てたら分からないなら聞けよ生産性を〜〜とかなんとか」
「明光君は真面目だね」
「つーか愚痴る相手選べよ…なんで女子高生なんだ」
「妹的な立ち位置なんかね」
「………」もぐもぐごくん
早々に《俺は関係ないな》と飛雄はメシに集中するのホントブレないな。いいけどさ。
「あ、話戻すね……その日余程ノってたのかぐびぐび呑んでてさ。財布の中身とか忘れてて足りなくて。立て替えた訳ですよ」
「………ふーん」
「まだ話したそうだったし、自販機横で続き聞いてたわけよ」
「なあ、コレ美味しい。もう少しもらっても良いか?」
「なんなのお前……」
なんとまあ驚くべきことに皆が半分も食べないうちに自分のと私が分けた量を完食していた。さすがに月島君のツッコミも力が無い。
「あ、もう食べたの。いいよ。でも追加注文は要らないの?」
「夕飯は家にあるからいい」
「えっコレ食ってさらに晩メシ普通に食うの……?最高到達点低くなるよ」
「ウェイトか?走って帰るから問題ない」
「……」もぐもぐもぐもぐ
「ツッキーついにツッコミを諦めるの巻」
「山口うるさい。僕はベリーソースに感銘を受けてる最中なんだよ」
「ちょっと何言ってるかよくわからない」
パンケーキは人をおかしくする力があるに違いない。論文にまとめて学会で発表しよう。
「はいどうぞ。さっきしてなかったけど、コレかけると美味しいよ」
「………うまい」
「よかったね」
「……いい加減進めていい?ねえ?」
「どこまで言ったっけ…ああ、なんか自販機でポカリ買ってあげて、飲めるか聞いたら、号泣して……」
「………」
「感極まって?抱きつかれそうになったから、………こう避けたんだよ。自販機に頭ぶつけて、蹲っちゃって」
「なんだー」
「……フーン」
「ね?じゃこれは大した話じゃなかったということです」
「美雪ありがとな。コレうまかった」
「ああうん、よかった」
本当に一瞬だな。食い過ぎじゃないのかい。
「……最近俺は気付いた事がある」
「?」
「……嘘をつくとき、意図的に話を終わらせたいとき、お前は肘を立てて頬杖をつく」
「!!!」
「……ほお、面白い事言うじゃん飛雄」
「っつーか顔を触るんだよな。頭を集中させるのに必要なポーズなんか?」
「今日に限って及川さん並みに切り込んでくるね……」
「なんだなんだ」モグモグ
「面白い展開……んでどーなの??」ニヤニヤ
「……たまたまそう見えただけでしょ。今のは嘘じゃないからね!アッキーさんに誓って!」
「月島兄には興味はねえ。言いたいのはお前は分かりやすい奴だから気をつけろよ、っつー善意のアドバイスだ」
「すごいこんな悪意あるタイミングの善意初めて」
もはや、メシを返せレベル。
「……で??続きは?」
「そう来るよなあ…」
癖を知ったのはまあ、今後の参考にするとしても誤魔化しがバレたのがよりにもよって今か……。
「あ………すんませーん、飲み物オーダーおなしゃす」
「ハーイ」
「カギャーマお前ホントマイペースな」
「?」
「………黙秘します」
「断る」
「……弁護士を電話会議で呼ばせてくれ」
「僕は一向に構わないけど、弁護士どころか被告人が増えるだけだけだよ」
「くそ…丙め……分かったよ」
月島氏はネチネチだった。
そして明光はポンコツだった……。
「……アッキーさんの仙台のおうちに能力で送って、彼んちに停めてたバイクで家帰ろうとしたら、酔いが醒めたっぽい明光からさ、お金返すって言われたんよね。
まあ早い方がお互い忘れないし、同意したわけですよ」
「……」
玄関で待って、お金を出してくれるのを待ってて。ううん、どう取り繕ってもこれアウトだよなあ。
「私がくしゃみしたから、あき…てるは振り返って。うん、そのままハグですね。こっちは完遂ですねハイ」
「それで………」
チラッと手の位置を意識した。