15.試験勉強後半戦
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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「宇内さん。あのさー」
「何ー?」
「マネージャーとしてちゃんと入部してほしい」
「…………んっ」
思わぬ話題が飛んで、顔を上げる。
月島君だけではなく谷地さんも山口君もこちらを見ていた。
「あ、あの……あのね!!私ね!美雪ちゃんと一緒にやりたいな!!って」
「来年からでいいからさ、本当に頼むよ」
「あー………」
さすがに察した。
翔陽と飛雄を外したのはコレ?
「来年からは絶対入る……それは約束するよ」
「今がダメなのはなんでか…聞いてもいい?多分だけど……塾だけじゃないよね?」
「ん、うー……」
スルドイ。そして今日はガンガン切り込んでくる。
ちょ、ちょっとまって本当に心の準備がちゃんとできてなかった。本当の事言うべき??
迷いのせいで無言の時間が続く。私の煮え切らない態度に次第に空気が重くなってゆく。
「あっ。紅茶、無くなっちゃったね。淹れてくるよ」
「わ……私、ポット洗う……」
谷地さんが、気を利かせて空気を仕切りなおしてくれた。ありがたく乗っかった。
「ちょっと二人とも、こーゆーことはっきりしないとなあなあに……」
「ぅわ!」
月島君も立ち上がりかけると、谷地さんがバランスを崩して持っていたポットから手を離してしまう。
くらりと傾くポット、
「わ、ガラス!!」
月島君は飛び込んで下で受け止めるのに成功した(さすがバレー部)、皆が急に動いたから端に置いていたグラスが床に!!
……仕方がない!
「えっ」
「え」
「わー!!」
グラスは二個も落下しかけた。
翔陽と飛雄の分ね。
その2つはピタリと床より数センチ浮いて、中身も溢れずアメーバのような形で静止した。
ガラスが散ったら大惨事だからね。腕で止めるより早いコレに頼るほかなかった。
無言になった室内。
もうどーとでもなれと、中身をグラスに戻してそのまま机の上に置いた。
月島君のポットも手から浮かせて同様に。
コトン、グラスとポットが静かに置かれた。
谷地さんは、キラキラした顔で私に振り返った。
「や、………やっぱり!!」
「やっぱり??」
「美雪ちゃんは超能力者さんだったのですな!!」
「「「!!」」」
そのフレーズ。聞き覚えがある。唯一うちの学校で気取られかけたアレ。
「バーベキューの時のメモ………そっか、谷地さんだったのか……」
「あっあっまさか。アレ……ご本人が持って帰っちゃうとは!!」
まさかの犯人だった。
「らくがき…。いつのまにか捨ててしまったかと」
「はは……そういうオチか……」
「そう、超能力者さんでーす」
「……まじか……ぜんっぜん気づかなかった」
「妙に小手先が器用だと思ったけど、そう……」
自分のシャーペンを呼び、空中でペン回しするとさすがに全員納得の表情を浮かべた。
「バレちゃったついでに、マネージャーもさ。校内練習ならともかく、試合とか勝手に動いちゃったら各所迷惑だろうし、遠慮してるのよね」
「あ、ボールか……他校との試合には居ないのはそれ……?」
「うん」
「マジか……観覧席でもダメ?」
「その場にいないのが一番安心」
「有効範囲、メートルいくつくらい?」
「えっ計測したことない。目で見える範囲は動かせるとしか」
「ひえー……」
「スプーン曲げれる?」
「余裕。でもやんない。痛むし」
「ちえー」
「私お恥ずかしながらよく分かってないデス…」
「例えばさ……ボールを目で追ってしまうと、こう。落ちるな!って時に止まったり、ネット入れ!って思うと入っちゃったり。それって真剣勝負の邪魔よね」
「そーかあー。でもゴールデンウィーク居なかったっけ」
「あぁ音駒のとき。試合中は翔陽だけガン見してボールから意識離した。おそらく邪魔はしなかったとは思うけど、やっぱり怖いから今の距離感でみたい」
「来年マネージャーやるとかほざいてたけど」
「そのうちいい方法が浮かぶかと」
「見込み甘くない?……楽観的だね」
「否定しない」