尾長君の速攻が決まったっ。
くそーどっちも仲良いから、褒めたい気持ちがっ……！だがわたしゃ烏野ッ……！
いいや！ファインプレーには全員賞賛だ！！

「尾長君！ナイスキー！！」
「え？…ありがと」
すると烏野一年組からは睨まれた。あははー。

「あそこから速攻…！」
「多少レシーブが乱れても強気で速攻使ってきやがる。向こうのセッターも相当やるな」

赤葦さんのトスをあげる選手の選択は、意外に木兎さん一辺倒ではなく、結構ばらけている。
高校トップレベルのスパイカーを擁しているということは、木兎さんも翔陽同様……存在そのものが非常に強力な囮足り得るためだ。
もちろん選手個々の基礎能力が高いのでそれが成り立っているのは言うまでもない。

「猿杙さん、ナイスレシーブ！！」
「烏野！！応援団長しっかり！！」
「あっすんません……烏野止めろおぉー！！」

ずばあん！
烏野長身組の三枚ブロック内側に攻撃をかけてきた。あれは取れない……。

「おおっしゃあああ！！！……見た！？赤葦今の超インナースパイク見た！？」
「見ました凄いですね…」
「まぐれだけど！！！」


「木兎さんー！！次もやってくださーい！」
試しにオーダーしてみよう。すると手を振ってくれた。

「え！？ファンの期待がっ俺に！！どうしよう赤葦！」
「木兎さん、煽られないで。真面目に打って下さい」
「……アッハイ」

「…あの梟谷の木兎君は不思議ですね〜。敵であろうと賞賛の拍手を送りたくなる選手というか…「格上」と思ってしまっているからかもしれませんが…」
「確かに…敵味方関係なく士気を高めてしまう選手かもな」
「翔陽も実はそっち系です」
「確かに」
「……ので、あの二人が敵味方だと周りは相当振り回されてしんどいでしょう」
「確かに……」

大人2名の同意は得られた。悲しいことに。

「……特に天然おだて上手の2名に挟まれた飛雄は今、相当キてますよ」
「……そうなんですか？」
頷いておいた。
あれ、絶対ノリノリですよ。