20.天翔けるカラス
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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「それで、木兎さんはあんなに張り切っているのかあ…」
「まぁ、あれで結構面倒見が良いんだよ」
「でなきゃ主将なんて言われないですものね」
「…それはまあ、俺からは何とも言い難いけれど…」
「赤葦さん…」
二日目の夜、またもやあの月島氏がまさか体育館で自主練する姿を見られるとは…なんて仰天したところだ。
私は、約束通り第三体育館へお手伝いのため参った次第。
「夜食におにぎり作ってきたけど、思ったより人数多いですね。追加要りますかね?」
「大丈夫、もう遅いしすぐ終わるって」
「そうですか、では観覧しておこうかな」
赤葦さんの隣に座って、皆の練習風景観察。
丁度黒尾さんが月島君にブロックの指導をしているようだった。
「オイ、まずは意識しろ。指の先まで力込めろ。絶対フッ飛ばされない様に。んで手は上じゃなく前に出せ、前にだ…そんでうるせえ梟を黙らせろォ!」
「やってみろやああ!」
木兎さんと黒尾さん見ていると、年上に見えないよなあ。
烏養さん直井さん見ているのと同じなんですが、ひょっとしてバレーには若返りの効果が期待できるのか。
「…それじゃ、そろそろ再開かな」
「赤葦さん、野沢菜のおにぎりどーでした?」
「塩気がなかなかにいい塩梅」
「それはなによりです。ではいってらしゃーい」
「君も!得点担当だよ~!」
木兎さんはサボらせてはくれなかった。
「うえーい……」
「がんばれ梟谷マネージャー(仮)」
「あれにはそんな罠があったとは……」
******
私の持ってきたおにぎりを両手に持って独特の踊りをしている木兎さんはBGMだ。
よーし、突っ込まないぞ。
「…宇内さんは厄介ごとに首突っ込むの好きな人なの??」
「そういうわけでは。私これでも危機回避能力は抜群なはずなんだけどなあ」
「その看板撤廃したほうがいいよ。多分だけど」
息切れしている月島君にドリンクを差し出したら、暴言浴びせかけられた。
おや、と私はあることに気付いたので、しゃがみ込んで月島君を覗いた。
「!」
「やっぱり。昨日より顔色良くなったね。」
「…そうかな」
「自主練参加も心境の変化だろうけど、前言ってた悩みは解消されたのかね」
「さあね」
「…私の時より、周りに恵まれてるんだな、よきよき」
「見透かしたような事言って。別にそういうんじゃないし!」
「はいはいごめんごめん」
月島君は疲れてると普段より煽り耐性が若干落ちるね…。どうどうと宥めていると、黒尾さん&木兎さんが次のおにぎりを所望しに来た。
「美雪ちゃんや、このサバおにぎりは斬新ではないかい?」
「鮭フレークもシャケも売ってなかったので、代わりに鯖を。青魚はDHAが摂れるしアリだと思いました」
「意外と美味しいと思うけどなあ、ちょっと香りがな…」
「なーなー!DHAとDNAって何が違うの~?」
「また唐突に変なボケぶっこまれてきた…。お母さーん!!」
「俺はお母さんじゃないです。いいですか、木兎さんDHAとDNAは1文字違いですが、
それはドコサヘキサエン酸とデオキシリボ核酸と言って…
それぞれ全く違う言葉です」
「へー。美味しいのはどっちだ?」
「…お、おいしいの…?強いて言えばドコサヘキサエン酸の方…でしょうか…」
「そーなのかー」
「………」
「…月島君…赤葦さんを助けたい…どうすればいいだろう」
「嫌だ…宇内さん頑張ってよ…日向影山の要領でイケるよ」
「私もやだよ……もう人の勉強見るのはこりごりだよ…」
「君らもなかなかひどいな!!
よ~し!じゃあ次、赤葦・ツッキーvs俺・美雪ちゃんで対戦するぞー」
「了解で~す」
「嫌で~す!!」
「ダメでーす☆」
「!?……ちょっ黒尾ォ!!……俺ハブ!?」
「木兎さん、ちょっとそこで生物Iでも読んでてください。俺の貸します。どぞ」
「何の罰ゲーム!?!?俺たちバレーしに来ているんだよね!?」
「木兎は粛々と教科書音読するようにィ~」
「「異議なし」」
「烏野1年組も酷くない!?」
木兎さんは心なしか髪の毛がペタンとして、
体育館隅で赤葦さんの教科書を音読していた。
*******
「…ッ!」
レシーブミスだ。思わぬ方向にボールが跳んでしまった。
「OK、レシーブは手の振り方ばかり目に行きがちだが、大事なのは足だ!
重心を落とした後、足の動きでボールを往なせ!」
「…はいっ!」
ボールを上げると、黒尾さんが的確にアドバイスをくれる。
壁に跳ね返った時を見計らってくいっ、とボールを操作して手に戻した。
「サーブ、月島!」
「…っス」
ぽん、とアンダースローで渡す。
どうやら私は飛雄のおかげでバレーアレルギーもかなり改善したようだ。良き哉。
パ、とこちらに返されたボールを「取ります!」と宣言し、上に挙げる。
……今度はトス上げられた。
「よし!いくぜ!赤葦あーんどツッキー!」
「…!」
ぱん、と良い音が鳴り、ブロックを壊して得点。
さすが。
「「いーえい!」」
二人でハイタッチ。
「ブロックちょっと早かったな。飛ぶのはもう少し相手のコースがわかってからで良い
とはいえ、さっきより随分凄みが出てきたな!ツッキー!」
「…ツッキーはやめてください…」
「まーまー固いこと言うなよ!ははは~」
「なー!!もう俺、音読飽きたぞ!!!」
「…しゃーねーなー、じゃあいいトコだけど美雪ちゃん交代な」
「はあい」
「みなさーん!消灯時間です~」
「!?……ふんぎゃああ!!??マジで!?!?」
「ウワ……どんまいで~す☆」
「木兎カワイソ~ウ♪」
「ぐぬぅ酷い…」
「木兎さん、3ページでギブですか??目次しか読めてないじゃないですか??」
「え゛あ、その………試合気になっちゃって…」
「梟谷も補習回避ボランティア大変そうだなあ……」