01.さあ楽しもう高校生活!!
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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初めての友人
「うーん、購買もだいたい売り切れたっぽいな」
「そうだねー。もうこの丸パンでいいや。自販機で牛乳買ったらそれで一応午後過ごせると思う」
「ホントかよー?放課後まで絶対持たないって」
「だよね。お腹ならなきゃいいや」
すんませーん、ぱんとぎゅーにゅー。
はーい、170円ねー。
ありがと、明日返すね。
そんな会話をして歩きながらパック牛乳をすする。
いいヤツが隣でよかった。美雪は目尻を下げて笑う。
日向翔陽、目線はだいたい自分と一緒くらい。
先ほど小銭がない美雪を助けた命の恩人だ。
「突然女子が話しかけてくるの慣れなくてビックリした」
「だよね、話しかけた時の日向君の顔見て、ちょっとだけ間違えたかなと思った」
「あっでもね、宇内さん、話しやすそうな顔な感じだから大丈夫だった!」
「どうなんだろ褒められてるのかなそれ…」
目線をそらし、携帯で時間を確認する。
うーん、結構時間に余裕ができた。
「アッ!バボちゃんのキーホルダー!?」
日向君がストラップを指差してきた。
親戚のツテでもらった大会お土産である。遠征のたびにもらってきてたバボちゃんである。ちなみに家にいっぱいある。供給源は無くなったけど減る機会は少ない。
——ところで、小型犬みたいな彼を見てるとついからかいたくなってきた。
「コレはねー、スゴイやつなんだよー!東京にバボちゃんランドっていう遊園地があってね。そこでバボちゃん6人とバレー勝負挑めるんだよ」
「えっスゴイ!そんな夢の国が」
「それで、バボちゃん勝負にキル決めたらコレが貰えるよー」
勿論ひどい大嘘である。だが見てほしい。
「すっっっっっげえええええ!おれも行きたい!バボちゃんランド!!」
キッラキラキラァ…見事にアホの子だった。面白いからこのままそっとしておこう。
「バボちゃんに勝てるって事はバレー強いの?」
選考基準がウケる。この少年は予想以上の逸材だ。
「今はあんまり。親戚に連れられて小学校の時はクラブチームに居たよ。でも私そこまで強くなれなくってさ、その人が学校の部活熱中してからは応援の方が良いかもって辞めちゃって」
「へえー、じゃあ高校ではバレー部はやんないの?」
「そうだねえ。観戦とか応援する方が好き」
「おれはプレイヤーがいいな!エースでさ、バッチーン!って叩くの!」
「カッコいいね。そっかあー、日向君はバレー部の次期エースかあ」
「そうそう!」
アホの子だけどチャーミングだね。
うーん直射日光。名前の通り。
「宇内さんは、吹奏楽とかチアリーディングとか?」
「えっ、なんで」
「応援する人たちって感じの部!」
「そうか…日向君基準だとそうなのか…どっちも無理…」
「ええ〜〜??」
不満そうに見てくる。帰宅部絶滅派かおのれ。
夕方のローカルニュース応援じゃ許されないのか。
…まあおごってくれたし、面白いし。
「それじゃあ、日向君の応援するね。命名、日向部」
「ひなたぶ」
微妙そうな顔である。そういうんじゃないからみたいな。
塾がない日は応援に見に行くからさ、と言ったらちょっと嬉しそうにしてくれた。
教室ついた。このまま一緒に食べよ。
「日向君も弁当の包みバボちゃんハンカチじゃん」
「いっしょだな」
「そんなに好きなら、このストラップ余りが家にあるから持ってこようか?」
「えっバボちゃんに2点も取ったの!?」
「っ!っくく…そうそう。合計4点取れたから4色持ってるよ」
勿論嘘である。しかしピンクのノーマルバボちゃんは実際いっぱいいるので、家で死蔵するよりエース志望少年に託した方が彼も喜ぶはずだ。
「う、うううん…いや、ちゃんとバボちゃんに勝たないと貰っちゃダメな気が」
「っははは!いいよ。私を助けたお礼っていうことでさ、勿論今日のお金も返すけど!バレーの神さまもバボちゃんに勝ったのと一緒って許してくれるよ多分!」
「そっか!バボちゃんに勝った宇内さんを助けたおれはバボちゃんより強ーい!!」
「そうそう」
やばい面白くて訂正するのがもったいなくなってきた。
間違い気づく時見たい。
この日から日向君という私にとって初めての友人ができた。