16.いざ行かんTokyo!!
お名前変換
設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
トイレ!トイレ!!トイレ!!!
「ふうぅ〜〜間に合った」
道を間違えて、売店の向こうまで無駄に歩いてしまった。ロスタイムだ。でも間に合ってよかった。
「(んんん〜〜…みんな心配してたなぁ……会ったら謝らないと。影山月島以外にだけど)」
SAのトイレでもやもやと考えを巡らせた。
さっきのメール、どうせ影山と月島にはメールで罵倒されるのは予想ついてた。でも実際はちょっとだけ違った。
“恥ずかしく無いのか?甘え過ぎだボケ”
“見た目通り子供じゃ無いんだったらもう少し頭使いなよ、全部あの人に頼りきりじゃん”
「あーあーもーウルサイなー……分かってるよー」
おれは、美雪に甘え過ぎている。
高校で初めてできた友達だし仲いいのもあるけど、正直スッゴク頼りになる。お願いしたら本当に何でも解決してくれる子。
少なくとも今東京に向かえているのもほぼ美雪のお陰。
分かんない。みんな好きなのって聞いてくるから違うって言うけど、ホントはそっちなんだろうか。
高校三年間、一緒に楽しく過ごして、卒業してもイズミンやコージーみたいに時々遊べたらいいなって思うけど。
はァ……影山月島は本当に言葉キツイよな……。
二人のメールはすっごく刺さった。焦るとすぐ美雪に頼っちゃってるんだよな実際。
モヤモヤを抱えながら個室から出る。
すると黒い塊が横切った。
「うわ!……あゴメンナサイ」
「おっと、……泣いてるのか?どこか打ったか?」
おじさんとぶつかりそうになった。
反射的に謝ると、思わぬ事を指摘された。
目を拭うと確かにちょっと湿り気があった。うわ、ハズカシ。
「ちょっと考え事してモヤモヤ悩んでました。でも大丈夫です」
おじさんに言い訳をして小走りに蛇口へ向かう。
……付いてきた。怖っ!!
「イイですって、大丈夫なんです!」
「そう邪険にすんなって。こういうのは知らんやつに話すだけでもアタマ整理されるぞ」
「………」
「肉まん奢るからそっちの椅子で話そうや」
「肉まん……」
ちょっと惹かれた。
おじさんがどんな人か全く分かんないけど、悪い人じゃなさそーだしもしかしたら大人のナントカでホントに解決するかも!
「えっと、同級生の女子に頼り過ぎで自分が情けないんです……」
「ほーん、その女子好きなん?良く見られたい系?」
「分かんない、です……そういうの考えるの苦手」
「男同士のダチってのはあんま気を遣う方が野暮って感じだよな。で、女子だとなーんか困るよな」
「そう!そうです、少しモヤっとするんです」
「そんじゃ話ははえーな。そいつに頼られる男になりゃイイ」
「おお!」
「男女付き合いっていうのは詰まる所互いを補い合えるつがいを見つけるのが目的みてーなもんだ」
「?」
「えーっとな、そいつのたりないところとか苦手な事を代わりに手伝えるよーになれば解決!
頼り頼られる良い関係の出来上がり!!……その先に進みたいかどうかが見つかってからでイイんじゃね?」
「その先……?」
「ガキでも分かる表現だと結婚したいとか、一緒に住みたいとかだな」
「ふうん?」
「もっと前段階が恋っていうらしいけど……俺もしたことねーから分かんね!」
「おじさんになっても初恋まだなんですねーうわイテテ」
「失礼な!!近日超巨乳パツキンロシア人と出会うんだよ俺ァ!!」
おじさんにヘッドロックをかけられる。
筋肉質なおじさんだからめっちゃイテェ。恐らく金髪ロシア人はおじさんとは合わないと思います。
「うーん、でも頼られるヤツってのは分かりました!俺は美雪に頼られたい気がします!」
「ふつうにそいつにとってもイイヤツになればお互い何か変化があるかもな」
「あざーす!!じゃあおれ戻ります!」
「おー、達者でやれよ」
おじさんはトイレ前のベンチにゴロンと寝だした。
変な人だけど、イイ人だった!肉まん美味しかったし!
……助けられた分、返さないとだな!
車のドアが開いていたので助手席に座って考えることにした。
すぐ寝落ちしたらしく戻った美雪にはたかれた。
「探したよ!ま、事件じゃなくて良かった!」
美雪は困ったような顔で笑いかけてくれた。
「あのチビ、コーコーセーかよ……イマドキの子なのにスレてないなー眩しいわァー」
サービスエリアのベンチでひとりの男がぼやいた