21.場外バトル
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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「…あれっ?」
武田先生の声が耳に届いたのでノートから、顔を上げる。
するとコートの中では、飛雄がトスを上げる前に……翔陽が明らかに早いタイミングでとびだしていた。
「あ、ははっ」
バシィ!!
止まるトス、これだね!!
ついに新しい速攻が成功した。
翔陽はちゃんと目を開けて、打ち分けて。
早くを正確に……を達成したんだね。
「い、」
「いやったああー!!すごい!!私の翔陽&飛雄がやったー!!」
「や……やった、ヤッター!」
「っしゃあ!!スゲーぞ日向影山ァ!!」
周りの注目を一身に受けた渦中も人達は、また二人だけの世界に入っていた。
語弊がある?
「!?なんだよ、やんにょかコラ!?…でもスゲーな!スゲー!目の前で止まったぞ!?こう”シュルン“って!!今回は絶対「来る」って感じしたけど、実際目の前で止まるとビビるな!?
…やっぱお前スゲーな!!!」
「!!?…なん、なんだボゲェ!」
「スゲー!!スゲー!!」
「影山がなんとも形容し難い感じになってる…」
「表情筋どうした」
「日向が影山をストレートに褒めるってなかなか無いもんなぁ」
そういえば旭さんの言う通り、日向が影山を褒める時、だいたい苦虫を噛み潰したような顔するなぁ。あれなんだろうね。
やっぱり男同士、素直に相棒を褒めるのはシャクなんだろうか。
「…〜ッ!もう一回!」
「クソ羨ましい〜!!俺にも決めさせろォ〜!!!」
「負けてらんねぇ、続くぜェーッ!!!」
「ヘイヘイヘーイ!!呑まれるんじゃねえぜお前ら〜!!」
「一番呑まれそうな人も頑張れ〜〜ッ!!」
「ごもっともな指摘ィ!!ちょっと宇内さん静かに〜ッ」
「はーあい!」
うおおおお!!
ヘイヘイヘーイ!!
翔陽と木兎さんは吼えていた。
龍バーサス虎みたいだな。
「あ…あの烏養君、宇内さん」
「はい?」
「なんだ先生」
「正直パッと見では前の変人速攻との違いがわからないんですが…」
武田先生の正直な指摘に対して烏養コーチと私は顔を見合わせた。
……確かに速攻の攻撃手段を変えたと言うだけなので、コンマ一秒の違いくらいだろう。
正直ブロックの手が見える系選手の『日向』以外には使えん戦法だし。
「宇内、できるか?」
「はい。コレは風船では無理なのでボール使います。…3、2……よいしょ」
パーン、と烏養さんの頭の上に向けてトスを上げる。通過するやつ。
ボールはズバッと二人を通り過ぎて、端に落ちた。
「……スゲーロングトス……」
ボールは能力で跳ね返して、手元に戻す。
「次は新しいやつ、よく見ててください、3、2……1!」
同じく烏養さんに向けて打つ、途中まで速さは変えず、コンマ秒だけ、逆回転による滞留……、で真下に落下。
烏養さんの手元に落ちたので、キャッチしてくれた。
「…こんな感じです」
「…おっオマエ…見ないうちにスッゲェ上手くなってんな…何だそれ…現役?ビックリしたわ」
「えへへー。つまり違いはミドル・スパイクではなくセッター・トスです。空中に一旦止まったのは見えましたか?」
「はい。すごいです」
「前の速攻は日向の打点をズバッと”通過“するトス、新しい速攻はスパイカーの最高打点イコール、ボールの最高到達点にしようとしてるんだ」
「今ボールを見た通り、”前に進む力“が死んで落ちる瞬間、”通過“してた時より一瞬の余裕ができる。その一瞬がある事が決定的な差だ。空中で日向の選択肢が増えること」
「おぉ…!よく理解できました。実技担当、講義担当、お二人とも有難うございます」
お互いを見て、なるほどと頷いた。
確かに見せるのと解説と両面は理解がしやすい。
「これ……イイな…!」
「あらやだ……烏養コーチが私を酷使する手段をまた思いついた気がする」
「フフフ……」
「!?」
「春高の予選は絶対じじいを連れて来なきゃな…こいつらの速攻ナマで見してやる…!」
「……(良かったですね、烏養さん)」
お隣さんの嬉しそうな顔に、思わず笑んだ。
……試合は順調、全ての試みが今噛み合い始めた。
西谷さん→旭さんのバックアタック、同時多発位置差攻撃、新しい速攻……は、塩気多めだけど…。
なんか連携決まると、誰か一人の活躍より断然気持ちいな。
「歯車、揃った」
お取り換え修理は完了ですか?武田先生?