16.いざ行かんTokyo!!
お名前変換
設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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「美雪ちゃんもやーっと寝たよ。気遣わなくてもイイのに」
寝息が二つになり一旦は安心した。
せっかく運転手を引き受けたのに乗車客が到着後体調不良とあれば「頼れる兄貴的称号」の沽券にかかわる。あるかしらんけど。
同級生を送るため東京に今から連れて行って欲しい、そんな電話が掛かってきたのは寝る直前…午後11時ごろ
。不要不急の連絡をするタイプでもなければ、相談内容も無茶、早口なのも珍しいので本当にあの美雪ちゃんで合ってるのか液晶を確認して不思議に思ったほどだ。
今となっては二人の関係性が見えてきたのですごく納得した。あんなに同級生を苦手に思ってた子が、自分から進んで助けられるようになったんだなあと感慨深い気持ちになった。(特に試験のくだり)
話すのは久々だった。
また大きくなったなあ、なんて親戚のような感想を抱く。
初めて見たときは驚いた。
宇内の妹、超カワイイなって。
『宇内……そっくりだな』
『まあねえ。あなたは名前なんて言うの?』
『つきしま あきてる って言うよ。君のお兄さんの先輩だよ』
『お兄さんじゃ無いよ。でも……先輩……?一個しか違わないのに上司部下の関係になるの?』
『しょ、小学生はこういう細かい上下関係無かったもんなァ』
『あきてる、天兄ちゃん側に3人も密集してイジメみたいなんだけど、あれは反則じゃ無いの?』
『宇内に点を取られないように、人のバリアを張っているんだよ。デディケートシフトって言うんだけど、歴としたブロック戦術だよ』
『そっか、だから天兄ちゃんスッゴク燃えてるんだ』
『ね。闘いを挑まれてる感じだし宇内も嬉しそうだよ』
『ねえねえ、良かったら一緒にお弁当食べよ。もっとあきてるの話聞きたい』
『……そーなの?何知りたい?宇内が普段どれだけ変なコトしてるとか?』
『それはもうお腹いっぱいだよ……あきてるのバレー試合の話とか聞きたい』
『そ……そう』
弟と違って女の子はマセてる。そんな新鮮さからたくさんのことを質問したり話したりした。
『あきてるって面白い!』
そういえば最初は呼び方《飽きてる》と同じなのが変で可愛らしかった。
残念ながらしばらくして宇内にからかわれて普通のイントネーションになってしまったけど。
『あっ月島さんと美雪が一緒に居る!』
『やほー天兄ちゃん、センパイなるものは私の師匠にもなりました!』
『なぬー。月島さん、ソイツ妙に油断ならんヤツなんです!早く避難を!』
『酷い言い草だな〜〜』ムシャムシャ
『あ!!俺のサブ弁当箱……!!オレンジ!!』
『弁当入れるの忘れてたから届けてって言われたんだよね。おいしー』
『俺のオレンジ……全部食いやがった。お前そういう所だぞ。職務を全うしろぉ〜〜』
『美雪ちゃんすごい強いのな』
『ふふーん』
Vサインをしてきた美雪ちゃん、輝いてたなあ。
そんな衝撃的な小学生と、こんなに長い付き合いになるとはこの時思ってもみなかった。
「……いかんいかん、物思いに耽ってないで運転に集中せねば。只でさえココは今危険地域なんだ」
ウィンカーを出して左折、カーナビは残り25キロ。
ヒュン!!
顔の横に飛んできたティッシュ箱がフロントに激突した。
この車の荷物は合流前にほぼ全部トランクに詰めた。特に小銭や置き箸なんかは危ないからね。
俺は美雪ちゃんの秘密も知っている。
寝相が凄まじく悪い。
ようやっと学校が見えてきた。
はー東京運転怖かったァ…帰りは首都高避けようかな…。