17.進化の時
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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「んぐっ!!」
翔陽のブロックは弾かれて、コートの内側へ落ちてしまった。
フォローに届かなかった澤村さん、西谷さんは悔しそうな顔でボールを見つめていた。
パン!
「切り替え切り替え!次捕ろー!!」
菅原さんは周りの雰囲気が落ちているのを察して檄を飛ばした。
「オーッス!!」
田中さん西谷さん、翔陽は力強く返事をした。
翔陽は普段のような移動攻撃や速攻などは頻度を減らし、終始囮に徹していた。
もちろん攻撃に参加していない訳ではないが、普段の精彩は明らかに欠いている。
特に翔陽が相手主力選手とマッチアップしているときは顕著だ。あっちには全員一斉攻撃があるので一度チャンスボールで返すと、翔陽じゃブロックが難しくなる。
結局……烏野は攻撃一辺倒でこれまで来ているので、元のコンセプト同様の「力尽くで点をもぎ取れる人」が旭さんしかいないのだ。なので防戦を基本にしながら、相手が崩れた時に旭さんで点をもぎ取る作戦で進んでいる。
…セット0-2だ。フライング3連続。
「いってええー!!」
翔陽さっき顎を擦って絆創膏貼ってるのに、またこすっていた。
「アゴ…なくなる……じゃない?」
「は、なくなんねーし……」
「ほら二人とも止まんなー」
「「はーい……」」
月島君節も普段のようなキレのある言動がない。
菅原さんがダメとかじゃなくて、全員普段飛雄のセットに甘えていた部分がそのままトスミスに繋がっている印象を受けた。結果、体勢が崩れてボールを追いかけて走る場面が普段より多いというわけだ。
ヤツはなんかもーアタックラインに上げればokなところあるもんな……。困った。
フライングが終わって一息ついている翔陽に先生が声をかけた。交代だね。
日向が下げられ成田さんが入った。もう完全に守備の穴と化しているから仕方ないところだが、翔陽は唇を噛んで了承した。
みんな口には出さないが、翔陽を使うにはまず飛雄が居ないと難しいとは感じているはずだ。
菅原さんも悔しそうな顔で翔陽を見送った。
「翔陽、おいで」
「……ん」
タオルを渡し、肩にグーパンをするとちょっと眉尻を下げて笑う。
「痛いよ」
「激励」
「……うん」
翔陽が一番分かっている。
「おれは影山が居ないとダメなんかな」
「…………」
ノーコメント。そうとも言えるが、菅原さんコンビネーションでも充分食らいつく方法もあると思う。それを夏中練習していくのは長期的にはアリだけど…今はその時ではない気もする。コーチでも選手でもないから偉そうなことは言えないが。
……青葉城西戦以降の今後の方針とか、試合検討と改善方向が未熟な感じする。
どこに軸足を置いて夏を過ごすか?それが決まらないと改善には時間がかかる。
「あー!!っくそ!くやしー!!」
ガーッと髪をわしゃわしゃ掻いてキッとコートを睨んだ。荒れてるなあ。
烏野4戦目は田中さんサーブで始まった。
翔陽はモヤモヤ考えているようだし何か手伝いできたら良いんだけど。
烏野の正マネージャーたちが戻ってきた。
「…日向、日向!見てコレ!アイスの差し入れ貰ったよ!!この試合終わったらみんなに配るよ!」
谷地さんがウキウキ顔でアイスの入った袋を持ってきた。すると、翔陽の釣り上がってた目はちょっと戻った。良かったね。
アイスね、そういえばあの勉強会でも食べたな。
能力が1年半分にバレてしまったあの事件。
……そうだ。コレ何か使えないかな??
自分の手を見てちょっと良い考えが思い浮かんだ。
翔陽は、清水先輩がクーラーボックスに入れてるのを見てふおーっと声を上げて舞い始めた。
やるならアイスでアガってる今だな。
私はコーチのもとへ歩き、声を掛けた。
「コーチ!すんません、ちょっと日向君と外で練習してきて良いですか?」
「あ?……まァ構わんが、こんだけレベル高いチームとの試合なんだから観戦に徹する方が良いと思うぞ」
「……あ、まあそうですね。うーん……でも今日慣れない長距離移動の後で動きもカタいし、練習してリズム作ってあげたいんですよ」
「そんならいーや、他校のベンチ選手らは柔軟したりトス練習してるからな。あんま遠くではすんなよ」
「はーい」
「美雪、コーチと何話してきたの?」
「許可貰ってきた。今から二人で練習するよ!私がトス打つから翔陽打っていいよ!」
「えっ!!!」
キラキラキラァ…と目を輝かせて満面の顔で見てきた。無邪気か。
「谷地さーん、ボール一個ちょーだい!烏野のやつ!ちょっと出てくる!!」
「あ、うん!はーい」
谷地さんに投げられたボールは、超能力で自分の手に吸付けた。
「行こ」
「うん!」