17.進化の時
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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午後の練習も終わりバスに乗って東北へ帰る時間となった。
「結局最後まで同行してしまった…」
半袖が七分丈みたいになっている飛雄の今治シャツ着た私はぼやく。
…あーあー、当初の計画じゃ翔陽を送ってそのままとんぼ返りするつもりだったのになあ。
「おい、乗るぞ。あんまり時間ねーからすぐ出発だ」
「はあい」
烏養コーチに声をかけられ、バスに乗り込んだ。
ちなみに明光は天満と積もる話があったようで、そのまま合流なしで直帰するらしい。
バスの見送りにわざわざ冴子さんが来てくれた。
飛雄を小突いて、試合応援するよと言う。
あとなんだかんだで、翔陽や山口君、月島君、一年男子はみな冴子さんにカラまれていた。
「またねー!」
「灰羽君もねー!!」
帰る際には、皆さんお見送りに来てくださいました。
大変不本意極まりないが、私はすっかり『弄ってもOKな烏野マネージャー』として認識されてしまったようす。
いろいろな人から惜しまれ、小突かれることになった。
「人生ままならないもんだ」
「…ほら。もう最後だよ、置いて行っちゃうよ」
「清水先輩…、はーいっ」
二人で東北直行のバスに乗り込んだ。
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バスの中はいびきがすごい。
緩やかな動きが眠りに誘う。
よもやま話だが私の部屋は、ベッドと机以外何も置かない殺風景な部屋だ。
教科書ノートも全部家族共通の本棚に詰め、学校関係の荷物は部屋に入れていない。
なぜなら、寝ているときに毎回移動してしまうからだ。
今回も同様にバスの中で寝てしまえば、荷物がポルターガイスト現象となってしまう。
明光の車はわりと何も置かれていないと確認できたので、影響は少ないと思い寝かせて頂いた。
だがバスはそうもいかない。ふああ。
「美雪、」
「…ん。あ、翔陽。どうしたの?寝ないの?」
「ずっと考えたんだけどさ、おれ…」
「うん。」
「美雪は全然悩みとか相談事を全然話してくれないよね」
「…!」
「喧嘩した時もさ、気持ちをちゃんと話してくれればよかったのに。…まず嘘ついて誤魔化すよね。それっておれに迷惑がかかるからって思ったのかもしれないケド…それって寂しいよ」
「う……」
「友人ってのはさ、楽しい話、楽しい遊びを一緒にする人じゃなくって…なんていうか問題を一緒に悩める感じが良いなって。
おれは……。今回美雪にいっぱい助けてもらったし、たぶんこれからもいっぱい相談する。逆に美雪もおれを頼ってほしいなって思うのはだめかな?」
「…………」
……私は翔陽を見くびっていたのかもしれない。
最初はご飯代貸してくれたところから始まった縁で、その分助けなきゃって思ってた。
でもその独りよがりな行動は翔陽にモヤモヤを作ってしまったようだ。
「………悩み、いっぱいある」
「うん」
「嘘もいっぱいついてる」
「知ってる」
「でも、翔陽の力になりたいし…、できるなら喧嘩せず仲良くしたいと思う」
「そうだよね」
「……………」
「……………」
「また、話す」
「うん」
「とりあえず、だね。日向翔陽よ」
「…………ん?」
「東京、連れてきてくれてありがとう」
「…!」
「楽しかった。また合宿来ても、良いかな?」
「!!!………おうよ!!!」
とりあえず一言言えるとするならば、やっぱり合宿楽しいな!ってことだった。
成り行きだが、翔陽に連れてきてもらえたようなものだった。
それは間違いなく君のおかげで楽しい時間を過ごせたといえるだろう。
しかし、翔陽の声が大きかったので、びく!と動く影があった。
「………っせーなー!なんだよ??」
「こらっ田中黙りなさい!今いいところ!!!」
「シー!!!」
「イタッ!!……え?え???」
ばっ!と声が聞こえたところを二人で見ると、澤村氏、菅原氏がこちらの座席をのぞき込んで泣いていた。
翔陽も私も顔が赤くなった。
「なっ、何!!」
「ひえええ!!恥ずかしい!!!」
バスの中の一幕は、オカン組に見守られていた。
武田先生は鼻をすすっていた。
「青春ですね!!」
助手席からも、親指を立ててグーにした手がニュッと見えた。